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福岡造船と富士通、AR技術を活用した船舶部品の管理システムを共同開発

 福岡造船株式会社は5日、AR技術を活用した船舶部品の管理システムを、富士通株式会社および株式会社富士通マーケティングと共同で開発し、運用を開始したと発表した。

 年間約8隻の化学薬品タンカーを建造し、1隻あたり約1万5000点におよぶ配管部品の組み立てを行っている福岡造船には、日々、複数の外注業者から数多くの部品が届けられ、現場作業員は大量の紙の設計図面を見ながら、広大な資材置き場に置かれた部品を見つける、といった作業を強いられている。そのため、図面との照らし合わせの負担や、部品の選択ミス、置き場不明による混乱などがあり、現場での作業工程における効率化が課題だったという。

 同社では、こうした課題を解決するため、AR技術で現場業務を支援する富士通のシステム「FUJITSU Manufacturing Industry Solution PLEMIA Maintenance Viewer」を活用し、共同で船舶部品の管理システムを開発した。

 新システムでは、配管部品にARマーカーを張り付け、現場作業員がマーカーをタブレットで読み取ることにより、部品の種類や取り付け位置、部品ごとの図面などの情報を入手できるようにした。また、配管の納品業者が入力した製造状況や納品状況もあわせて把握可能で、資材置き場の部品在庫の有無がすぐに確認できるという。

配管部品に張り付けられたARマーカー
タブレットでスキャンされた画面イメージ

 さらに、ARマーカーを読み取った際には、設計変更についての注意点を表示できるため、設計変更の対象となった部品を取り付けしてしまうといった、ミスに起因する後戻り工事を削減することも期待されている。

 また、現場管理者は作業状況をリアルタイムに把握できるため、空いた組み立て場所の有効活用や、現場作業員の最適配置を支援できるとのこと。

 福岡造船ではこのシステムにより、外注業者による配管製造から造船への配管取り付けまでの作業工数について、約35%の削減を目指すとしている。