ニュース

アサヒビールとNEC、「輸入ワイン中味自動検査機」を共同開発

 アサヒビール株式会社は17日、日本電気株式会社(以下、NEC)と共同で画像処理技術を活用した「輸入ワイン中味自動検査機」を開発したと発表した。現在、人が目視で実施している輸入ワインの検品作業の品質水準を維持した上で、さらに「自動検査機」を導入して効率化することで、最適な品質管理体制を目指すとしている。

 輸入ワイン中味自動検査機は、赤外光照明やカメラおよび画像処理技術を活用し、ワインに異物が混入していないかを確認する検査装置。作業員が検査機にワイン瓶をセットして検査をスタートすると、約10秒間、瓶が傾斜・旋回する。その際に、液体に緩やかな渦流が発生するため、ラベルの陰に隠れた異物まで高精度に検出できる。

 あらかじめ各種瓶形状に応じた最適な傾斜・旋回パターンの設定や、赤ワインや白ワインなど液色に応じた最適な光量、撮像タイミングを設定して登録することで、作業員は検査したい品種を選択すれば自動で検査できる。

輸入ワイン中味自動検査機
作業員が瓶を検査機にセットする様子

 アサヒビールでは、チリワイン「サンタ・ヘレナ・アルパカ」をはじめ11カ国約500SKUの輸入ワインを取り扱い、2018年の輸入ワインの販売数量は10年前と比較して約2.3倍に拡大しており、今後も拡大を目指す輸入ワイン販売数量に対して、より効率的で最適な検品体制を確立することにしたと説明する。

 現在は、検査作業員が目視による検品を実施しており、瓶を光に透かしてラベルの隙間から液体に微細な異物が混入していないか確認する作業のため、経験と熟練した技術が必要で、輸入ワイン販売数量を検品作業するために1ラインあたり10人程度の作業員が必要となっているという。

 こうした状況に対して、自動検査機を導入することで、検品作業の効率化を図ると同時に、今後見込まれる労働力不足に対応すると説明。初心者でも対応できるため労働力が確保しやすくなり、今後の輸入数量増加に対応できる柔軟な勤務体系とすることも可能になるとともに、作業員の成熟度の違いによる差がないため、検査品質の均一化が図れるとしている。

 輸入ワイン中味自動検査機をは、2019年4月から輸入ワインの受入拠点である横浜倉庫に1機導入してテスト稼働を開始。2019年9月からは、輸入ワイン中味自動検査機を3機に増設し、検査ラインとして1ラインを本格稼働させる。さらに、2021年内までに、関西と九州の倉庫にもラインを順次導入し、全国3カ所に合計4ライン(12機)で自動検品ができる体制を目指し、時間あたりの検品生産性を3倍とする予定としている。