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ブロケード、ネットワークやサーバーの運用を自動化するワークフローシステム「BWC」を説明

 ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(ブロケード)は14日、ネットワークやサーバーなどの運用を自動化するワークフローシステム「Brocade Workflow Composer(BWC)」について記者説明会を開催した。説明会では、同日発表された富士通のV-DaaSでのBWC採用事例についても富士通から解説がなされた。

イベントをトリガーに自動処理

 「すべてのビジネスがデジタルビジネスに変革を迫られている。それには俊敏性が必要であり、実現するのに自動化が重要となる」と、米Brocade データセンター、スイッチおよびオートメーション製品 プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント ナビル・ブカーリ氏は自動化の意義を語った。

米Brocade データセンター、スイッチおよびオートメーション製品 プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント ナビル・ブカーリ氏

 BWCは、5月に買収したStackStorm社の技術をもとにした製品だ。ブカーリ氏は、「DevOps志向」「コンポーネントベース」「フレキシブル」「イベント駆動型」「クロスドメイン」を原則としてその特徴を解説した。

 BWCはイベントをトリガーに、ルールにもとづいてアクションを実行し、それを連鎖させるワークフローシステムだ。「イベントは例えばJIRA(イシュー管理システム)やPagerDuty(クラウドベースの監視ツール)などさまざまなところから来る」とブカーリ氏。また、それに対するアクションもさまざまだ。そこで、コンポーネントベースのアーキテクチャで柔軟に対応し、既存のシステムを含んで統合していくという。

 また、アプリケーションやネットワーク、ストレージなど、すべてを統合し自動化するのも特徴だという。「コンフイグレーションの自動化だけでは充分ではない。検証やコンプライアンス、トラブルシューティング、修復など、すべての段階を継続的に自動化する」とブカーリ氏は説明。さらに、「サーバーチームやアプリケーションチーム、ネットワークチーム、セキュリティチームの間で、ほかの部門を待つところに90%の時間がかかっている。クロスドメインでその時間を削減する」という。

 BWCのベースとなるStackStormは、オープンソースプロジェクトとなっている。それをもとに、サブスクリプションモデルでオートメーションスイートとしてブロケードが提供し、サポートなどのプロフェッショナルサービスも用意するとブカーリ氏は説明した。

 なお、質疑応答で典型的なユースケースについて尋ねられたブカーリ氏は、OpenStackでの複数のネットワークドメインにわたる自動化や、BGPピアが停止したときの自動修復、ネットワークトラブル時の自動チケット発行などの例を挙げた。さらに、異なるツールの組合せに威力を発揮し、ブロケードの機器だけではないマルチベンダーのネットワークの事例もよくあると語った。

イベントをトリガーにしてアクションを実行するワークフロー
さまざまなシステムに対応するコンポーネントベースの構成
BWCのアーキテクチャ
すべての段階を継続的に自動化する
StackStormのオープンソースプロジェクトとオートメーションスイート

富士通での10の利用ケースを解説

 本誌でもすでにお伝えしたように、富士通ではV-DaaS仮想デスクトップサービスにおいて、BWCを採用したことを発表した。この件について、富士通株式会社 マネージドインフラサービス事業本部 グローバルMIS統括部 DaaSビジネス推進部 部長 高野徳巳氏は、10の利用ケースを解説した。

富士通株式会社 マネージドインフラサービス事業本部 グローバルMIS統括部 DaaSビジネス推進部 部長 高野徳巳氏

 1番目は「ウイルス拡散防止」の自動化。感染を検出すると自動的に感染元のVNIC(仮想NIC)を停止し、検体確保と駆除をし、自動的に復帰させる。V-DaaSは参考価格で1IDあたり月額数千円のサービスのため、高価なアプライアンスではなく安価な方法について1年前にブロケードに相談して(StockStorm社買収前)、BWCを採用したという。

 2番目は「テナント追加」の自動化。VLAN追加やルーティングやコンフィグの追加、テストなど一連の処理を自動化することで、工数を70%以上、リリース期間を3日間削減したという。

 3番目は「検証」。最新トレンドに追随するために検証が増えることに対して、自動化して検証時間を50%削減するとともに、品質を向上したという。特に、いままで時間がかかりすぎてできなかった範囲も検証することにより、網羅性を120%に拡大したという。

 4番目は「計画メンテナンス」。パッチ適用やバージョンアップにともなう計画メンテナンスを自動化してスケジューリングすることで、工数を60%、メンテナンス時間を60%削減したという。

 5番目は「閾値監視」。CPUやメモリ、ディスクなどサーバーの各種リソースを監視し、閾値に達したときに対応する。対応が決まっているものを自動化対象とし、即時または夜間実行で対応するという。

 6番目は「エラー監視」。各種サーバログや、VMログ、vCenterログ、ISV/IHVログ、NAGIOSログなど、各種のログに出力されるエラーを監視。対応が決まっているものを即時または夜間実行で自動対応するという。

 7番目は「トラブルシューティング」。トラブルを検知して自動的に各種ログやメモリダンプなどの資料採取を実行してグラフ化するという。

 8番目はまだ予定段階だが「顧客リクエスト」。従来は顧客のメール申請により手動で対応していた作業を、ポータルから自動実行できるようにするという。

 9番目は「ネットワークトラブル対応」。輻輳やループの発生元を特定して、できる範囲で自動で対処するという。

 10番目は「リソースモニタリング」。リソースやコンフィグ、パラメータを自動取得し、傾向分析することで、予防保守や構成の最適化につなげるという。

利用ケース1:ウイルス拡散防止
利用ケース2:テナント追加
利用ケース3:検証
利用ケース4:計画メンテナンス