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CA、モバイルアプリのDevOpsを支援するアナリティクスソリューション「CA App Experience Analytics」
米国大統領選挙の最新情報を伝える「CNN Politics」アプリの顧客体験を改善
2016年10月25日 06:00
CA Technologiesは、アプリからユーザーの行動に関するデータを収集して分析するアナリティクス ソリューション「CA App Experience Analytics(AXA)」の国内提供を開始した。
AXAは、アプリ内でユーザーがどのような操作を行ったか、画面のどの位置を多く触ったかといったユーザーの行動を収集して分析するソリューションだ。モバイルアプリの開発時にラッピングしたコードを埋め込み、JavaScriptで収集/分析したい情報を設定すると、自動的に収集したユーザーの操作情報を、SaaSで提供されているプラットフォームで可視化することができる。
収集できる情報は非常に多岐に渡っており、デバイスの種類、OS、通信経路、CPUやメモリなどの使用率、クラッシュの情報、ユーザー操作などの情報を収集/分析/可視化することができる。操作のスクリーンショットや動画の収集も可能であるという。
CA APM プロダクト・マネジメント担当バイス・プレジデントのクリス・クライン氏は、「アナリティクス ソリューションの多くは、マーケティングに主眼を置いたものが多く、DevOpsを支援するという視点で開発されたものはあまり存在しない」と述べた。
また、クライン氏はAXAの特徴を「アウトサイド・インで情報を収集して分析する」と説明する。これは、アウトサイドにあるデバイスから送られてくるデータを、インサイドのSaaSが分析する仕組み。CAの既存アナリティクスソリューション「CA Application Performance Management(APM)」がデータセンター内で情報を収集する「インサイド・アウト」のソリューションであることから、同氏は「AXAとAPMお互いを補完する関係にある」と述べた。
「ユーザーがアプリに不満を持っている場合、その多くはアプリの設計、コード、インフラのいずれかに原因がある」とクライン氏。
さらに同氏は「開発者が意図していない行動をユーザーが取っている、操作ミスが多発してユーザーが特定のページに滞留するなどは、設計に起因する問題だ。特定のページでクラッシュが多発するのであれば、コードに問題がありそう、ということがわかる。また、ネットワークに起因してパフォーマンスに問題が発生している場合でも、デバイスのOSやキャリアの情報を収集しているため、特定のキャリアでのみ発生する問題を発見し、改善することができる」と述べ、AXAがモバイルアプリのDevOpsを支援するソリューションであることをアピールした。
AXAはすでに米国で5月にリリースされており、米国大統領選に関するキュレーション型モバイルアプリとしてCNNがリリースした「Politics」の開発にも使用されている。3カ月間、Politicsの改善に取り組み、アプリ操作やパフォーマンスを改善することができたという。
改善の一例としてクライン氏は、Politicsの画面デザインと操作方法を変更した事例を紹介した。当初のPolitics画面では、スワイプする画面操作をミスする人が多かったことから、タップでの操作に変更したところ、問題を改善することができたという。クライン氏は「これはデザイン(設計)の問題。開発者が意図していない行動をユーザーが取っていることを、AXAですぐに把握できた」と述べた。
また、AXAが対応するAndroidやiOSの対応バージョンについてクライン氏は、「なるべく迅速に新しいバージョンに対応するようにしている。また、過去のバージョンについても2年程度はサポート可能で、バージョンごとの比較もできるようになっている」とした。
日本CA DevOps ビジネスユニット ディレクタのマティ・カフェマン氏は、「デジタル化が進む今日において、アプリそのものが自社のブランドとなる。アプリのエクスペリエンスに不満があれば、そのブランドが見捨てられてしまうかもしれない」と述べ、企業がリリースする各種アプリには、優れたユーザーエクスペリエンスが欠かせなくなっていくことを強調した。
「日本の銀行に行くと、受付の担当者がすぐに声をかけ、窓口に案内してくれる。日本はこのように優れたユーザーエクスペリエンスを重視している国だが、アプリとしてデジタル化された場合、同じように優れたエクスぺリエンスを提供できるだろうか。デジタルトランスフォーメーションへの対応を始めている多くの企業が、CAの取り組みに興味を持っている」とカフェマン氏は述べ、すでに金融や小売りの企業がAXAに関心を示していることを明らかにした。