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KDDI、SD技術を活用した法人向け新ネットワークサービス DXの実現に向けたICT基盤の重点ソリューションに

 KDDI株式会社は24日、日本を含む37の国と地域において、法人の顧客向けに、Software Defined(SD)技術を活用したネットワークソリューション「KDDI SD-Network Platform」を12月5日から提供開始すると発表した。あわせて、よりセキュアにクラウドサービスを利用できる「KDDI Security Cloud」を提供開始する。24日に行われた記者説明会では、KDDIの法人向けサービス戦略における新サービスの位置付け、および新サービスの概要について説明した。

 企業のネットワークは、クラウドサービスの利用拡大や事業拡大にともなう拠点の増加、海外への事業展開など、さまざまな変化への対応が求められている。今回発表した「KDDI SD-Network Platform」は、こうした変化に強い企業ネットワークを実現するソリューション。新たな回線を敷設することなく、ネットワークの柔軟な制御と可視化、インターネットも活用した通信経路の最適化を実現する。同時に提供開始する「KDDI Security Cloud」は、シャドーITの可視化やクラウド上での機密データ保護を強化でき、企業のクラウド活用を安全に推進可能という。

 KDDI ソリューション事業企画本部 副本部長兼クラウドサービス企画部 部長の藤井彰人氏は、同社の法人向けサービス戦略の現況について、「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の流れが加速する中で、今まで当社が提供してきた法人向けサービスは、この動きに大きく乗り遅れている状況だった。そこで現在、ICTとビジネスの融合によりDXの実践を支えるサービスの提供に注力している」と説明。

 DXの実現に向けたキーワードとして、「Value」「Partner」「Global」の3つを挙げ、「『Value』では、KDDIの提供価値にフォーカスし、動的で変化に強い、進化し続けるICT基盤を提供していく。『Partner』では、多様なグローバルパートナーシップによって、顧客の要望を実現する最適なICT環境を提案していく。そして、『Global』では、現地の慣習に精通した現地スタッフが、グローバルへの事業展開をフルサポートしていく」との考えを示した。

KDDI、SD技術を活用した法人向け新ネットワークサービス DXの実現に向けたICT基盤の重点ソリューションに KDDI ソリューション事業企画本部 副本部長兼クラウドサービス企画部 部長の藤井彰人氏
KDDI ソリューション事業企画本部 副本部長兼クラウドサービス企画部 部長の藤井彰人氏

 今回の新サービスは、この法人向けサービス戦略において、DXの実現に向けたICT基盤を構成する重点ソリューションのひとつに位置付けられるという。「KDDI SD-Network Platform」は、ICT基盤の“Connectivity”を担い、SD-WANサービスによって、ソフトウェア制御で顧客のビジネスをつなぐインテリジェントなネットワークを提供する。一方、「KDDI Security Cloud」では、ICT基盤を守る“Security”を担うソリューションとして、多様なクラウドの活用をセキュアにサポートするとしている。

KDDI、SD技術を活用した法人向け新ネットワークサービス DXの実現に向けたICT基盤の重点ソリューションに KDDIの提供価値にフォーカスしたICT基盤
KDDIの提供価値にフォーカスしたICT基盤

 KDDI ソリューション事業企画本部 ネットワークサービス企画部 部長の梶川真宏氏は、新サービスを提供する背景について、「クラウドの利用が加速する中で、クラウドと接続するネットワークが安定的に維持できないことは、ビジネスにとっても死活問題となる。そこで、『柔軟に』、『効率よく』、『安全に』、クラウドと接続できる新たなネットワークソリューションが必要であると考え、今回の『KDDI SD-Network Platform』および『KDDI Security Cloud』を提供する」と述べている。

KDDI、SD技術を活用した法人向け新ネットワークサービス DXの実現に向けたICT基盤の重点ソリューションに KDDI ソリューション事業企画本部 ネットワークサービス企画部 部長の梶川真宏氏
KDDI ソリューション事業企画本部 ネットワークサービス企画部 部長の梶川真宏氏

 具体的な各サービスの概要は、「KDDI SD-Network Platform」では、顧客の拠点に専用機器を設置することで、SD技術を活用したネットワークの仮想化を実現する。

 スモールスタート可能な機能パッケージになっており、まずはルータ機能の導入とトラフィック可視化を行い、その後、可視化によって顕在化したアプリケーションの通信状況に応じて、アプリケーションごとのトラフィック制御機能を導入していくなど、変化に合わせて柔軟に拡張・選択することができるという。

 「これにより、顧客の拠点規模や機能要件などニーズに最適化したネットワーク環境を導入し、変化に応じて拡張していくことが可能になる。また、専用機器を設置することで、新たな回線を敷設することなく、現在利用中のVPNサービスやインターネット回線をそのまま活用して素早くオーバーレイネットワークを構築することができる」(梶川氏)としている。

KDDI、SD技術を活用した法人向け新ネットワークサービス DXの実現に向けたICT基盤の重点ソリューションに 「KDDI SD-Network Platform」のサービス概要
「KDDI SD-Network Platform」のサービス概要

 「KDDI SD-Network Platform」で提供するSD-WANサービスの主な機能特長としては、通信経路を、利用用途や品質によってコントロールできるマルチパス制御を実現。例えば、通信の逼迫(ひっぱく)により品質が低下した場合には、自動で品質の良い回線へ振り分けられる。

 また、ローカルブレイクアウト機能を提供し、特定のパブリッククラウドサービスへのアクセスのみ、拠点から直接インターネットに接続することが可能。これによって、トラフィックを分散し快適にクラウドを利用することができる。

 このほか、ひとつの物理回線上に、論理的に分離された複数のネットワークを構築できるセグメンテーション機能を、2018年3月から提供開始する予定。2018年3月にはさらに、UTM機能として次世代ファイアウォールも提供する予定だという。

 「KDDI SD-Network Platform」の提供料金は、専用機器ひとつあたり月額1万円から。申込開始日は11月1日からとなる。

 「KDDI Security Cloud」は、プロキシ型のクラウドセキュリティサービス。Web・メールやオープンなインターネット上にあるクラウドへの接続を一元的に集約・可視化し、クラウド上の内部データを管理することで、シャドーIT対策やデータ保護を実現する。

 また、「KDDI SD-Network Platform」のローカルブレイクアウト機能と連携することで、各拠点から直接インターネットを経由してクラウドサービスに接続する際にも、セキュリティを維持した上でクラウドサービスを利用可能となる。なお、サービスの提供にあたっては、シマンテックと連携し、顧客の安全な通信環境の構築を実現するという。

 主な機能は、シャドーIT対策として、クラウドアプリの可視化や利用制御などのSaaSセキュリティ(CASB: Cloud Access Security Broker)機能を提供。Webセキュリティでは、Webサイト利用時のURLフィルタリング機能やアンチウイルス機能のほか、ランサムウェアから標的型攻撃対策までを幅広く対処したサンドボックス機能などを提供する。さらに、メール送受信時のアンチスパム機能やアンチウイルス機能、サンドボックス機能など、E-mailセキュリティも備えている。