ニュース
マクニカネットワークス、オンライン詐欺をリアルタイム検知するソリューション
2019年9月17日 06:00
マクニカネットワークス株式会社は13日、不正支払・アカウント乗っ取りなどのオンライン詐欺をリアルタイム検知するソリューション「Siftデジタルトラストプラットフォーム」の提供を開始すると発表した。
新製品は、米Siftが開発したSaaS型不正検知ソリューション。LinkedInやTwitterのようなコミュニティサイト、Airbnbのようなマーケットプレイス、fitbitのような小売り、B2B、金融サービス、旅行・チケットなどの分野での利用実績がある。
機械学習によって不正か否かの判別を行うが、新しいことを学ぶと再学習するカスタム学習機能を搭載する。多くの導入事例があることから、学習のためのデータ量が多いことから不正検知の精度が高いことが特徴という。
価格はトランザクション量に応じた課金制度で、月間2万5000トランザクションのユーザーであれば月額25万円程度となる。今後3年程度で、導入企業100社、売上16億円を目標とする。
日本では、換金率が高いことから悪意あるユーザーに狙われやすい、オンラインゲーム含むデジタルコンテンツ、家電、電子マネー、チケットを取り扱うECサイト、決済代行事業者向けに製品を販売していく。
オンライン不正利用をリアルタイム検知
Siftはオンライン不正利用をリアルタイム検知するSaaSソリューション。開発を行ったSift社は2011年創業だが、その時点から機械学習を使って不正検出に取り組んでいた。
現在では1カ月あたり500万件の詐欺を検知し、処理するイベント数は350億件に及ぶとのことで、このデータ量により不正検出の精度がさらに高まる、といったサイクルができあがっていることがSiftの大きな強みとなっている。
不正検出を行う「Live Machine Learning」は、グローバルにある3万4000のWebサイトとアプリで構成される学習ネットワークから、リアルタイムに不正を検出する。詐欺行為と認定されたものに対しては、再スコアリングによってリアルタイムに学習を行っていく。
不正を見分けるためには機械学習の強みを生かし、手動の不正検出では対応が難しい複数の個所から、不正の有無を見極める。「Siftスコアは、人間が確認するには難しいポイント数からスコアを算出している。さらに洞察を行う深さも特徴で、例えば、利用されているメールアドレスについても『使い捨てされやすいアカウントか』といった点から、不正利用が多い文字列を見いだすなどのディープシグナル解析を行っている」(マクニカネットワークス 第3営業統括部 第1営業部第2課 課長代理の恒川雅俊氏)。
ただし、利用者に届けられるスコア自体はシンプルで、利用するために新たな学習を行う必要などはない。Webサイトの管理を行っている側の負担を、極力少なくすることができるソリューションとなっている。
なお実際の導入にあたっては、最短で1カ月、平均的には2カ月程度、自社に最適なスコアが出るように試験運転期間を設ける必要があるとのことだ。
Siftの導入事例
Sift社のAlain Gendre氏は代表的な事例数件を紹介した。
「メルカリは海外進出を行った際、日本市場とは異なる不正があることから、日本時代のようにトランザクションだけでは白黒をつけることができず、すべてマニュアル対応することとなった。これはあまりに人手が必要となる方法のため、新たなシステム導入が決定し、Siftが選ばれた。導入インテグレーション期間は2週間、60%のチャージバックの削減が実現した。詐欺の60%をドロップすることができた」という。
インドネシアのオンライン旅行代理店travelokaは、顧客にとって決済時に負担が増す2要素認証が必要なトランザクションの数を減らすためにSiftを導入した。
「2要素認証では銀行コードを使う必要があるため、ユーザーにとっては使い勝手が悪かった。travelokaにとっては不正を減らす手段ではあったものの、この手間から購入を取りやめる顧客が出ていた。そこでSiftを導入し、優良顧客を特定することで2要素認証が必要なトランザクション数を減らした。その結果、2要素認証の利用数は3分の1程度に減少し、それに反して売上は2倍に増加した」とする。
また、カーレンタルを手がけるTUROは、不正利用が増えてパスワードリセットを行うにも長時間かかる状態となっていた。
「Siftを導入した結果、なりすましを100%ブロックすることに成功し、98%の詐欺を削除することに成功した。ホストにとっても、ゲストにとっても安全で安心な環境を実現できた」。
なおマクニカネットワークスでは、セキュリティ関連製品、デジタル化を支援する製品、ネットワークインフラという3ジャンルの製品を扱ってきた。
「これまで扱ってきたセキュリティ製品は、企業を守るセキュリティだったが、今回、Sift社と契約したことで、取引を守るためのソリューション分野もラインアップのひとつとしたい」(マクニカネットワークス 第3営業統括部 統括部長 真野大治郎氏)としている。