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富士通とイオンフィナンシャルサービス、パーソナルデータを活用した情報銀行の実証実験を開始

 富士通株式会社とイオンフィナンシャルサービス株式会社は14日、富士通が提供しているパーソナルデータストア(PDS)「FUJITSU Cloud Service K5 Personium Service(以下、Personium Service)」をクラウドサービス基盤として利用し、パーソナルデータを所有者自身が管理・運用しながら、その提供するデータ量などに応じて対価を得る情報銀行の実証実験を開始すると発表した。

 実証実験は、富士通が情報銀行の運営主体となり、自社の従業員を対象に2017年8月中旬から約2カ月間、パーソナルデータの収集や分析を行う株式会社オリコムなど9社が協力して実施する。

実証実験のイメージ図

 実証実験では、パーソナルデータ提供者となる富士通従業員が、提供するパーソナルデータを実証実験用のウェブサイトを経由して情報銀行のクラウドサービス基盤となる「Personium Service」に登録することで、情報銀行にパーソナルデータを預託する。従業員は、自身のデータを自らの意思で、データ閲覧や実証協力企業への開示範囲の設定などができる。

 富士通は、情報銀行を運用する側として、企業のパーソナルデータ利用の希望に応じ、提供可能なデータを提供するとともに、パーソナルデータ提供者に対し、預託されたパーソナルデータの内容や情報量、開示先に応じて、富士通が発行する本実証実験専用の企業内仮想コイン「FUJITSUコイン」を付与する。

 付与された「FUJITSUコイン」はブロックチェーンの分散台帳で管理され、汐留シティセンター内の一部店舗で利用できるクーポンへの交換などが可能。パーソナルデータ利用企業は、入手したデータに基づいて、一人ひとりの属性や趣味・嗜好、行動パターンに合わせた情報を提供する。

「FUJITSUコイン」利用イメージ画面

 実証実験により、富士通はパーソナルデータサービスのサプライヤーとして、パーソナルデータの取り扱いにおけるデータ管理方法や仮想通貨などによる個人への還元方法などを検証していく。イオンフィナンシャルサービスは、パーソナルデータを活用する事業者側として、PDSにアクセスするための手順や運用、利用者の趣向に合わせた金融商品・サービスなどのタイムリーな情報提供の方法を検証していく。

 富士通とイオンフィナンシャルサービスでは実証実験などを経て、情報銀行における新たなビジネスモデルの有用性を検討していくとしている。