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福田組、NEC、演算工房など4社、トンネル掘削時の仕上がり状況を可視化しガイダンスするシステムを開発

 株式会社福田組と日本電気株式会社(以下、NEC)、NECソリューションイノベータ株式会社(社長:杉山清)、株式会社演算工房の4社は3日、トンネル掘削時の仕上がり状況を可視化しガイダンスする「Te-S(ティーエス)アシスタント」を開発したと発表した。山岳トンネルにおける施工管理の効率化を目的としており、SfM(Structure from Motion)技術を活用した写真測量によって実現している。

 山岳トンネル工事における掘削作業では、設計断面を確保するために適正な形状で掘削されているかどうかを確認する必要がある。もし掘削が足りていない場合は、トンネル断面が確保できない恐れが発生してしまうほか、逆に掘削しすぎた場合は、作業手間のロスや、吹付けおよび覆工コンクリートなどのロスにつながってしまうという。

 現在、通常は作業員の目視によりこうした過不足を確認しているものの、特に切羽(坑道の先端)での目視確認は切羽に接近して行うため、切羽崩落災害に巻き込まれるリスクもあるとのこと。

 今回開発されたシステムは、こうした課題を踏まえたもので、画像から点群データを生成するSfM技術を活用しており、掘削箇所を撮影するカメラ、タブレットPCと、画像から点群データを生成するとともに計測値と設計図面との比較結果を色分け表示する解析ソフトウェアから構成されている。

 具体的には、掘削に先立ってGCP(Ground Control Point)と呼ばれる既知座標のマーカーを設置しておき、GCPを含むように掘削箇所を撮影すると、無線LAN環境のもとで、画像がタブレットPCへ自動転送される仕組み。解析ソフトウェアは、転送された画像をもとに、GCPの自動認識、点群データの生成、掘削箇所の形状データと設計断面との比較、および掘削の過不足表示などを自動的に行い、その結果を提示するとした。

システムの概要

 なお現在、新潟県で施工中の竹ヶ鼻トンネルにおいて、インバート掘削の管理に一部区間で適用したところ、10枚前後の画像を用いた場合で、精度±10~15mm程度の面的管理を実現できたという。時間も、従来のやり方では15分程度かかっていたのに対し、汎用のタブレットPCを用いて、演算に1.5分程度、描画に20秒程度の短時間で行えたとのこと。

掘削出来型の評価結果の例

 なお新システムは、インバートの掘削管理だけでなく、切羽での掘削管理、覆工およびインバートコンクリートのボリューム管理などにも適用可能と考えられているほか、全国のトンネル現場に展開することも検討されている。