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NTT西日本と日立、ICTを活用した鳥獣害対策システムを五島市に提供

 西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)と株式会社日立製作所(以下、日立)は11日、長崎県五島市に、ICTを活用した鳥獣害対策システムを導入したと発表した。

 五島市では、近年、イノシシが海を渡って急速に生息域を拡大しており、2015年から水稲被害が発生し始めているという。今回はこの対策として、NTT西日本と日立が連携し、IoTセンサーとGIS(地理情報システム)などのICTを活用した鳥獣害対策システムを、同市に納入した。

 このシステムは、調査・捕獲区域に設置した出没検知センサーおよび捕獲検知センサーをGISと連携させ、野生鳥獣の出没・捕獲といった状況をリアルタイムで通知・可視化するもの。野生鳥獣の出没や罠の作動をセンサーが検知すると、写真を自動撮影し、あて先に登録した捕獲員にメールを送信するため、捕獲員は現場の状況を迅速に把握できるという。

 また、両センサーの情報をリアルタイムに収集し、地図上に可視化する仕組みを搭載するほか、罠や柵など対策設備の情報を登録することも可能で、鳥獣害対策にかかわる情報を一元的に管理できる。

 五島市では2017年11月より運用を開始しているが、鳥獣がよく出没するエリアが可視化されたことで、該当エリアへ重点的に罠を仕掛けられるようになったとのこと。これにより、センサーを設置した五島市福江島において、イノシシの捕獲頭数が前年度比5倍以上に増加した。

 また捕獲員は、事前に罠の状況を把握した上で効率的に見回りを行えるようになったという。

 さらにイノシシが市街地に出没した際には、出没検知センサーを移設し、該当個体の出没エリアを把握したことによって、迅速な捕獲に成功。人的被害を未然に防ぐといった効果も上がった。

 このほか、野生鳥獣の出没傾向の把握や対策設備の情報管理が容易になり、実態に即した捕獲計画を立案可能になった点も大きなメリット。野生鳥獣の出没地点などを地図画像として即時出力できることから、鳥獣害に関する住民への情報公開や長崎県への報告も容易になったとしている。

 なおシステム提供にあたり、鳥獣害対策業務に関する課題のヒアリングとコンサルティング、システム一式の提供をNTT西日本が担当。日立は、業務課題の解決に向けたシステムの検討と鳥獣害対策用GISの開発・導入を担当した。

 両社では、今回の導入結果を踏まえ、同じ課題を抱える、多くの自治体の鳥獣害対策を支援していく考えだ。