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加古川市、官民連携見守りサービスなど都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進

 兵庫県加古川市は18日、株式会社日建設計総合研究所、株式会社日建設計シビル、日本電気株式会社(以下、NEC)、株式会社フューチャーリンクネットワーク、株式会社システムリサーチ、綜合警備保障株式会社(以下、ALSOK)の各社とともに、都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進し、日本初の官民連携見守りサービスなどを通じて「地域総がかりで見守る地域コミュニティ」を強化すると発表した。

 加古川市では、「加古川市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、「子育て世代に選ばれるまち」の実現に向け、都市の安全・安心を柱とする情報通信技術利活用基盤を活用した取り組みを推進している。これにより、市民の満足度や生活の質(QOL)向上を目指し、地域課題の解決を図る。特に、安心して子育てを行う環境の整備や、高齢化社会に対応するため、地域総がかりで見守る地域コミュニティの強化に注力している。

 まちの安全・安心の実現に向けては、市独自の先行事業(平成29~30年度の2カ年)として、通学路を中心に見守りカメラ・見守りサービス検知器を市内1500カ所に整備を進めている。また、官民連携の取り組みとして、複数の見守りサービス事業者の見守りタグ(BLEタグ)の信号を受信できる、日本初の見守りサービス検知器を開発。今後、これらの社会インフラを活用しつつ、子どもや行方不明のおそれのある高齢者などをはじめとして、市民の暮らしを防犯設備面から支援するとしている。

 先行事業を受けた本事業では、1)安全・安心分野での先行事業のサービス拡張、2)それ以外の分野にも取り組みを拡大。1)では、市のスマートフォン向け公式アプリ「かこがわアプリ」の見守りタグ検知機能ならびに郵便車両に搭載したIoT機器を活用し、よりきめ細かい日本初の見守りサービスを導入した。2)では、複数分野のデータを収集し分析などを行う基盤(プラットフォーム)を整備し、行政情報ダッシュボードの公開による市保有データの可視化・共有化を実現した。

 今後はさらに、有識者や民間事業者、見守り活動を行う市民ボランティアなどの多様な主体が参画できる取り組み体制を構築予定としている。

各社の役割

 日建設計総合研究所は、代表企業として事業の全体統括を行うとともに、市内事業者オープンデータニーズ調査などの各種調査より、加古川市におけるスマートシティのあるべき姿を検討。日建設計シビルは、安全・安心分野(防災、環境など)におけるシミュレーション解析やシステムデザイン・構築、都市・地域開発に関わる知見をもとに、プラットフォームと個別アプリなどを有機的に連携させる全体システムデザインの検討・調整を行った。

 NECは、EUで開発・実装された基盤ソフトウェア「FIWARE」を活用したスマートシティ向け「データ利活用基盤サービス」4月より提供している。加古川市では同サービスを3月より先行して運用開始しており、加古川市が保有する防災関連施設や人口統計など各分野のオープンデータに加えて、バスの位置情報などのデータを蓄積し分析することで、ダッシュボードやバスロケーションステムなど地域課題解決に向けた新たなサービスの提供を推進している。

 フューチャーリンクネットワークは、地域に密着した情報をお届けする地域情報プラットフォーム「まいぷれ」、自治体向けのアプリ・システム構築などを通じて、地域活性化に貢献することを目指しており、今回の事業では安全・安心なまちづくりによる地域活性化の観点から、かこがわアプリと行政情報ダッシュボードを構築した。

 かこがわアプリでは、ユーザー登録された居住地域および現在地に応じて、緊急時に市からの重要なお知らせをプッシュ通知で受け取れる。さらに、複数の見守りサービス事業者の見守りタグの信号を受信できる、自治体アプリとしては日本初の機能を実装した。また、緊急時にエリアを絞ってプッシュ通知を行うことで、市民への効果的な情報提供・要請、より迅速な捜索への活用等も期待できるとしている。

 行政情報ダッシュボードは、プラットフォーム上に蓄積した「安全・安心をはじめとする複数分野のデータ」を、地図上で重ねて閲覧できるウェブシステムとなる。

 システムリサーチは、ネットワークシステムの企画・構築やアプリケーションソフトの設計開発をはじめとして自治体向けソリューションを手掛けており、2013年より市民の声受付サービス「スマイルメールシステム」のサービスを開始。事業では、市民のユーザビリティー向上のため、スマートフォン対応および写真投稿の機能を追加し、システムの機能拡張を図った。サービスは、かこがわアプリを通じてスマートフォンからもワンタップで連携しており、市民の声を市政に直接届けるツールとして、市民との協働によるまちづくりを支援する。

 ALSOKは、IoT機器を活用した高齢者や子どもの見守り事業を積極的に展開・拡大しており、加古川市の先行事業では、代表企業として2018年度末までに見守りカメラ・見守りサービス検知器を市内1500カ所に整備予定で、順次稼働・運用を進めている。

 さらに本事業では、加古川市と日本郵便株式会社との協定に基づき、加古川市内の郵便車両176台にIoT機器(道路保全のための画像撮影用カメラ、よりきめ細かい見守りサービスの実現のための見守り共通検知器、走行データ収集用通信機器)を搭載。先行事業での電柱に取り付ける固定式に加えて、郵便車両の移動式にも着目することで、都市インフラとしての新たな価値を創出するとしている。また、今秋にはALSOKの加古川管轄の営業車両にもIoT機器を搭載予定で、地域や行政、民間事業者とも連携しつつ、都市のセキュリティ向上を目指す。