ニュース

パナソニック、地域BWAを活用した無線通信サービス「プライベートLTEネットワークシステム」を2019年春に商用提供

 パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社(以下、パナソニック)は29日、地域広帯域移動無線アクセス(地域BWA)を活用して無線通信サービスを提供する「プライベートLTEネットワークシステム」を開発し、2019年春からの商用提供を予定すると発表した。

 地域BWAは、2007年から「地域WiMAX」としてデジタルデバイドの解消や地域の公共の福祉の増進に寄与することを目的として導入された、2.5GHz帯の周波数の電波を用いた電気通信業務の無線システム。2014年10月からは、電波法令の改正によりこれまでのWiMAX方式に加え、LTEベースの技術も利用可能となるとともに、20MHz帯域幅の割り当ても可能となり、より高度な通信サービスが可能となった。

 パナソニックでは、この地域BWAを活用して、無線通信サービスを提供するプライベートLTEネットワークシステムを開発。システムは、1)キャリアサービスが提供されていない、主に地方部のデジタルデバイドを解消するネットワークの提供、2)監視カメラ画像伝送など、高速・大容量化のニーズに対応する地域ネットワークの提供、3)新たなサービスとして、各種IoTデバイスを活用する地域ICT化や安心・安全のための防災・減災対策ソリューションへの対応――など、公共サービス向上のための共通無線インフラとして利用できるとしている。

 パナソニックは、北海道の自治体における農業IoTの実証実験に参画するとともに、2018年4月には電気通信番号(PLMN-ID)を取得し、専用SIMカードを発行・提供することが可能となった。

 プライベートLTEシステムについては、耐災害性を備え、コア装置を集約型ではなくローカルコア化して顧客先に設置することで、災害に強い構成としており、災害時に運用監視センター(クラウド)との回線が切断した場合も、ローカル側のみで通信を継続できる。

 また、システムで提供する専用SIMカードを入れた端末のみがプライベートLTEネットワーク内で利用できることから、高いセキュリティ性を実現。運用に応じた優先度の制御(SIMカード毎のQoS設定など)により、柔軟なシステム設計を可能にした。

 プライベートLTEシステムの用途としては、地域ICT化や離島への遠隔授業などのICT教育、遠隔医療などを含む地域包括ケア、テレワークなど、防災情報や地域情報の高度化に加え、農業ICTのインフラとしての利用など、地域ごとの特色にあわせた住民サービス高度化に活用できるとしている。

 パナソニックでは、地域BWAの活用に加えて、小ゾーンのsXGP方式への対応も予定しており、よりユーザーニーズに合わせたエリア設計(室内や地下空間での利用など)を実現していくと説明。また、今後の5G無線ネットワークにおいても、自営で耐災害性・高セキュリティを実現するシステム開発に取り組んでいくとしている。

パナソニックのプライベートLTEシステムの概要図