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インテル、東京・丸の内に最新コンピューティング技術を紹介する「コラボレーション・センター」を開設

 インテル株式会社は、東京・丸の内の東京オフィス内に、「インテル コラボレーション・センター」(以下、コラボレーション・センター)を開設。このほど、その様子を報道関係者に公開した。

 IoTやAI、VRなどの最新コンピューティング技術の利用モデル/コンセプトを紹介するとともに、デモやショーケースを通じて、最新のコンピューティング技術を体験・検証できるという。

 「変化を続ける市場やテクノロジーの動向について、業界関係者を対象に、最新のコンピューティング技術を紹介し、ビジネスのさらなる成長を促進するとともに、新規ビジネスの創出も促す」(同社)。

インテル東京本社が入る東京・丸の内の国際ビル
新設したコラボレーションセンターの入り口
コラボレーションセンターの入り口ではプロセッサの歴史を紹介している
ムーアの法則についても紹介

 インテルでは2012年に、コラボレーション・センターの前身となるヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センターを、茨城県つくば市に設置。ハードウェアやソフトウェアの開発者をはじめとする業界関係者や、自治体や顧客企業などを対象に、コンピューティングを通じた新たなユーザー体験の創造、検証に取り組んできた経緯がある。

 今回のコラボレーション・センターは、これらの経験を生かして、日本のみならず、アジアの業界各社とのコラボレーションも活性化。世界をリードできるユーザー体験を提供できる製品やサービスの創造を目指す場に位置づけている。

 具体的には、コラボレーション・センター内に、インテルのテクノロジーをベースとする10個のコンセプトモデルおよびテクノロジーデモを用意。今後、業界各社とのコラボレーションによって生み出されたコンセプトなどを追加していくという。

 インテル 執行役員常務 技術本部の土岐英秋本部長は、「約2年前から東京エリアへの設置を検討していたものであり、昨今のトレンドをとらえて、特にAIに力を注いでいる。インテルは、自動運転、5Gネットワーク、AI、仮想世界に対して重点的に取り組んでおり、コラボレーション・センターでは、これらの分野を中心に、ニュートラルな立場から一番効率がいいソリューションを探しだし、ビジネスの加速を支援していくことになる」などと説明した。

インテル 執行役員常務 技術本部の土岐英秋本部長

 インテルの東京本社にはすでに、インテル技術本部データセンターCoE(Center of Excellence 以下、データセンターCoE)を5階に設置しており、今回2階に設置されたコラボレーション・センターとともに、2つの体験/検証センターが併設されることになる。

 「コラボレーション・センターの新設により、同じ場所において、インテルが取り組むインフラからエッジまでのショーケースを網羅できるようになる」(同)とした。

 インテルのインテル技術本部Xeonプラットフォーム・アプリケーション・エンジニアの渡邉恭助氏は、「データセンターCoEは、データセンターの研究拠点として約1年前に開設したものであり、顧客から、データセンターの評価を行いたいといった声のほか、ソフトウェアを用意したり、AIフレームワークを活用したいといった要望にも応えたりすることができる。クラウド/データセンター分野における協創の場として、最新のインテルテクノロジーを実装したテスト環境の場として、活用してもらいたい」とする。

 データセンターCoEは、Xeonプロセッサで42ノード構成、Xeon Phiプロセッサで8ノード構成としているほか、パブリックインターコネクトのOmni-Pathによるノード間接続、10Gigabit Ethernetによるネットワーク環境を用意。さらに、注目を集めている「Ruler」フォームファクタのSSDも利用できる。

 同社では、アプリケーションのテストやベンチマーク、デバッグのほか、顧客とのPoC、トレーニングなどに活用されている例を示しながら、「インテル技術本部データセンターCoEは、そのリソースを活用して、顧客の要望にあわせて柔軟なシステム構成を実現することができるのが特徴。HPCを想定した検証も可能だ」などと述べた。

「Ruler」フォームファクタのSSD
「Ruler」フォームファクタSSDを持つインテル 技術本部 Xeonプラットフォーム・アプリケーション・エンジニアの渡邉恭助氏

