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IIJ、クラウド型ネットワークサービス「IIJ Omnibusサービス」の機能を拡充

LAN内の機器をクラウド側で設定管理できる「SD-LAN」、独自のVPNサービスなどを提供

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は24日、SDN/NFVの技術を活用したクラウド型のネットワークサービス「IIJ Omnibusサービス」について、機能の拡充を発表した。

 IIJ Omnibusサービスは、SDN/NFVの技術を活用することで、インターネット、WAN、セキュリティなど企業ネットワークに必要な機能を仮想化し、オンデマンドで提供するネットワークサービス。

IIJ Omnibusサービス

 今回の機能拡充としては、LAN内のネットワーク機器をクラウド側で設定管理できる「SD-LAN」機能の提供を開始した。

 SD-LAN制御には、日本ヒューレット・パッカード株式会社Aruba製のAruba Centralを採用。クラウド上の運用管理画面で、LAN内にあるLANスイッチやアクセスポイントの機器設定・構成管理が行え、アプリケーション単位の制御や帯域制限など豊富な機能を備える。これにより、LAN内トラフィックを制御し、WANへの不要なトラフィックの流入を防ぐとともに、WANからLANまでネットワーク全体を可視化し、統合的な運用管理を実現する。

LAN内のネットワーク機器をクラウド側で設定管理できる「SD-LAN」機能を提供

 一方、SD-WANを構成する、各拠点に設置するサービスアダプター(CPE)については、暗号化性能2Gbps以上の「高性能サービスアダプター」と、LTEモジュールを内蔵(NTTドコモ、au、IIJに対応)し、無線アクセスポイント機能を持つ「LTEモバイル内蔵サービスアダプター」を、いずれも2018年度下期中にリリース予定とした。

高性能/LTE対応サービスアダプターを提供

 モバイル環境で安定した接続を実現するためのサービスとしては、新しいVPNサービス「IIJフレックスモビリティサービス」を12月中旬より提供する。

 IIJフレックスモビリティサービスは、UDPベースの独自プロトコルを利用することで、セキュアかつ高速なVPN通信を可能にするサービス。接続用のソフトは、Windows、macOS、Android、iOSに対応。エラー訂正でパケットを復元する独自プロトコルにより輻輳に強く、仮想デスクトップやビデオ会議などのサービスも快適に利用できるという。

 VPNの認証にはActive Directoryが利用でき、、PCにログインすると同時に自動的にVPNにも接続することが可能。切断のオペレーションをしない限りVPNセッションを張り続けるため、一時的な通信断や電波状況の悪い場所でも再接続の手間が不要で切れないVPNを実現し、VPN利用におけるユーザのストレスを軽減し、利便性を大幅に向上するとしている。

独自プロトコルにより「切れにくい」VPNを提供

 さらに、クラウドサービスへのルーティングを実現する機能として、Office 365などのURL更新情報を自動取得し、各クラウドへ最適な経路振り分けを行うプロキシ機能を提供する「クラウドプロキシ」を2018年度中に提供することを発表した。

 このほか、10月18日には、Active Directory、Azure AD Connectの機能をクラウドサービスとして提供する「IIJディレクトリサービス for Microsoft」についても、12月中旬からの提供を発表している。

クラウドプロキシ機能の提供を2018年度内に予定
「IIJディレクトリサービス for Microsoft」も12月中旬から提供

 IIJサービスプロダクト事業部営業推進部の三木庸彰氏は、IIJ Omnibusサービスは2017年3月からの1年間で拠点数が約2倍となり、IIJ Omnibusサービスの網内から直接クラウドサービスもしくはインターネットに接続している割合は全契約の約7割に上っているというデータを紹介。

 クラウドサービス(SaaS)の導入は増えているものの、クラウドサービスの本格利用やマルチクラウド化が進む中で、つなぐためのネットワークやセキュリティについてさまざまな課題が出てきており、そうした課題を解決するのがIIJ Omnibusサービスだとした。

 価格については、2000ユーザー規模の企業で、Office 365をどこからでも安全かつ快適に利用したいという想定要件を参考例として紹介。リモートVPN、クラウドプロキシ、シングルサインオン、アクセス制御、多要素認証の各機能を利用した場合で、1ユーザーあたりの月額合計は約1500円になるとした。

IIJサービスプロダクト事業部営業推進部の三木庸彰氏
料金イメージ(参考例)