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富士通、川崎重工の航空機生産領域におけるIoTを活用した生産情報活用基盤の試行開発に参画

 富士通株式会社は8日、川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)航空宇宙カンパニーの航空機の生産現場におけるIoTを活用したスマートファクトリー化の実現に向け、航空機機体生産の進捗管理を支援する生産情報活用基盤システムの試行開発に参画すると発表した。

 開発するシステムは、川崎重工の航空機生産現場の部品や治具などのモノの動きを収集・一元管理し、ダッシュボードやBIツールにより目的に応じて分析・活用・表示するための情報基盤。今回はその試行段階として、RFIDを用いた航空機機体製造におけるリアルタイムな進捗管理を行い、作業の組み替えなどのタイムリーな意思決定や資産の最適運用を支援する。

 システムは、「データ収集」「データベース」「データ表示」の3つのサブシステムで構成される。

 データ収集については、航空機部品や冶具などにRFIDを貼付し、生産現場でのモノの位置情報を収集する。収集データはJSON形式で記述され、川崎重工のデータセンター内のデータベースにイベントレコードとして蓄積される。

 データベースについては、構造データを扱うRDBに加え、多種多様で膨大な量の非構造データを効率的に扱うことのできるNoSQLデータベースの両方に対応し、データセンターで一元的に管理する。作業工程の名称や適正在庫水準などのマスターデータはRDBに保存し、位置情報や入出庫などのデータが含まれるイベントレコードはNoSQLデータベースに保存する。これらのデータを目的に応じて加工・分析し、表示用のデータを生成。また、生産管理を行う既存のERPシステムとの双方向のデータ連携にも対応する。

 データ表示については、BIツールを活用。生産現場の管理者や作業者がリアルタイムに進捗管理を行うための画面や、ユーザーエクスペリエンスを考慮した生産現場の概況が一目で分かるダッシュボート画面も提供する。

 川崎重工では、システムを2017年中に航空機部品の生産拠点である岐阜工場に導入し、その後、国内外の他工場や協力会社へと展開を広げ、スマートファクトリー化の実現を目指す。富士通では、システムの開発・導入を、デジタルビジネスプラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」に応用し、製造領域でのIoTビジネスを推進していく。