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日本マイクロソフトと働き方改革を推進する――、シトリックスの青葉社長が2018年度下期のビジネス戦略を説明

 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)は6日、2018年度上期の事業概況と、下期のビジネス戦略について説明する記者説明会を開催。シトリックスの青葉雅和社長は、「Citrix on Azureを軸に、日本マイクロソフトとの協業によって日本の働き方改革を推進していく。今後は、SD-WANにおいても日本マイクロソフトとの連携を強化していくことになる」との考えを示した。

シトリックスの青葉雅和社長

働き方改革の波が後押し

 米Citrixが発表した業績によると、売り上げは、2018年度第1四半期(2018年1~3月)は前年同期比5%増の6億9700万ドル、第2四半期(2018年4~6月)は前年同期比7%増の7億4200万ドルに達しているとのこと。

 「日本では、2018年度上期(2018年1~6月)には、VDI、ネットワーク、ShareFileの3つをあわせたプロダクトブッキングが前年同期比15%増となった。そのうち、NetScalerによるデリバリーネットワーキングが同52%増、コンサルティングサービスのプロフェッショナルサービスが同129%増。日本における働き方改革の波が、当社のソリューションにあっている。ネットワークの高い成長は、マネジメントアナリティクスシステムとして、NetScaler上を通るトラフィックを管理できる提案が一般企業に受けている」と総括した。

決算ハイライト

 また、「日本においては、欧米に比べてCitrix Cloudのビジネスが遅れている」としたものの、「パートナーが同様のサービスを提供していることが、その背景にある。ただし、その多くは手動で行っているものであり、Citrix Cloudによってこの課題を解決できる。ここにきて、パートナーがCitrix Cloudの採用に向けた検討を始めている」とも述べている。

マーケットカバレッジの拡大、パートナーパイプラインの強化などを図る

 2018年度下期の取り組みとしては、SIerやディストリビュータとの協業強化によるマーケットカバレッジ、大手SIとのソリューション創出やマイクロソフトとのアライアンスによるパートナーパイプラインの強化、パートナーエクスチェンジやEBC(エグゼクティブ・ブリーフィング・センター)の活用などによるパートナースキルの向上を掲げた。

パートナー営業戦略

 特に日本マイクロソフトとの協業では、Citrix on Azureを活用したPoCを推進したり、構築スキルを持ったパートナーの育成に取り組んだりするほか、日本マイクロソフトも重点課題に取り組んでいる「働き方改革」において、足並みをそろえた提案を推進するという。

 また、Windows 10へのマイグレーション需要に対応する上で、Xen Appの活用を提案。「Windows 7などで動作している古いアプリケーションを改修することなく、塩漬けのまま利用する環境を提案できる」とした。

 さらに次のステップとして、SD-WANによる提案を日本マイクロソフトと共同で推進。「Microsoft Azure Virtual WAN」の提供を進めることになるという。

マイクロソフトとの協業

 そのほか、継続的なトレーニングによるパートナーのスキル底上げ、共同セミナーの開催やアウトバンドコールの強化、PoCコストをファンドでカバーするプロモーション展開などを予定しているとのことだ。

2018年度下期も働き方改革が追い風に

 働き方改革は、2018年度下期も同社のビジネスにとって追い風になる。

 シトリックスの青葉社長は、「当社の調査によると、欧米ではオフィスで仕事をする人と、リモートで仕事をする人は半々になってきており、社員は1日に4カ所以上もの場所で働いているのが実態。また、現在の働き手の大多数はミレニアル世代であり、さまざまなデバイスを、働く場所を問わずに利用している」と前置き。

 その上で、「シトリックスは、いつでも、どこでも、あらゆるデバイスやネットワークから、世界中のアプリケーションおよびデータに、セキュアかつ容易なアクセスを実現することを活動指針にしている。『THE FUTURE OF WORK』を掲げているシトリックスにとって、まさに、働き方改革そのものがビジネスになる」とする。

 さらに、「デバイスの管理において、1人あたり1000ドルのコストが負担が生まれている。環境の変化にあわせてシステムのあり方を変える必要があり、IT部門も変わる必要がある」などと語ったほか、「当社は、人にフォーカスしたモノづくりをしており、どんなデバイスからでも、同じイメージで見ることができる。誰が、どこから、どの端末を使っても、どのアプリを、どれぐらい使っているかを把握し、ユーザーの行動を分析。平常時とは異なる行動が起こったときには、インシデントが発生していると判断して、アラートをあげて、次のアクションを取ることができる」とも述べた。

 同社の調査によると、働き方改革の推進に向けて導入済みおよび導入を検討しているソリューションとしては、58.2%の企業が「Web会議などのコラボレーションツール」を挙げており、37.3%の企業が「仮想デスクトップ/アプリケーション」と回答しているという。

 青葉社長は、「これらの領域に対して、シトリックスは、Share File、Xen App、Xen Desktop、Xen Mobileといった製品を用意している」とコメント。「働き方改革では、現場業務の効率化、コラボレーション加速、柔軟な働き方という3つが目的となっている。銀行、保険、証券、ガス、電気、鉄道、製造といったあらゆる業種で働き方改革が進められており、現在、働き方改革に取り組む日本の企業は、60%に達している。中でも女性を対象にしたテレワークを推進することで、効果を生んでいる」とした。

働き方改革の推進に向けて導入済みおよび導入を検討しているソリューションは?

 また同社では、日本におけるデスクトップおよびWebプラットフォーム向けアプリケーション「Citrix Workspace」を発表している。25年以上にわたるCitrix Receiverの経験をもとに開発したものであり、同社では、「単なるリブランディングにとどまらずに、IT部門に対して、セキュアな環境を維持しながら、人々が生産性を高めるために必要なアクセスを一元的に提供できる」と話している。

 アプリに埋め込まれたCitrix Workspaceブラウザを通じて、SaaSソリューションへのセキュアなアクセスを提供。Citrix Workspaceプラットフォームと連携して、Windows、Linux、SaaS/Web、モバイルアプリケーションへのシングルサインオン(SSO)アクセスを実現するという。

 なお、Citrix Receiverを基盤として開発しているため、オンプレミスであるCitrix Store Frontとの完全な後方互換性を実現している。これまで、Citrix Receiverで採用している黒のアイコンは、青のアイコンに変更され、新たなユーザーインターフェイスが採用されることになる。このほか、近日中にモバイルバージョンを発表する予定とした。

Citrix Workspace
すべてのデバイスに共通したエクスペリエンスを提供可能