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NTTコムウェア、高品質・高収量を実現するBLOF理論を活用した「営農支援サービス」の実証実験を実施

 株式会社JOAAとエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(以下、NTTコムウェア)は22日、科学的データを基に高品質・高収量を実現する有機栽培技術の普及に向けた「BLOF営農支援サービス」の実証実験を8月上旬から開始したと発表した。

 有機栽培の1つであるBLOF(Bio Logical Farming)理論は、アミノ酸、ミネラル、土壌の3つの分野に分けて科学的に営農することで、高品質・高収量な農作物の安定した生産を可能にするもの。これにより、BLOF理論の実践に成功している農家は、所得向上を実現しているが、BLOF理論は高度な専門知識とスキルを要するため、有識者の十分なサポートなしでは実践が難しく、特に、施肥設計工程においては、複雑な計算と調整が必要なことが課題になっているという。

 そこで、BLOF理論の生産・教育・理論について豊富なノウハウを有するJOAAと、さまざまな業界とのビジネス協創に取り組むNTTコムウェアが協力して、BLOF理論を高度な専門知識とスキルがなくても実践できるサービスを提供することで、BLOF理論のさらなる普及を推進し、農業の社会課題解決を目指すとしている。

 BLOF営農支援サービスは、専門知識やスキルがない初心者でも、BLOF理論を簡単に実施できるシステム。複雑な計算と調整が必要な施肥設計や、これまで個人で実施していた圃場管理についてシステムを活用して実施することで、農家やインストラクターの負担を軽減する。農家は、簡単に施肥設計や圃場管理を実施でき、インストラクターからのアドバイスをシステム上で参照することができる。インストラクターは、指導対象農家の圃場情報や施肥設計結果をシステム上で参照し、営農指導に役立てることができる。

 実証実験は、8月上旬から10月下旬にかけて実施。実験協力者は沖縄県在住のBLOF理論を実践している農家10人、対象作物はトマト、ゴーヤ、マンゴー、パッションフルーツなど。実験協力者であるBLOF農家とJOAAのインストラクターが、サービスを利用して作物の生産を行うことで、サービスの施肥設計機能および圃場管理機能の検証を行う。

 サービス内容の検討では、ユーザーの視点に立って、ユーザーの状況や要望・不満の把握を行い、より効果的な課題発見・解決を行うための考え方であるデザインシンキングを活用して、実験協力者へのヒアリングおよび現場調査を行う。また、今回の開発では、協力農家やインストラクターのニーズに対して柔軟に対応するため、繰り返し改善を行いながら機能拡充を図るアジャイル開発手法を採用する。

 NTTコムウェアでは、農業協同組合や就農希望者、全国の農家を対象に、2020年3月のサービス提供開始を目指すと説明。さらに、将来的には、天候や衛星写真などのさまざまなデータを活用し、気候や地形に応じた施肥設計の最適化や高度化を実現するとともに、今回の実証の対象である「施肥設計」「圃場管理」に加えて、「販売・流通」「教育」などの農業工程を一貫してサポートするサービスの提供を目指して取り組んでいくとしている。

 また、今後もJOAAおよびNTTコムウェアは「持続可能な農業」の促進に貢献するため、BLOF理論のさらなる普及に取り組むとともに、農業IoTの普及や、生産者と消費者のマッチングに取り組んでいる株式会社NTTドコモとも連携し、地方創生、一次産業の生産性向上に寄与することを目指すとしている。