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インフォア、クラウドBIプラットフォーム「Birst」を日本市場に投入

パートナー施策を強化、3年後に国内売上倍増を目指す

 インフォアジャパン株式会社(以下、インフォア)は12日、クラウドBIプラットフォーム「Birst」を日本市場で本日から提供開始すると発表した。同日に行われた記者発表会では、「Birst」の製品概要の紹介とともに、日本市場での今後のビジネス戦略について説明した。

 クラウドベースのBIプラットフォームであるBirstは、組織内のさまざまな部門で管理されている分析データモデルを連携させ、データの重複管理を行うことなく企業全体にまたがる分析を可能にする、「ネットワークBI」というコンセプトをもとに設計された。

 同社が展開している業界特化のクラウドERPに「Birst」を加えることで、クラウド上の統合されたデータから得られるインサイトや相関関係、予測分析を、使いやすいユーザーインターフェイスで提供し、ビジネス全体の可視化やスマートな意思決定を支援する。

 日本での提供開始に合わせて開催された記者発表会で、インフォア 代表取締役のヘレン・マスターズ氏は、「当社は、クラウド型業務アプリケーションのグローバルリーダーであり、過去5年間で25億ドルの開発投資を行い、多数の新製品および業界特化の新機能を提供してきた。現在、当社の従業員は全世界で1万7300人を超えており、170以上の地域で6万8000以上の顧客を支援している」と、グローバルのビジネス概況を紹介。

 「アジアパシフィック地域については、2019年度Q3終了時点(2019年1月末)で、総売上が前年同期比128%、新規顧客が同156%、平均取引額が同135%、顧客継続率は91.7%と好調に推移しており、予想を上回る速度で成長を続けている」と述べ、同地域が大きく伸びていると強調した。

インフォア 代表取締役のヘレン・マスターズ氏

 その中で日本市場のビジネスの状況は、2019年度Q3終了時点で、クラウド事業、オンプレミス事業ともに前年同期比2ケタ成長となり、総売上も同2ケタ成長を達成したという。新規顧客は前年同期比134%、平均取引額は同128%、顧客継続率は95.2%となっている。最新の導入事例としては、セガエンタテインメントが、経営環境刷新のためにインフォアの製造業向けERP「Infor LN」を採用したことを発表している。

 来期(2020年4月期)に向けた日本市場での取り組みについて、インフォア 副社長執行役員 営業本部長の三浦信哉氏は、「製造業向けの『CloudSuite Industrial』の販売をパートナー企業に移管していく。あわせて、パートナー施策を強化し、各種ドキュメントの日本語化やトレーニングプログラムの拡充を図り、3年間で100人の認定技術者の育成を目指す。また、新たなマーケットやソリューションでの協業を通じて、新規パートナーの開拓も進めていく。このほか、顧客満足度のさらなる向上のため、営業リソースの再配置を行い、製品ごとのユーザーグループを発足させる」との計画を明らかにした。

インフォアジャパン 副社長執行役員 営業本部長の三浦信哉氏

 クラウド関連リソースへの投資も拡大していく考えで、「クラウド製品およびオペレーション関連の日本人サポートリソースの採用・育成に力を注ぎ、クラウドビジネスパートナーへの支援を強化していく。そして今回、新たなクラウドソリューションとして、クラウドBIプラットフォーム『Birst』を日本市場に投入する」とした。「これらの取り組みによって、3年後の2022年度には、日本市場での売り上げを倍増させ、クラウド事業の売上比率を全体の40%に引き上げる。また、チャネルパートナーの売上比率を25%に拡大し、売り上げを現状の3倍まで高めていく」と、さらなるビジネス拡大に向けて意欲を見せた。

 今回、日本市場で提供開始する「Birst」の製品概要については、インフォア ソリューションコンサルティング本部 本部長の石田雅久氏が説明。「当社の製品は、『プラットフォーム』、『インダストリー』、『クラウド』、『ネットワーク』、『アナリティクス』、『A.I』の6つのレイヤーで展開しているが、『Birst』はアナリティクスレイヤーのメインソリューションに位置付けられる。“クラウド生まれ”のアナリティクスプラットフォームであり、パブリック/プライベートクラウドからオンプレミス、ハイブリッドまで、あらゆるデータソース環境に対応している」という。

インフォア ソリューションコンサルティング本部 本部長の石田雅久氏

 「また、エンタープライズレベルで使用可能なスケーラブルなアーキテクチャを採用。データソースからのデータ抽出やデータ準備、レポート設計、さらにはダッシュボードによる可視化まで、ビジネスの意思決定に必要な分析機能をワンストップで提供する」と、「Birst」の特徴をアピールした。

「Birst」のソリューション概要

 主な機能として、「オートデータリファインメント」では、複数のデータソースからメタデータを解析し、分析に必要なデータモデルを自動的に作成する。業務ですぐ活用できるデータモデルに変換してデータストアに保管することで、容易なデータアクセスやデータ抽出を実現する。これにより、IT部門は時間のかかる、エラーが発生しやすいETLプロセスを実行する必要がなくなるという。

「オートデータリファインメント」機能のイメージ

 また、データソースのビジネスルールや定義を共通化して、ユーザーが再利用可能な「セマンティックレイヤー」を生成・管理することが可能。これにより、企業全体にとっての唯一真実のソースがタイムリーかつ適切に維持・提供されるため、すべてのユーザーが自動的に使用しているデータの正確性を信頼できるようになる。

 「スマートアナリティクス」機能では、ビジネスユーザーが特定のKPIと無数のビジネス変数との間の有意義な関係を見つけ、KPIの結果を説明するのに役立つ、ビジュアライゼーションとダッシュボードを自動生成する。完全にパーソナライズされた機能で、セキュリティフィルタ、ダッシュボードのコンテキスト、行レベルセキュリティ、およびユーザーの選択に基づいて、各ユーザーに合わせた一意の結果を提供する。

「Birst」のダッシュボード画面

 「セルフサービスデータ準備」では、事前定義された豊富なデータソースコネクタと、ビジネスユーザー向けにデザインされたビジュアルで使いやすいデータトランスフォーメーション機能を提供する。これにより、IT部門は各部門や個人に個別のデータフィードを提供する必要がなくなり、ユーザーのセルフサービスによる分析データ変換・分析を促進することが可能となる。