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KPMGコンサルティング、「情報銀行設立支援サービス」の提供を開始

 KPMGコンサルティング株式会社は14日、個人から預かったデータの利活用を目的とした「情報銀行(情報利用信用銀行)」事業への参入に取り組む企業や団体を支援する「情報銀行設立支援サービス」の提供を開始した。

 KPMGコンサルティングでは、情報銀行は個人データの本人関与の下で個人データの蓄積・管理・流通・活用するための仕組みで、情報銀行に蓄積された個人のデータや、企業が保有する産業データなどの取引を活性化させ、企業や分野を越えたデータ流通の基盤となることが期待されていると説明。また、情報銀行は、企業のグローバル市場における競争力を高めるほか、医療や介護、観光、防災など、さまざまな業界や社会インフラにおける課題の解決に有効と考えられているという。

 海外では、欧州を中心に本人の意思を尊重した個人データ活用を実現する流れがある中、国内では情報漏えいや不正利用、不透明なデータ管理体制などへの消費者の懸念が高く、また個人情報の利活用への理解は他国に比べ低い傾向にあり、取り組みが進んでいないのが現状だと説明。一方、既に活用している日本企業も一定数存在し、また、検討中の企業も含めると、日本企業における個人データの活用は今後、急速に進むと考えられるとしている。

 こうした状況を受け、KPMGコンサルティングでは情報銀行設立支援サービスとして、情報銀行事業への参入を検討する企業や団体に対し、「戦略・立案」「設計」「構築・導入」「運用・事業拡大」までを包括的に支援するサービスを提供する。

 戦略・立案については、企業が保持するデータと市場のニーズを分析し、情報銀行事業実施に向けた戦略策定に加え、法規制の調査・対応やデータマネジメントなどの具体的なアクションに対する計画を立案する。

 設計については、情報銀行事業を行う上で必要なシステムおよび業務の設計を実施。情報銀行の要諦であるデータ収集・提供方法とデータ保護方法について多角的に分析し設計を実施する。

 構築・導入については、システムを構築するための支援や情報銀行業務の遂行に向けた定着化を支援。業務の適正を確保するための体制や実施基準など、実施時に発生する課題を予防するためのリスクマネジメントを支援する。

 運用・事業拡大については、情報銀行業務を維持拡大するための情報拡充や取引先増加等の売り上げ増加に向けたマネジメントコンサルティング、事業継続リスクに備えたリスクコンサルティングを継続的に実施する。

 また、情報銀行事業の実現には、データ提供者の理解が不可欠だが、消費者に分かりやすい仕組みのほか、個人情報の管理方法や安全性の担保など、さまざまな課題があると説明。多くの企業がリスクを恐れて個人データの利活用を躊躇していることもあり、ビッグデータの利活用の活性化には消費者のみならず、データを管理する企業側のリテラシーの向上も重要だとしている。

 KPMGコンサルティングでは、GDPR(EU一般データ保護規則)や中国サイバーセキュリティ法への対応において実績とノウハウを有し、さらにブロックチェーンやAI(人工知能)をはじめとした最新のテクノロジーに精通したプロフェッショナルが、KPMGのグローバルネットワークを活用し、情報銀行事業への参入を支援するとしている。