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B2Bの購入者にもB2CのEコマース体験を――、セールスフォースがビジネス向けEコマースプラットフォームを提供

 株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は7日、ビジネス向け(B2B)のEコマースプラットフォーム「Salesforce B2B Commerce」を同日より国内で提供開始すると発表した。

 Salesforce B2B Commerceは、一般消費者向け(B2C)のEコマースにおける購買体験を、ビジネス向けでも実現できるよう支援するソリューション。すでにセールスフォースでは、消費者向けEコマースプラットフォームとして「Salesforce Commerce Cloud」を2016年より提供しており、Salesforce B2B CommerceによってCommerce Cloudのポートフォリオを拡張する。

 セールスフォース 執行役員 Commerce Cloud担当の竹内賢佑氏によると、Commerce Cloudは2016年7月に買収したDemandwareの製品がベースとなっており、今回発表したB2B Commerceは2018年3月に買収したCloudCrazeの製品を統合したものだという。

 竹内氏は、B2B Commerceを提供する背景について、「ビジネス購入者も消費者向けのショッピング体験と同様の体験を求めている。アカウントにログインし、マイページで購入履歴を確認したり、ヘルプで質問したりといったように、B2Cのようなつながりのある購買体験を期待しているのだ」と語る。

セールスフォース 執行役員 Commerce Cloud 竹内賢佑氏
ビジネス購入者もつながりのある購買体験を求めている

 「しかし、ビジネスでの購買活動はいまだレガシーのコマースソフトウェア上にて行われており、つながりのある購買体験が提供できていない。CRMデータの連携やシステム統合に時間やコストがかかるためだ」(竹内氏)。

 こうした課題を解決するのがB2B Commerceだという。セールスフォース セールスエンジニアリング本部 マスターソリューションエンジニアの大川宗之氏は、同製品の特徴について「B2Cのような利便性の高いユーザー体験が提供でき、B2Bに求められる複雑な処理にも対応する。また、CRMと組み合わせることで、マーケティングと連携したサービスが実現する」と説明する。

 大川氏は製品デモにて、B2BコマースサイトにB2Cの要素を取り入れたページを披露。画面サイズによってレイアウトが変わり、容易にモバイル対応できるとしたほか、B2B向けの製品であっても特徴に合わせて絞り込み要件を用意したり、製品比較機能やお薦め商品機能を提供したりして効率的に商品を見つける様子を紹介した。

B2B Commerceの特徴
B2Bの複雑な要件に対応する
B2B Commerceのデモ画面
セールスフォース セールスエンジニアリング本部 マスターソリューションエンジニア 大川宗之氏

 また、B2Bの購買手続きは取引先を通じて行われ、取引先ごとにカタログや値引率などが異なることもあるが、B2B Commerceではアカウント階層や複雑な価格設定、カスタムカタログ、柔軟性のある出荷および出荷オプションにも対応しており、取引先に応じたUIを提供することが可能だという。

 もちろん、B2Bによくある大量発注や、複数の配送地点および決済方式にも対応する。また、定期的に同じパターンで購入することの多い顧客に向け、パターンを保存してワンクリックで再発注できるような機能も提供している。

 さらに、CRMデータと組み合わせることで、顧客情報と購買状況の関連性が可視化できるほか、顧客側も契約に基づいた価格や条件が画面上で確認できるため、販売元に問い合わせすることなくオンライン上で商品の購入が可能だ。

 また、顧客との過去の取引情報がグラフ化されているので、「顧客に対する過去の営業活動が確認できる。カートの現状も把握でき、カート放棄が一定期間を過ぎるとクーポンを発行するといった対策も可能だ」(セールスフォース セールスエンジニアリング本部 ソリューションエンジニア 吉井平八郎氏)という。

 竹内氏は、B2Bにおいても「ERP中心のEコマースから、顧客中心のEコマースへとシフトするべき時期だ」と述べ、顧客をさまざまな方向から把握した上でニーズに合ったオンライン購買体験を提供するよう主張した。