ニュース

日立など6社、「情報銀行」の実現に向けた実証実験を開始

 株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立コンサルティング、インフォメティス株式会社、東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)、日本郵便株式会社、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の6社は10日、個人データを本人の管理の下で安全に活用する仕組みとなる「情報銀行」の実証実験を開始したと発表した。

 情報銀行は、個人あるいは事業者が保有する個人データを、本人の同意の下で安全に収集・管理・提供する仕組み。本人が情報銀行のシステム上でデータを提供する事業者を選ぶとともに、本人があらかじめ指定した条件などに基づいて情報銀行が事業者へデータ提供を行い、事業者は受け取ったデータを活用して個人のニーズに合ったサービスを提供できる。

 データ利用の安全性・透明性を確保するため、情報銀行にはセキュリティ対策のほか、事業者によるデータの利用履歴を確認できる仕組みなどが求められる。こうした情報銀行が担うべき役割や要件については、経済産業省および総務省が2018年6月に認定基準を公表するなど、情報銀行の実現に向けた取り組みが進められている。

 実証実験では、情報銀行における個人データの収集・管理・提供の仕組みや個人データを活用したサービスの実現可能性を検証。個人データとしては、性別や世帯構成等の一般的な個人データのほか、各家庭の電力使用量や個人の活動量データなど、今後の普及が予想されるIoTに着目し、センサーから生成されるデータも取り扱う。

 実証実験に参加する6社では、実証実験の結果をもとに、安心・信頼できる情報銀行の条件を整理し、認定基準の改善案として提示することで「情報銀行」の社会実装を加速していくとしている。

実証実験のイメージ

 日立は、情報銀行事業者として、実証実験に参加する社員200人の募集と情報銀行システムの構築・運営を実施。参加者のデータを保有するデータ保有者として、参加者の活動量センサーから得られる健康データ・収入データを本人の同意の下で情報銀行に提供する。実証実験を通じて、情報銀行の運用上の課題の抽出と解決などを検討するとともに、参加者へのアンケートを通じてデータ提供に対する受容性の分析などを行う。

 日立コンサルティングは、情報銀行が個人・データ保有者・データ利用者との間で締結する契約書の雛型となるモデル約款の適切性、十分性の検証や、認定基準の妥当性等などついても検討する。

 インフォメティスは、データ保有者として、参加者の各家庭に電力センサーを設置し、電力データの収集及び情報銀行へのデータ提供を行う。

 東京海上日動、日本郵便、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの3社は、データ利用者として、情報銀行から提供されるデータを用いて、家電向け保険・サービスの開発可能性や、在宅率に応じた宅配ルートの改善可能性、プロファイルに基づくウェブ広告の配信効果をそれぞれ検証する。