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HDD、フラッシュに続く第3の柱へ成長できるか――、ウエスタンデジタルが国内のシステム事業を本格展開

NVMeフラッシュアレイを国内で提供、4つの分野で製品を訴求

 ウエスタンデジタルジャパンは28日、日本市場向けにフラッシュストレージ「IntelliFlashシリーズ」を提供開始したと発表した。同社の販売パートナーを通じて提供される。

 一般にはHDD/SSDなどのデバイスメーカーとして知られる米Western Digitalだが、米国や欧州、中国などではすでにデータセンターシステム(DCS)部門によるシステムビジネスを展開しており、IntelliFlash以外にも、JBODなどのプラットフォーム製品「Ultrastar」、コンポーザブルインフラストラクチャ「OpenFlex」、オブジェクトストレージ「ActiveScale」といった製品が提供されているという。

 一方、日本国内でのDCS部門のビジネスは、Ultrastarの提供など一部にとどまっていたが、今回、IntelliFlashの国内提供に伴ってDCS部門を強化し、4つのラインアップすべてを国内で展開する準備が整ったとのこと。

4つの製品ポートフォリオ

 日本においてDCS部門を担当することになった、サンディスク株式会社(ウエスタンデジタルジャパン) エンタープライズビジネス担当シニア・ディレクターの河野通明氏は、「従来、国内ではデバイスビジネスのみだったが、IntelliFlashシリーズの国内投入と同時に、(DCS部門が扱っている)システムビジネスの本格展開を発表することとなった。こうしたビジネスをするにあたって必要なサポート面での協業や、システムインテグレータとの協業なども進んでいる。また7月ごろをめどに、藤沢工場で製品の出荷前検査を行う体制も整備したい」と述べ、国内でのビジネス展開を進めていくことを宣言した。

日本でのエンタープライズビジネスの展開
国内ビジネス体制構築に向けた方策
サンディスク株式会社(ウエスタンデジタルジャパン) エンタープライズビジネス担当シニア・ディレクターの河野通明氏

Western Digitalが一括して対応できる強み

 Western Digitalがすでに大きな実績を持つHDDやフラッシュメモリなどとは異なり、DCS部門のシステムビジネスは、海外でも数年前に立ち上がったばかりだが、米Western Digital データセンターシステムビジネスユニット開発担当バイスプレジデント、トニー・チャン氏が「3年で17倍の成長を遂げているほか、3000社以上の顧客に8500以上のプラットフォームが導入された。さらに、四半期ごとに150以上の新規顧客を獲得している」と述べるように、現在、急速に受け入れられているという。

米Western Digital データセンターシステムビジネスユニット開発担当バイスプレジデント、トニー・チャン氏
データセンター向けシステムのビジネスは著しい成長を遂げているという

 ウエスタンデジタルジャパンの河野氏はこの理由として、「シリコンからシステムまでを一貫して提供でき、Western Digitalが一括して対応できる強みがある。また、パートナーシップにより安定した製品を提供できること、サプライチェーンも自社で構築しており、効率の高い製品を提供可能。さらに、(Western Digitalは)会社の規模も大きく安心してお使いいただける点も大きい」といった点を挙げる。

 もちろん、高い技術力を背景に製品自体が優れていることもその理由の1つとのことで、例えば、今回発表されたIntelliFlashのうち目玉となるNVMe統合型フラッシュアレイ「Nシリーズ」では、NVMeならではの速度と効率性を生かし、NVMe非対応オールフラッシュアレイの最大3倍の性能を提供しつつ、200μ秒の低遅延を実現しているという。

 また、インライン圧縮や重複排除などの機能を提供するストレージOS「IntelliFlash OS 3.9」の機能と、SAN/NASプロトコルのネイティブサポートにより、さまざまな用途で利用されているとした。その例としては、取引処理、リアルタイム解析、データベース、仮想化、ファイルサービスワークロードなどが挙げられている。

 サンディスク株式会社(ウエスタンデジタルジャパン) エンタープライズビジネス 技術担当ディレクターの首藤憲治氏はさらに、「10年前にオールフラッシュアレイが出てきた時には、『速いからこれだけでいい』と言われていたが、今ではアプリケーションごとにニーズが多様化している」点を指摘。IntelliFlashシリーズでは、あるアプリケーションで性能が必要な場合は重複排除を切って高速化する、その他のアプリケーションでは重複排除を効かせるなど、同一のストレージ内でもアプリケーションに応じた設定ができるため、用途に応じて効果的にストレージを使い倒せるとアピールした。

 IntelliFlashシリーズのラインアップとしては、Nシリーズ以外に、通常型オールフラッシュアレイの「HDシリーズ」、ハイブリッドフラッシュアレイの「Tシリーズ」も用意されており、性能や価格などの要件に応じて、適切なモデルを選択可能になっている。

IntelliFlashシリーズ
IntelliFlashシリーズのラインアップ