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レッドハット、Kubernetesネイティブな統合開発環境「CodeReady Workspaces」を提供

 レッドハット株式会社は21日、Kubernetesネイティブな統合開発環境(IDE)「Red Hat CodeReady Workspaces」を発表した。米国で2月5日に発表された内容の、日本での発表となる。

 2月20日に開催された記者説明会では、米Red HatのOpenShiftおよび開発ツール 技術担当バイスプレジデントであるCarl Trieloff(カール・トリエフ)氏が、CodeReady Workspacesについて解説した。

米Red HatのOpenShiftおよび開発ツール 技術担当バイスプレジデントであるCarl Trieloff(カール・トリエフ)氏

クラウドIDEや関連プラットフォームをOpenShiftで動かす

 CodeReady Workspacesは、サーバーで動作しWebブラウザから利用するクラウドIDE「Eclipse Che」を中心とした製品。コーディングやビルド、テスト、デバッグなどの機能を持つ。KubernetesをベースにしたコンテナプラットフォームであるRed Hat OpenShiftのサブスクリプションライセンスがあれば、追加料金なしで利用できる。

 Red Hatではすでに、Eclipse Cheを中心とした、コーディングからデプロイまでをカバーする開発環境「OpenShift.io」をサービスとして提供している。それに対しCodeReady Workspacesは、OpenShift上で動くソフトウェア製品で、オンプレミスやパブリッククラウド上などのOpenShift環境にインストールして動く。機能も主に開発の部分に特化している。

CodeReady Workspaces概要
OpenShiftでのアプリケーションの流れとCodeReady Workspaces

Kubernetes上のアプリケーションのテンプレートを共有

 開発対象も、Kubernetes上で動くクラウドネイティブなアプリケーションを想定している。CodeReady Workspaces上の開発では、アプリケーション開発に必要なコンテナイメージをまとめたテンプレートの「スタック」や、プロジェクトのテンプレートの「ファクトリー」をあらかじめ用意しておくことで、開発を効率化できる。

 「コンテナベースでも、本番環境とは別の開発環境で開発していると、たとえば本番環境のセキュリティポリシーに合わなくて修正の必要が生じることがある。これを開発工程の後のほうになってから対応するとコストがかかる。最初からセキュリティポリシーに適応したテンプレートを元に開発すれば、そうした問題を防げる」(Trieloff氏)。

アーキテクトやエキスパート、オペレーション担当などがスタックやファクトリーを整備し、一般開発者はその上で開発する

 Trieloff氏はローカルのIDEを使う場合について、ソースコードはgitで共有でき、開発ツールなどは共通のIDEで共通化できるが、OSやサーバー、データベースなどはそれぞれ管理する必要があると主張。それに対してCodeReady Workspacesでは、すべてを共有でき、世界のどこからでもクリックして同じ環境をすぐに使えると述べた。

ローカルの開発ではOSやサーバーなどはそれぞれ管理する必要がある
CodeReady Workspacesでは環境をすべて共有

Webブラウザ内にコーディングや端末などIDEの機能

 実際にCodeReady Workspacesを動かしたデモもTrieloff氏は見せた。ログインしてスタックを選べば新しいワークスペースを作れる。ワークスペースでは、個人マシンで動くIDEと同じような画面がWebブラウザーの中で表示され、コーディングやターミナルでのコマンド実行などができる。ほかの人の変更も、自動的に取り込まれる。たとえばビデオ会議で相談をしていて、ワークスペースのURLを送ってログインしてもらえば、いっしょに作業ができる。

「コラボレーションを助けて生産性を向上させる。たとえば、個人マシンごとにオフィス製品で作業していたのが、Googleドキュメントのようなクラウド型のオフィス製品でコラボレーションすることで、生産性が向上する。それと同じことが、ソフトウェア開発でも起こると考えている」(Trieloff氏)。

スタックを選ぶ
CodeReady WorkspacesのIDE画面。中央にコードを編集し、その下でターミナルを使える

コード解析やKnative用ビルドパイプラインなども紹介

 そのほか、OpenShift用のコマンドラインツールodo(OpenShift Do)や、Visual Studio Code用のOpenStackプラグイン、その中で利用できるコード解析などもTrieloff氏は紹介。また、IntelliJ用のプラグインや、サーバレスプラットフォームのKnative用のビルドパイプラインなども開発していると語った。

Red Hatの開発ツールポートフォリオ
コード解析。類似のソースで使っているパッケージのサジェストや、ライセンス互換性の警告などの機能がある