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Dell EMC、「ソフトウェア デファインド ストレージ」に関する説明会を開催

ブロックストレージ「ScaleIO」の製品特長や導入事例など紹介

 EMCジャパン株式会社は22日、「ソフトウェア デファインド ストレージ」(以下、SDS)に関する記者説明会を開催し、デルとの統合から約1年が経過したDell EMCのSDS戦略、および製品ポートフォリオについて事例を交えて説明した。

 「これから本格化するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)時代では、IoTやビッグデータアナリティクス、コグニティブ、AIなどの次世代ワークロードデータが急激に増加し、2020年にはストレージシステムの容量は20ZBにまで達すると予測されている。こうした情報爆発のDX時代にベストマッチしたストレージインフラがSDSだ。SDSは、ユーザーに優れた柔軟性や運用管理の利便性、経済性を提供することができ、DX時代に必然的なテクノロジーであると考えている」と、SDSのニーズが高まっている背景を説明するのは、EMCジャパン ソフトウェアディファインドストレージ事業担当ディレクターの林孝浩氏。

EMCジャパン ソフトウェアディファインドストレージ事業担当ディレクターの林孝浩氏

 SDSの市場概況については、「従来型のエンタープライズストレージ市場が縮小傾向にある一方で、ハイパースケールサーバーSAN市場およびエンタープライズサーバーSANは、グローバルで2026年までに500億ドル規模にまで拡大すると予想されている。CAGR(年平均成長率)は、2012年から2016年までが23%で、とくに2014年から2020年には38%の急成長が見込まれている」とし、「このグローバルでのSDSへの流れは、日本市場にも確実に波及しつつあり、市場規模はまだ小さいが、年率30%前後での市場成長が期待されている」との見通しを述べた。

 Dell EMCでは、急拡大するSDS市場の多様なニーズに対応するべく、RDB/仮想化インフラ向けの「ブロックストレージ」から、ファイルサーバー/データレイク向けの「ファイルストレージ」、モバイルアプリ/ディープアーカイブ向けの「オブジェクトストレージ」、IoT向けの「ストリームストレージ」まで、4つの領域をカバーする幅広いSDS製品ポートフォリオを展開しているという。今回の説明会では、ブロックストレージ領域にフォーカスを当て、その中でもデータセンターインフラの変革に最適なオールフラッシュのSDS製品「ScaleIO」の特長や導入メリットについて紹介した。

Dell EMCのHCI/SDSポートフォリオ

 EMCジャパン ソフトウェアディファインドストレージ事業 シニアシステムエンジニアの中村雅史氏は、「『ScaleIO』は、ソフトウェアによるサーバーベースのSAN製品となる。HDD、SSD、NVMeなど様々なローカルストレージをプール化することができ、ストレージプールは、ESXi、Hyper-V、Linux、Windowsから利用可能だ。また、各ストレージプールに自動的にリソースを割り当て、バランスを取るほか、アプリケーションの要求にしたがってQoSを設定することもできる」と、「ScaleIO」の製品概要を説明。

 「従来型の外付けSANから、最新のハイパーコンバージドインフラ(HCI)、その混在環境まで柔軟な構成が可能。伸縮自在のアーキテクチャにより、リソース追加・削除時のデータ再配分(リバランス)や、障害発生時のミラーの再構築(リビルド)を、すべて動的に行うことができる。スケーラビリティにも優れており、リニアにIOPSをスケールアウトでき、128ノード構成で3100万IOPSの高速性能を実現する。さらに、OpenStackとの連携が充実している点も特長だ」としている。

EMCジャパン ソフトウェアディファインドストレージ事業 シニアシステムエンジニアの中村雅史氏

 「IDCのレポートによると、『ScaleIO』を導入した組織では、ストレージの導入に要する期間が83%短縮され、また、アプリケーションの開発ライフサイクルが32%短縮されたことがわかった。そして、1組織当たりの5年間の運用コストについては、『ScaleIO』の導入前に比べて、導入後は50%も低減しており、大幅な運用効率化とコスト削減が実現できることが示された」(中村氏)と、「ScaleIO」の導入メリットを強調した。

「ScaleIO」の製品概要

 「ScaleIO」の提供形態は、ソフトウェアのみでの提供に加え、「ScaleIO」に最適化したDell EMC PowerEdgeサーバーとのセットモデル「ScaleIO Ready Node」、コンピュート、ストレージ、ネットワークを統合したコンバージドプラットフォーム「VxRack System FLEX」としても提供しており、「10月には、最新のDell EMC PowerEdge 14Gサーバーに対応した『ScaleIO Ready Node』をリリースする予定だ」(中村氏)という。

 なお、説明会では、「ScaleIO」のエンタープライズ環境における導入事例として、米国大手金融機関のCitiグループの事例を紹介。Citiグループでは、従来のストレージ環境において、「年間に40%ストレージ容量が増加」、「ほとんどのリソースを消費するストレージ環境の管理」が課題となっていた。この課題を解決するべく「ScaleIO」を導入。ブロックストレージのワークロードを統合し、ストレージのライフサイクル管理の改善と完全自動化により、60%のコスト削減と40%の高性能化を実現したという。

 Citiグループでの「ScaleIO」の展開経緯について林氏は、「2013年から2014年にかけて、『ScaleIO』の評価とラボテストを実施。2015年からは、クラウド開発環境向けにデータセンターへの展開を開始した。2016年には、最重要ではないアプリケーションおよびDBaaS向けにサービスを拡張。今年はオールフラッシュへの移行フェーズに入っている。現在の『ScaleIO』の総容量は80PBを超えており、複数のデータセンターにまたがったグローバル展開、およびCitiプライベートクラウド向けにも導入されている」と説明した。