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凸版印刷、産業向けIoTを活用して事務などのBPO業務を「見える化」するソリューション

ベトナムのFPTと共同開発、9月に提供予定

 凸版印刷株式会社は25日、ベトナムの大手IT企業FPTと共同で、センサーなど産業向けIoTを活用して事務などのBPO業務を「見える化」し、高効率かつ高品位な運用を実現する「トッパン事務業務効率化シミュレーションサービス」を開発したと発表した。凸版印刷では、同サービスを用いたBPOソリューションとして9月から提供を開始する予定。

 サービスは、従来、工場を中心に導入されていた、膨大なデータから過去の現場環境をコンピュータ上に再現してシミュレーションを行う技術「デジタルツイン」を、事務業務向けに活用するため、産業機器向けのIoTプラットフォームなどをもとに、その仕組みを発展させて開発したもの。FPTと共同で開発した運用システムにより、センサーなどを通じてヒト・モノ・設備などの情報を収集し、クラウド上のデータベースに登録して分析することで、事務業務の効率化を図る。

 具体的には、作業実績や品質などのデータに加え、オペレータの生体情報や室内環境についてもデータを収集し、情報の登録・分析・見える化を実施。きめ細かい業務分析により、共通動作部分へのRPA導入やロスが多い作業でのGUI改善、労働環境の再構築など、業務効率化に向けた改善提案が可能としている。

 サービスの導入により、業務効率の向上が図れるとともに、属人化しがちな人手によるオペレーションを「見える化」することで、RPAの導入など経験値に左右されず安定した品質での業務運用を可能にすると説明。また、クラウドソーシングの拡大など、テレワークへのニーズが高まる中、サービスを活用することでオペレーションの評価、課題の洗い出しを行い、ジョブマッチングと高効率かつ高品位な運用を可能にするとしている。

 凸版印刷ではサービスの提供開始に先立ち、同社のBPO事業の統合拠点「BPOスクエア朝霞」で5月から実証実験を実施し、効果検証を行う。また、凸版印刷ではFPTと海外BPO事業での協業に関する覚書を2016年5月に締結しており、今回の新サービスもその一環になるとしている。

 凸版印刷は、今回のサービスをはじめとするデジタルを活用した業務負荷削減に向けた取り組みを推進し、2020年にBPO事業全体で約1200億円の売上を目指す。また、将来的には、AIによる自動判定の機能も搭載し、蓄積された独自の処理情報を活用した新機能を順次開発。学習データを活用し、さらなる業務効率化の実現に貢献するとしている。