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トレンドマイクロの2019年事業戦略、「すべてのものがつながる世界では包括的な対策を」
2019年3月28日 06:00
トレンドマイクロ株式会社は27日、2019年の事業戦略発表会を開催した。同社 代表取締役社長 兼 CEOのエバ・チェン氏は、すべてのものがつながる世界においては、点と点をつないで全体像を把握する必要があると説明。
「エンドポイントやクラウド、ネットワークなど、それぞれの安全性を確保していたとしても、すべてがつながっている世界では包括的なセキュリティ対策が必要だ」として、今後セキュリティレイヤ全体の可視性をより高めていくと述べた。
その上で、同社 取締役副社長の大三川彰彦氏は、2019年に注力する分野として、「事業プロセスに沿った組織横断型セキュリティソリューションの提供」「規模や業種に最適なSOC(Security Operation Center)支援」「IoT関連ビジネスの推進強化」の3点を挙げた。
まず組織横断型セキュリティソリューションに関して大三川氏は、「企業の事業プロセスは、商品企画、開発、サービス、サポートというサイクルで回っているが、すべてがつながった世界では、これらのプロセス全体のセキュリティを担保しなくてはならない」と話す。
そこでトレンドマイクロでは、商品企画やサービス提供で利用するシステムを保護するIT向けソリューションと、業種特有の環境を保護するOT(Operational Technology)向けソリューション、さらにはセキュリティリスクを可視化して対策案を提示するリスクアセスメントなどを提供するという。
規模や業種に最適なSOC支援に関しては、マネージドセキュリティサービスパートナー(MSSP)に対し、サイバー攻撃の事前予防(EPP:Endpoint Protection Platform)と事後対処(EDR:Endpoint Detection and Response)を統合した総合エンドポイントセキュリティ製品「Trend Micro Apex One」や、「ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス」を提供することで、IoT環境のSOC支援を行う。また、製品出荷後のセキュリティを担保する製品SOCも支援するとしている。
IoT関連ビジネスについては、「スマートホーム、スマートカー、スマートファクトリーの領域に注力する」と大三川氏。これらの分野で知見のあるパートナーと連携しソリューションを提供するという。
スマートホームの分野では、通信事業者の通信網を介したソリューション「Trend Micro Consumer Connect」を提供する。これにより、家庭内のIoTデバイスへの攻撃をブロックするという。
スマートカーの分野では、カーナビなど車載インフォテインメント機器への攻撃を防ぐIoT機器向けソリューション「Trend Micro IoT Security」を提供する。また、パートナーと連携して車の走行を制御する車載ネットワーク向けソリューションも開発する。
スマートファクトリーの分野では、2018年11月に発表した台湾Moxaとの合弁会社TXOne Networksにて、産業制御システム用ソリューションを開発する。Moxaは産業ネットワークとプロトコルの専門性を持つ企業で、大三川氏はTXOne Networksの会長を務める。開発中のソリューションは、産業用ファイアウォールや産業用IPS、産業用ネットワークの統合管理ツールなどだ。会見では、工場のベルトコンベアを停止させようとする不適切な命令を検知し、生産ラインが止まることなく動き続けるデモが披露された。
大三川氏は、「産業制御システムは攻撃されないことを前提に作られているケースが多いが、いまやこうしたシステムに対する攻撃への関心が高まっている」として、対策の重要性を強調した。