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関西学院大学と日本IBM、AI共同プロジェクトの成果として「AI活用人材育成プログラム」を2019年に開講

AIを活用したキャリア支援のチャットボットも運用を開始

 関西学院大学(以下、関学大)と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は10日、2017年9月から実施してきたAIに関する共同プロジェクトの成果として、「AI活用人材育成プログラム」を関学大の全学部生を対象に2019年4月に開講するとともに、関学大学生のキャリア支援を充実し満足度を向上させるために、IBM Watson Assistantを使った「チャットボット」を開発し、7月2日に運用を開始したと発表した。

 関学大と日本IBMでは、AIテクノロジーが大きく社会構造と仕事のあり方を変える中で、どういった人材を育成していくべきか、AIテクノロジーを大学の業務にどう活用していくかについて、共同プロジェクトで議論を重ねてきた。

 新たに開講する「AI活用人材育成プログラム」の最大の特徴は、AI人材を「AI・データサイエンス関連の知識を持ち、さらにそれを活用して、現実の諸問題を解決できる能力を有する人材」と定義し、文系・理系を問わずすべての学生を対象としている点にあると説明。また、IBMが実際のプロジェクトを通じて得た最新の知見から、プロジェクトのメンバーに求められる能力・資質をルーブリック(評価基準を観点と尺度からなる表として示したもの)に定めて、関学大教員と共同開発している点にあるという。

 プログラムは10科目(20単位)で構成され、AIリテラシーに加えて、AIスキル、ITスキル、データサイエンススキルおよびPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)を組み合わせた、実践的で包括的なプログラムとなっており、18単位~20単位を取得した学生には同プログラムの修了書を発行する予定。

 授業は、プログラム開発に携わった巳波弘佳・関学大理工学部教授(同大学長補佐)とAIに関するプロジェクト経験豊富な実務家教員が担当する。PBL科目では、日本IBMの共創施設「IBM Osaka Client Experience Center」(大阪・中之島)を活用しての演習も予定する。

 また、運用を開始したチャットボットは、学生の就活支援やキャリアに関する質問に回答するサービスで、就活の進め方、ノウハウ、実績、手続き方法といった約600の質問に対応する。学生は自らのモバイル端末から場所や時間を問わずに質問の回答を得られるようになり、利便性が向上し、満足度も向上する。また、学生がチャットボットを利用することにより、キャリアセンターの職員は面接練習やエントリーシート添削などの個別具体的な業務への対応を強化できる。

 チャットボットはIBM WatsonのWatson Assistant機能を活用してIBM Cloud上で稼働しており、学生特有の短文表現や若者言葉を考慮した1万件以上のデータを学習し、学生利用に最適なチャットボットだとしている。

 AI活用人材育成プログラムおよびチャットボットによるキャリア支援は、関西学院が2018年3月に発表した、2039年を見据えた超長期ビジョン・長期戦略“Kwansei Grand Challenge 2039”にある、「真に豊かな人生」「質の高い就労」に向かうための具体的施策として推進されてきたものだと説明。今後も、関西学院の長期戦略に基づく具体的施策を、両者の共同プロジェクトとして展開していくことを検討するとしている。