内部の様子を紹介

 ここでは、コラボレーション・センターおよびデータセンターCoEの様子を写真で紹介する。

コラボレーションセンターの内部の様子
Preferred Networksとの協業による線画自動着色サービス「PaintsChainer」。深層学習フレームワークを活用し、モノクロの線画に最適な色でフルカラー化する
FPGAを活用したデータセンターの高速化デモ
Xeonプロセッサで動作するアプリケーションを高速化する。ビッグデータ処理や機械学習、ゲノム解析などに最適だ
インテル純正の汎用アクセラレーターカード。高い電力効率も実現する
プログラミング不要な組み込みディープラーニングモデル構築サービス
アノテーション済みの学習データとデプロイ対象のハードを用意するだけで組み込みディープラーニングモデルを入手できる
省電力ディープラーニング推論アクセラレーター。USBスティック型で、1w以下の低消費電力で動作する
8Kを利用した先駆的なPC体験を実現するデモ
右側に展示されている絵画をアップしても本物の絵と間違うような解像度を実現
質量2kgという軽量、小型化を実現したアストロデザインの8Kカメラ。水中映像も撮影できる
Intel Compute Card。PCやサイネージなどに挿入して利用できる。プロセッサを入れ替えたい機器などに最適であり、保守での活用も想定
クレジットカードをひと回り大きくしたものであり、CeleronからCore i5まで4種類のラインアップを用意
LGディスプレイではCompute Cardを挿入できるモニターの試作品を用意している
3D触力覚技術。力覚、圧覚、触覚の「三原触」の特殊な振動により、脳内に錯覚を発生させ、指先に感触を得ることができる
写真の部分にカーソルをあわせるとごつごつした感覚が得られる。医療やゲーム、VRなどへの応用が見込まれているという
空間採寸・温度センシングソリューション向け頑丈タブレット
内蔵した3Dカメラで物体の大きさを採寸したり、温度を計測したりできる
インテルラボで開発されたAutomotive User Experience Simulator。自動運転時代にこの分野で提供される各種サービスに参入したい企業がUXなどを確認することができる
IoT自販機「スマートマート」。さまざまな情報を表示するとともに、インテルvProテクノロジーによるリモート制御を実現
最大で20×20×40cm、4kgまでの商品を販売できたり、多言語表示も可能。災害時には情報端末になる
データセンターCoEの入り口
データセンターCoEの内部の様子
サーバールームの様子
PoCなどに活用できるさまざまな機器が用意されている

日本法人の新社長も登場

 一方、4月1日付でインテル日本法人の社長に就任したスコット・オーバーソン氏が、今回、初めて会見の場に登場した。

インテル 代表取締役社長のスコット・オーバーソン氏

 オーバーソン社長は、「日本は経済規模でも、テクノロジー市場でも世界3位であり、トップ2000社の10%が日本の企業である。また、日本は最先端のテクノロジーを活用したイノベーションを有しており、これが日本企業だけでなく、世界の企業の成長にも寄与することになる。その点でも、日本は重要な国であり、重要な市場である」と前置き。

 「私は、Intelでは米国、欧州などで28年間勤務しており、今回、日本を担当することになった。これまでにもテクノロジーを活用したイノベーションによって、多くの顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援してきた。今回、日本に設置するコラボレーション・センターは、プレゼンテーションをする場でなく、AI、IoT、自動運転、5G、VRなどの新たな技術を体験してもらい、コラボレーションしてもらうのが目的である。」と、今回のコラボレーション・センター設置について述べた。

 また、「2020年の東京オリンピック/パラリンピックは、日本にとって、イノベーションを起こす大きなチャンスである。インテルは、東京オリンピックのグローバルスポンサーとしてさまざまな取り組みを行うが、コラボレーション・センターもそのひとつになる。コラボレーション・センターでは、顧客やテクノロジーパートナーとともに、コラボレーションすることで、イノベーションを加速することができると考えている」とも述べている。