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NEC、ウェアラブルセンサーで取得した生体情報から従業員の長期ストレスの増加を早期発見可能な技術を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は6日、ウェアラブルセンサーを用いて取得した生体情報から、従業員の長期ストレスを段階別に高精度に推定する技術を開発したと発表した。これにより、高いストレスリスクの早期発見を可能にする。

 従業員の長期ストレスの程度を把握する方法としては、アンケートが従来から最も一般的な手法となっているが、アンケートは長期ストレスの程度を細かく導き出すことができる反面、回答者に負担がかかるなど、頻繁には実施できないことから、ストレスが高くなった人の発見が遅れるという課題がある。

 また、近年開発されたリストバンド型ウェアラブルセンサーによるアプローチでは、取得した生体情報を用いて、ストレスが高い人と低い人の2段階に分別する技術は開発されているものの、ストレスが増加している過程など細かなストレス状態の推定は困難で、高ストレスになる兆候を検知することはできていなかった。

 今回、NECが開発した技術では、心理学の知見から新たに見出した生体情報の特徴を用いて、段階別に高精度な長期ストレスの推定を可能にする。

 リストバンド型ウェアラブルセンサーで取得した生体情報から、長期ストレスを精度よく推定するために、「一時的に大きなストレスを受けると、その後些細なこともストレスと感じてしまう」という心理学の知見を導入。これを反映できるような長期ストレスの微細な差異を表す“生体情報特徴量”を考案した。これにより、生体情報による推定で、アンケート結果に相当する細かで高精度な長期ストレス認識を実現する。

 NECでは、リストバンド型ウェアラブルセンサーを使いて、技術を社内で検証したところ、従来技術と比較して、より正確に長期ストレスを推定できたことを確認。また、アンケートによるストレス値と比較したところ、平均誤差±3.3で高精度に長期ストレスを推定できることを確認した。これは、高低2段階しか区別できなかった従来技術に対し、高ストレスの兆候を含めて6段階まで区別できることに相当するとしている。

 NECでは、開発した技術は、従業員本人による日常的なストレス管理や高い負荷が予測される組織へのストレス軽減施策の実施などに貢献すると説明。また、成果の一部については、3月20日~23日に東京電機大学東京千住キャンパスで開催された「2018年電子情報通信学会総合大会」で発表した。