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IPA、IoTの品質確保に向けたガイドブックを公開

検証の立場から考慮すべき重要事項を13の視点として提示

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)技術本部ソフトウェア高信頼化センターは22日、IoTの品質確保を目的として、検証の立場における考慮事項を示したガイドブック「つながる世界の品質確保に向けた手引き」を公開した。また、開発・運用の現場で活用できる「つながる世界の品質確保チェックリスト」も同時に公開している。

 「つながる世界の品質確保に向けた手引き」は、IoT開発者や経営者を対象に、開発時に考慮すべき指針17点をまとめた「つながる世界の開発指針」(2016年3月公開)の、品質確保に関する事項を具体化したもの。開発者、保守者、品質保証者、運用者など、品質に携わるすべての担当者を読者対象としている。

 IPAでは、IoT機器は屋内/屋外、高地や寒冷地などあらゆる環境での利用が想定され、利用者も幼児から高齢者まで幅広い層の利用が考えられると説明。加えて、接続される機器の種類やその個数(接続数)など利用環境が日々刻々と変化するのもIoTシステムならではの特徴で、これらの状況を踏まえた新たな品質確保の視点が必要だとしている。

 IoTの開発に関する考慮事項については、国内外でさまざまなガイドブックが公開されているが、IoTの検証に関する考慮事項を記載したものは少ないとして、ガイドブックでは13の品質確保の視点としてまとめている。

品質の確保、維持・改善の視点一覧

 例えば「【視点8】大規模・大量データのテスト環境構築とテスト効率化を検討する」では、テスト効率化の具体策として、テスト項目の爆発を抑える直交表などの手法、類似テストの統合、大量データの自動生成などを示している。

 また、IoTのライフサイクル全般で、品質を確保する活動を「V&V(Verification & Validation:製品やシステム開発において検証と妥当性確認の2つの視点で評価を行うこと)マネジメント」「妥当性確認」「検証」「運用マネジメント」「運用実施」の5つに整理。その他、運用時にも着目して考慮事項をまとめている。

 IPAでは、ガイドブックを活用することで、IoT機器・システムの開発・運用時に考慮すべき品質を理解、確認することができると説明。また、「つながる世界の品質確保チェックリスト」と合わせて活用することで、利用者が安心して利活用できる品質のIoT機器・システムの提供に期待するとしている。