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セールスフォース、営業支援向けAI「Sales Cloud Einstein」に新機能

「Einstein 売上予測」を提供開始

 株式会社セールスフォース・ドットコムは20日、AI(人工知能)エンジン「Salesforce Einstein(アインシュタイン)」に関する記者説明会を開催した。説明会では、営業支援アプリケーション向けAIである「Sales Cloud Einstein」の機能概要、および6月に提供開始したSummer'18リリースで追加された新機能「Einstein 売上予測」について紹介した。

 「Salesforce Einstein」は、CRMのために開発されたAIエンジンで、2016年9月のリリースから今年で3年目を迎える。「Salesforce」のコアプラットフォームであるLightning Platformの一部として組み込まれており、専門知識の必要なく、あらゆる業務、部門、業界のビジネスユーザーが容易にAIを活用することができる。その中で、営業支援向けのAI機能を提供するのが「Sales Cloud Einstein」となる。

 米salesforce.com エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー Sales Cloud担当のアダム・ブリッツァー氏は、「『Sales Cloud Einstein』では、AIによりCRM上にあるデータを利用し、リード獲得から商談成約に至るまでの営業プロセスを効率化・自動化していくための機能を提供している。すでに、ワールドワイドで多くの企業が『Sales Cloud Einstein』を導入し、スマートな営業を実現しており、商談成約率を30%向上したケースもある」と説明する。

米salesforce.com エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー Sales Cloud担当のアダム・ブリッツァー氏

 「Sales Cloud Einstein」の主要機能として、ブリッツァー氏は、「Einstein リードスコアリング」と「Einstein 商談スコアリング」の2つを挙げる。「Einstein リードスコアリング」は、Sales Cloudに格納された「会社名」「部署名」「役職」といったデータを分析し、商談に結びつきやすいリードを数値化した予測リードスコアを提供する。

 「具体的には、6か月分のリードデータと標準項目・カスタム項目を取り込み、分析モデルを毎月構築する。そして、リードのスコアリングおよび再スコアリングを毎時実行し、予測リードスコアを算出する。ANAグループのOCSでは、『Einstein リードスコアリング』で算出された予測スコアと実際のコンバージョン率には高い相関関係があることを実証し、営業効率の向上につなげている」(ブリッツァー氏)という。

「Einstein リードスコアリング」の仕組み

 「Einstein 商談スコアリング」は、商談が有望かどうかを数値化して見極め、限られた営業リソースを効率的に投下することを支援する機能。過去の成約した商談や失注した商談を分析し、有望な商談をスコアリングして提供する。仕組みとしては、商談の履歴、商談に関連するイベントとToDo、商談の標準項目を取り込み、10日ごとに分析モデルを構築。アプリケーションのモデル構築を1日に4回実行し、予測商談スコアを提供する。

「Einstein 商談スコアリング」の仕組み

 この2つの主要機能に加えて、Summer'18リリースで6月から新たに提供開始された機能が、「Einstein 売上予測」だ。この新機能では、Sales Cloudに格納された人に関する情報、商談情報、チームの情報など多様な情報を加味することで、高精度の売上予測を可能にしている。

 ブリッツァー氏は、「『Einstein 売上予測』は、商談に関するすべての情報と特徴を記録し、そこから精度の高い売上予測を算出する。また、チームメンバーのすべての商談、営業活動をダッシュボードに一覧表示する。これにより、営業マネージャーは、目標達成までに必要な金額や失注する金額、予測の確度など、売上予測に関するインサイトを理解することができる。当社では、1年前から社内でテスト利用しているが、高精度の売上予測によって、経営陣がどの案件を優先的に支援するべきかが的確に判断できるようになった」と、新機能の概要とメリットについて紹介した。

「Einstein 売上予測」のダッシュボード画面

 なお、「Einstein 売上予測」は、モバイルからも利用することが可能となっている。営業マネージャーは、モバイルのアナリティクス機能を活用することで、外出先でも個人とチームのパフォーマンスを常に把握することができ、その場で次の行動に移すことができるとしている。