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NEC、産業機器の信号を高信頼・低遅延に転送できる「ExpEther」の無線IPコアをライセンス提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)は26日、工場の工作機械やロボットなどのFA機器/IT機器の信号を高信頼・低遅延に伝送する「ExpEther(エクスプレスイーサ)」において、無線IPコアのライセンス提供を同日より開始すると発表した。

 近年、少量多品種生産を柔軟かつ低コストに実現する次世代インダストリーに向け、工場のFA機器にも生産自動化とクラウド連携への対応が求められているが、これらを実現するには、FA機器が送受信する信号の伝送を無線化することで、有線で接続しているFA機器とユーザー端末の分離、全工程のリモートセンシング、FA機器とIT機器やクラウドのリアルタイム連携などを行う必要があるという。しかし、オフィスや一般消費者向けの無線通信は、工場の劣悪な無線環境では高信頼・低遅延の通信が困難という課題を抱えているとのこと。

 一方、NECのExpEtherは、PCI Expressをはじめ、フィールドバスやGPIOなど、産業機器で用いられる信号を高信頼・低遅延に延長できるネットワーク技術。一般のイーサネットを、接続距離が限られるPCI Expressやクロック信号、顧客独自のI/O信号などのデータ通信路として用いることで、接続距離の延長を可能にするほか、一般的なイーサネットスイッチ機器や無線LAN機器を用いた場合と比べても、データが欠損しにくい高信頼転送を実現しているという。

 NECではこの技術を用いた製品を提供するとともに、2018年11月からは、FPGAに組み込み可能で短期間での導入を実現する、IPコアのライセンス提供を開始していた。

 今回提供開始する無線IPコアでは、NECが開発した独自符号化方式(非再送冗長符号通信)により、データを再送することなく、エンドトゥエンドでのロスレスかつ低遅延の通信を行えるため、FA機器による電波の反射や減衰が起こりやすい環境でも、安定した無線通信を実現できるとのこと。

 また、さまざまな特性を持つ複数の無線規格を組み合わせて、個々の特性における補完を行い、高信頼の無線通信を提供可能な点も特徴。例えば、高速で不安定な無線規格と低速で安定な無線規格を同時に利用し、高速かつ安定した無線通信を実現するとしている。

 さらに、無線IPコアがハードウェアで符号化などを行う仕組みによって、既存システムのイーサネットや信号線(GPIO)と接続するだけで、高信頼の無線通信が即時に利用可能になるとした。

 提供形態はバイナリROMデータで、対象となるFPGAはIntel Cyclone VE 5CEA7。

 NECでは今後3年間で、FA機器メーカーを中心に国内外30社への販売を見込んでいる。