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日本マイクロソフトがクラウドとAI人材の育成に向けた取り組みを説明、学習関連で新たな役職も

 日本マイクロソフト株式会社は26日、クラウドとAI人材の育成に関する取り組みについて説明会を開催した。同社は2020年度、「お客さまがデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するにあたって信頼されるパートナーとなる」ことを目指しており、その一環としてクラウドとAI人材の育成に注力するとしていた。

 説明にあたったのは、日本マイクロソフト チーフラーニングオフィサー(CLO) 執行役員 プロフェッショナルスキル開発本部長の伊藤かつら氏。このCLOという役職は、デジタルトランスフォーメーション推進に向けた人材育成に注力するよう新設されたもので、現在世界で14人のCLOが存在するという。

 「CLOの役割は、お客さま、パートナー企業、そしてマイクロソフト社員のTech Intensity(技術強度)を高めること」と伊藤氏は言う。このTech Intensityとは、経営の中に技術を取り入れて活用していく力のことだ。

日本マイクロソフト チーフラーニングオフィサー 執行役員 プロフェッショナルスキル開発本部長 伊藤かつら氏

 具体的な取り組みのひとつとして、「大企業の顧客には、直接スキル育成プログラムを提供する」と伊藤氏。そのためにAzureテクニカルトレーナーおよびトレーニングプログラムマネージャーという役職を新たに設けた。このトレーナーとマネージャーが顧客企業のコンサルタントとなり、どの程度の技術スキルを持った人材をどの部署に何人育成するかといったことを計画した上でトレーニングを行う。

 スキル育成の目安として、認定資格も刷新した。特にAzureの認定プログラムは試験も日本語化し、テクニカルトレーナーやラーニングパートナーから日本語でトレーニングを受けることが可能だ。

 パートナーのスキル育成に関しては、毎年作成するパートナービジネスプランの中で、「特定のスキルレベルの認定資格者を特定の人数用意する」といった基準を定め、認定資格と連携したビジネスプランを用意するという。

クラウドとAI人材の育成について
企業やパートナーに対する施策
Microsoft Azureトレーニングと認定資格

 一方で、幅広い学びの場を提供するため、新たなラーニングプラットフォームとして「Microsoft Learn」を公開した。同サイトでは、Azureをはじめとするマイクロソフトのさまざまな技術に関する学習コンテンツを用意、初心者から上級者まで幅広く学習できるようにした。今後さらに日本語化を進め、コンテンツを充実させていくとしている。

 こうしたマイクロソフトのトレーニングや認定資格取得に向けた提案に対し、顧客企業の反応も悪くないという。「資格取得に拒否反応があるかと思ったが、実際提案してみると、企業全体のデジタルトランスフォーメーションに向け、IT部門や新規事業開発担当者だけでなく、全社でAIとクラウドのトレーニングを実施したい、それをマイクロソフトに支援してもらいたいと言われた。日本の顧客も、世界で何が起こっているのかセンサーを働かせている」と伊藤氏は語る。

 そして、マイクロソフト自身のトランスフォーメーションを実現するにあたっては、社員の人材育成も欠かせない。そのため、各自の役割に応じて習得すべきスキルを個別に連絡しているという。伊藤氏は、「テクニカルスキルだけでなく、営業担当者が学んでおくべきクラウド時代のライセンス形態やセキュリティ対策などのソフトスキルも重要。さらには、マネージャーにとって役立つコーチングなども含めたマネジメントスキルのトレーニングも行っている」と話す。

 忙しい社員に負担をかけない仕組みとして、9月より木曜をLearning Thursdayと定め、毎週木曜に1時間の学習時間を設けるようにした。また、毎月最終木曜日はMonthly Learning Dayとして、学習時間を5時間に定めたという。「資格ごとにラーニングサークルを設け、勉強会を実施したり報告し合ったりといったことも行われている。こうして学ぶことが当たり前になるカルチャーが重要だ」と伊藤氏は述べている。

マイクロソフト社員へのトレーニング