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富士通、AIを活用した記事自動要約システムのトライアルサイトを公開

 富士通株式会社は8日、AI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用し、高い精度で瞬時に自動で記事の要約や顔写真の背景を着色できる無償のトライアルサイトを、メディアをはじめとする企業向けに公開した。

 自動記事要約システムは、記事全文から重要度の高い文章をAIが判定し、180文字以内で抜粋する重要文抽出と、AIが単語の生成確率などに基づいて単語の結合や長い表現を言い換えることで、より短い54文字以内の文章に要約できる生成型要約の2種類の機能がある。企業は、トライアルサイト登録後、要約したい文章をサイト上に入力するだけで、瞬時に精度の高い文章に要約できる。

 重要文抽出機能は、記事全文から重要度の高い複数の文章を抽出し、文体などを変えずに瞬時に180字以内の要約記事を作成する。文章の冒頭から機械的に抜粋して要約文章を作成する従来の自動要約手法に比べ、全文を対象に人手と同等に高い精度の要約文章を作成する。

 生成型要約機能は、重要文抽出機能よりも短い文章要約を可能にするため、約8万件の記事全文と要約記事のデータを学習させたAIが表現も言い換えることで、重要な文章を抽出するだけでなく、54文字以内の短文を瞬時に作成する。機能は、ディープラーニング技術を活用し、単語の削除、語順の変更、言い換えを学習したモデルを用いることで、単語や接続詞などを文章がつながるように組み合わせて要約文を作成。新聞などニュース原稿の要約記事、SNS投稿用の短文、公共交通機関の電光掲示版やデジタルサイネージへ配信するニュースなどの作成に活用できる。

生成型要約機能による要約イメージ

 富士通では、新聞社では新聞紙面などに掲載した記事を他メディアに配信する際に人手で記事を要約する作業を行っているが、配信先のメディアによって文字数の制限が異なるため、その都度文字数に応じた要約を行う必要があると説明。また、近年、自治体や企業がオウンドメディアやSNSを活用した情報発信を強化し、オリジナルの文章をさまざまなパターンに要約する機会が増えているという。

 こうした背景を受け、富士通では2018年からメディア向けに開発・提供しているAIを活用した自動記事要約システムを、より多くの企業に体験してもらうため、トライアルサイトとして期間限定で公開する。利用可能期間は、トライアルサイトの利用開始から90日間。

 また、トライアルサイトでは、新聞や雑誌などに掲載する顔写真の背景に特定の色を塗る作業を自動化する機能も提供。あらかじめ顔写真のデータを学習させたAIが、顔と背景の境を判別し、顔以外の不要な背景を着色。トライアルサイトに顔写真をアップロードするだけで、瞬時に背景を着色した写真を作成できる。

 富士通では、今後も顧客業務効率化につながる技術研究を進め、適宜トライアルサイトで公開していくとしている。自動記事要約システムと顔写真の背景着色機能などについては、2019年度下期にソリューション提供を予定する。