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2019年のセキュリティ製品市場規模は2638億円、今後はSaaS型セキュリティソフトの市場が拡大~IDC Japan調査
2020年1月6日 16:31
IDC Japan株式会社は2019年12月26日、国内情報セキュリティ市場の2019年から2023年までの予測を発表した。ソフトウェア製品とアプライアンス製品を合わせたセキュリティ製品の市場は、ソフトウェア製品の市場規模が前年比3.8%増の2638億円、SaaS型セキュリティソフトウェアの市場規模が前年比14.5%増の325億円、セキュリティアプライアンス製品が前年比2.6%減の536億円と予測している。
セキュリティソフトウェア市場については、2018年で成長率の高かった企業向けエンドポイントセキュリティとメッセージングセキュリティが反動により成長率が鈍化する一方、家庭向けPCの出荷台数の増加や、クラウドシフトによるクラウドアプリケーションへのアクセス管理やID管理といったクラウド環境に対するセキュリティ製品への需要が高く、2018年よりも高い成長率で市場が拡大すると見込んでいる。
セキュリティアプライアンス市場は、UTM製品が引き続き市場を牽引しているが、IT環境のクラウドシフトが進むことで、メッセージングセキュリティやウェブセキュリティを中心にSaaS型セキュリティソリューションへニーズが移行しているため、アプライアンス製品への需要は低下すると予測。セキュリティサービス市場は、IT環境のクラウドシフトが進むことで、クラウド環境へのセキュリティシステムの構築や運用管理サービスの需要が拡大すると予測している。
今後については、2020年から2023年にかけて消費税増税による景気の下振れリスクが高まるものの、2020年に開催される東京オリンピック/パラリンピックによりサイバー攻撃の多発が見込まれることから、サイバー攻撃に対する防御や検知/対処を行うセキュリティ製品への需要が拡大すると予想している。
また、パブリッククラウド環境に対するセキュリティ対策としてのSaaS型セキュリティソリューションや、データ保護規制に対しては暗号化やDLP(Data Loss Prevention)などの情報漏えい対策製品、アイデンティティ/デジタルトラスト製品、脆弱性管理製品などの内部脅威対策製品への需要も拡大すると分析。こうした背景から、国内セキュリティソフトウェア市場の2018年~2023年における年間平均成長率は3.4%で、市場規模は2018年の2541億円から2023年には2997億円に拡大すると予測している。
特に、SaaS型セキュリティソフトウェア市場は、IT環境のクラウドシフトが進むことでクラウドセキュリティへのニーズが高まり、SaaS型セキュリティソフトウェア市場は2018年~2023年の年間平均成長率は13.0%で、市場規模は2018年の283億円から2023年には521億円に拡大すると予測している。
国内セキュリティサービス市場については、2019年の国内市場規模は前年比4.9%増の8275億円と予測。今後については、クラウドシフトによるクラウド環境へのセキュリティシステムの構築や運用管理サービスの需要拡大や、重要社会インフラ事業者でのセキュリティサービスのニーズの高まりにより、2018年~2023年の年間平均成長率は4.4%、市場規模は2018年の7890億円から2023年には9794億円に拡大すると予測している。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は、「製品サプライヤーやサービスプロバイダーは、セキュリティ運用の自動化を可能にするセキュリティオーケストレーション/オートメーション製品と連携したサイバーセキュリティソリューションを訴求すべきである。これによって、高度化するサーバー攻撃で生じる重大なセキュリティインシデントの見逃しを防ぐと共に、人材不足となっているセキュリティ専門技術者の負荷を軽減できる」と述べている。