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三井不動産、シスコ、Coaidoの3社、カメラやAI、救命アプリを連携させて街全体で救命率向上を目指す実証実験を実施

 三井不動産株式会社、シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)、Coaido株式会社は、20日、カメラやAI、ネットワークシステム、救命アプリを連携させて、街全体で救命率向上を目指す共同実証実験を実施した。

 実験は、「心停止の予防」「心停止の早期認識と通報」「心肺蘇生(CPR)とAED」「救急隊、病院での救命処置」の4つを迅速かつ途切れることなく繋げることで救命率を向上させる「救命の連鎖」の実現を目指したもの。ICTを活用して、都心複合施設の管理要員や防災センター、近隣の医療従事者やAED管理者などが連携し、「救命の連鎖」をスピーディーに繋ぐことを目的としている。

実証実験イメージ図

 20日の実証実験は、「コレド室町1」の建物内において、周囲に人がいない状況下で、心肺停止状態になった場合」を想定して実施。人の目に加えて、防犯カメラや、情報連携を高度化するシステム「Cisco Spark」などIoT機器を用い、街や建物の中で倒れた人を素早く検知する仕組みを構築する。

 また、Coaidoの救命アプリ「Coaido119」を中心として、街で働く人、住む人それぞれが救命プロセスに参加できる仕組みの構築や、ICTを活用した民間での救命情報共有・展開の迅速化と救急隊へ的確に情報を提供できる仕組みの構築を目的とする。

 実験フローはまず、コレド室町1のエントランスにおいて男性(急病人)が卒倒、防犯カメラ画像を通じてAIが検知し、Cisco Sparkを通じて建物管理者(防災センター、巡回管理要員)へ通知する。

防犯カメラ画像を通じ、急病人をAIが検知する様子
防災センターの「Cisco Spark」にコレド室町1に急病人発生の通知がいく様子

 防災センターでは、Cisco Sparkを通じて現場最寄の巡回管理要員をWi-Fiによる位置情報から把握し、現場への急行を指示。並行して、Coaido119を通じて防災センターから一般の救命スキル保持者への支援も要請する。

「Coaido119」の通知画面

 その後、巡回管理要員や防災センター要員が駆けつけ、救命を開始。同時に、救命スキル保持者の一般来街者がCoaido119を通じて支援要請を受信し、現場に駆けつけ救命に参加する。さらに、コレド室町1の裏口に到着した救急隊に対して、巡回管理要員がCisco Sparkを通じて救命履歴や状況を把握し、救急隊に伝達しつつ現場へ誘導するという流れで実施した。

救命スキル保持者の一般来街者が現場に駆けつける様子

 3社では今後、日本橋の「エリアを挙げた救急救命の高度化」や「エリアを挙げた防災機能の高度化」のため、実証実験や関係者との協議・協働を推進し、パートナーを増やしつつ、今後も街で働く人、住む人、訪れる人すべてにとって、魅力的で安心安全な街づくりに向けて、相互の強みを生かし、協力していくと説明。また、実証実験をモデルケースとし、ここで得た知見を活かして他の街での救命率を上げることにも取り組んでいくとしている。