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デルとEMCジャパン、エンタープライズクラウドサービス「Virtustream」をアピール
ミッションクリティカルなアプリケーションに特化したクラウド環境を提供
2018年6月25日 06:00
デル株式会社とEMCジャパン株式会社は、エンタープライズクラウドサービス「Virtustream」に関する記者説明会を22日に開催した。説明会では、「Virtustream」のサービス概要や特徴、導入メリットについて紹介した。
「Virtustream」は、2015年にEMCが買収したエンタープライズ向けのクラウドサービス。日本市場での展開としては、2017年9月に国内事業本部を設置すると同時に、Virtustream Enterprise Cloudの日本リージョンを開設し、NTTコミュニケーションズによるクラウドサービスの提供を開始している。
EMCジャパン Virtustream事業本部長の冨永健氏は、「現在提供されているクラウドサービスのほとんどは、SoE領域向けのサービスとなっている。これに対して『Virtustream』は、SoR領域のミッションクリティカルなアプリケーションを、効率的かつ低コストに、アジリティをもって提供することを目的としたクラウドサービスとなる。そのために、1つの地域に必ずプライマリサイトとDRサイトの2か所のデータセンターを設置しており、万が一の災害や障害発生時に顧客データを保護し、事業継続性を担保する」と、「Virtustream」が他社のクラウドサービスとは異なる点について説明した。
主な特徴としては、ミッションクリティカルなアプリケーションのワークロードに特化した設計となっており、データセンター内にファイアウォールを設置し、エンタープライズ領域とDMZ領域に分散してワークロードの処理を行う。「通常、データセンター内にこうしたアーキテクチャを設計するためには、数か月から半年以上かかってしまうが、『Virtustream』では、その必要がなく、エンタープライズ向けのアプリケーションをクラウド上で迅速に利用することが可能となる」(冨永氏)という。
また、リソースモデリングと予測分析によって、プロアクティブなインフラの最適化と最大99.999%の可用性を実現。さらに、デュアルサイトによるストレージレプリケーションとDRサービスを利用することで、15分のRPOおよび2時間のRTOを保証する。
実際に使用したクラウドリソースに基づく従量制の価格設定モデルを採用している点も大きな特徴だ。具体的には、独自のリソース計測単位として「μVM(マイクロVM)」を設定。1μVMを200Mhz CPU/758MBメモリ/40IOPS/2Mbpsネットワークとし、顧客はμVMの消費量に応じて料金を支払う。「従来のVMサイズによる従量課金モデルは、未使用領域を含むサイズでの支払いとなり、実際に使用しているリソースを把握するのも困難だった。『Virtustream』では、μVM単位による実消費量での課金となるため、ワークロードの最適化によって、クラウドのコストを最大40%削減することができる」(冨永氏)としている。
このほか「Virtustream」では、オンボーディング/マイグレーションサービス、およびマネージドサービスも提供している。オンボーディング/マイグレーションサービスでは、クラウドへの引っ越しをサポートする専門部隊により、新規セットアップからマイグレーションのプロジェクト管理と導入まで、クラウドへの新しいワークロードの効率的な移行を提供する。マネージドサービスでは、サービスカタログを使用して、OSからDB、Basisまで必要なサービスを必要なレベルで注文し、パラメータ化して管理できる。とくに、SAPについては深い専門技術を持っており、クラウド上でのSAP ERP、S/4 HANA、SAP HANA、Business OneなどのSAPポートフォリオに完全対応している。
なお、グローバルでの代表的なユーザー事例として、コカ・コーラ、Cargill、FLORIDA CRYSTALSにおける導入効果を紹介。コカ・コーラでは、プロビジョニング時間を6週間から48時間に短縮し、ITコストを50%削減、アプリケーションの応答性を30%向上している。また、静止中および移動中データの暗号化を実現している。Cargillでは、システムを9か月未満で移行。700以上のVMを稼働し、セルフサービス対応のプロビジョニングと管理を実現した。FLORIDA CRYSTALSでは、60を超えるSAPインスタンスを80日間で移行し、アプリケーション導入時間を数週間から数時間に短縮。3年間のTCOを40%向上したほか、アプリケーションパフォーマンスを2倍に向上したという。