インタビュー

Lenovoのデータセンター事業が変化しているワケは――、日本市場を熟知するロードリック・ラピンSVPに聞く

 Lenovoが、データセンター事業の戦略を転換し、成長軌道へとかじを切り始めた。

 「これまでのデータセンター事業のやり方は間違っていたという反省がある。データセンターを取り巻く市場が劇的に変化するなか、新たな市場にフォーカスした事業戦略が必要だ」と語るのは、Lenovo データセンターグループ ワールドワイドセールスアンドマーケティング担当のロードリック・ラピン シニアバイスプレジデント(SVP)。

 「これまでのLenovoのサーバー製品は、IBM時代と変わらないことを訴求してきたが、これからは変わることが重要なメッセージになる」とする。

 同氏は2015年までレノボ・ジャパンなどの社長を務め、日本におけるNECパーソナルコンピュータとの統合を成功に導いた立役者でもある。日本の市場を熟知する同氏は、「新たな成長戦略において、日本市場は極めて重要な市場。日本への投資を加速する」と語る。ラピン シニアバイスプレジデントに、データセンター事業戦略について聞いた。

Lenovo データセンターグループ ワールドワイドセールスアンドマーケティング担当のロードリック・ラピン シニアバイスプレジデント

これまでのやり方は間違っていた

――Lenovoのデータセンター事業が変化し始めていることを感じます。

 正直に話しますと、Lenovoのデータセンター事業におけるこれまでのやり方は間違っていた、という反省があります。

 日本においては、NECパーソナルコンピュータとの統合を進め、それを成功させた経験がありますが、データセンター事業に関しては、必要な部分にフォーカスを当てておらず、成功しているとはいえない状態でした。

 私は、昨年から、データセンター事業における新たなプランを立案したり、Lenovoエグゼクティブコミッティに対して新たな戦略を説明したりといったことに、多くの時間を使ってきました。2016年10月にはこのプランが承認を受け、2017年4月1日から、データセンターグループの体制を刷新しました。これにより、エンドトゥエンドのビジネスを行う体制へと移行しました。

 データセンター事業は、極めて独立性が高い事業となり、焦点を絞り込むことができる組織となったのです。いまの組織は、朝から夜まで、データセンターのことばかりを考えていますよ(笑)。つまり、戦略的な優先事項にフォーカスを当てた動き方が可能になった組織なのです。

 すでに成果があがっています。2017年度第1四半期(2017年4~6月)は、北米におけるデータセンター事業は前年同期比8%増となり、EMEAでは同11%増となりました。そして、アジアパシフィックも13%増の成長を遂げ、新たな戦略によって、いいスタートを切れたと思っています。第1ステップは、正しい戦略を提示し、新たなチームによって、それを実行することでした。次のステップは成長となります。

――これまでは、IBMから買収したサーバー事業の基本姿勢は変えないことを訴求していましたが、ここにきて、むしろ変えることを打ち出し始めました。リーダーが変わり、ブランドが変わり、製品ラインアップも変えた。そして、メッセージも変わってきした。その理由はなんでしょうか。

 そこに、われわれの新たなチャレンジがあります。われわれは、IBMのハードウェアビジネスを買収しました。しかし、この2~3年でマーケットが劇的に変化しているのがいまの現実です。クラウド、ビッグデータ、AIなどが登場し、HCIが注目を集めている。そうしたなかで、従来のIBMのハードウェア事業を持っているだけでは、成長に向けた準備が整っているとはいえません。

 Lenovoのエンジニアリングチームは非常に優秀です。そして、IBMから買収した製品は非常にクールであり、深いスキルを持っている。しかし、それだけでは成長ができない。これまでのサーバーベンダー、あるいはハードウェアのプレーヤーから、データセンター全体のソリューションカンパニーに脱却することが必要になってきたのです。

未来に向けた新たなブランド「ThinkAgile」

 先ごろ、14種類の新たなサーバー製品、7種類のストレージシステム、5つのネットワークスイッチ製品を投入しました。このなかで、「ThinkSystem」と呼ぶ製品は、従来型のテクノロジーを発展させたものになります。

 そして、新たなブランドとなる「ThinkAgile」は、未来に向けた製品です。ソフトウェアディファインド型であり、HCIであり、ハイブリッドクラウドにも対応したものになります。この領域は最も成長している製品群で、第1四半期は前年同期比404%という高い成長を遂げました。

ThinkSystemとThinkAgileの両ブランドを提供

 Nutanixとの連携も重要な柱になりますし、日本においても、HCIがトレンドになりはじめています。そこにしっかりとフォーカスをしていくのが、新たな戦略です。ボックスを何台売るというとはまったく気にしていません。フォーカスしているのは、顧客が5年、10年後になにをしたいか、それに向けてどう応えるかが重要なテーマなのです。われわれはレガシーテクノロジーをひとつも持っていません。ですから、レガシーに流されることがなく、顧客がなにが欲しいのかといったことをベースに提案ができます。そのために、正しい戦略にロックインができるのです。

――ThinkSystemと、ThinkAgileのバランスは近い将来にはどうなりますか。かなり早いタイミングでThinkAgileが過半に達するということも想定できますか。

 それは難しい質問ですね(笑)。ただ、間違いないのは、顧客の購入形態が大きく変化しているという点です。かつてはサーバーを購入し、ネットワークの管理者を数多く抱え、ワークロードのための設定作業に多くの人と工数をかけていました。

 しかし、いまはサーバーやソフトウェアを購入することが大切ではなく、ソリューションを利用することが大切であることに多くの人が気づいています。ThinkAgileは、これを購入すれば、コンピュート、ストレージ、ネットワークが一体化しており、BIOSやファームウェアのアップデートも提供できる。しかも、さまざまな選択肢を用意し、カスタマイズし、レディーメードとして提供可能です。さらに、導入してから、稼働させるまでの時間を半分以下にしています。

 ThinkAgileが、使いやすく、導入が簡単であるという大きなバリューを提供できるということを考えれば、今後、ThinkAgileの方が、市場の成長が大きいのは間違いありません。市場がどこにいくのかを考えれば、ThinkAgileが、出荷台数の半分を超える時期がやがてやってくるでしょう。

 対象としている市場を見ても、ThinkAgileのターゲット領域は10%の成長が予測されているのに対して、ThinkSystemの市場は、4%の減少が見込まれています。ThinkAgileが半数を超えるまでには、5年以上はかかるかもしれませんが、どこかでそうした現象が起こることになるでしょうね。

――外から見ていると、いつになれば、サーバーのシェアが、IBM時代の水準に戻るのかが気になりますが。

 私たちは、そこにはこだわりません。それを目標にすることも考えていません。理由は、すでに市場が劇的に変わっているからです。2014年にIBMのサーバー事業を買収したときには、市場規模は大きかった。しかし、それから状況が変わっています。また、将来はどうなるのかということも考えなくてはいけません。それをもとに、ビジネスを再定義しているわけです。

――Lenovoのデータセンター事業が、ソリューションを軸として展開するためのピースは、すでにそろっていると考えていますか。

 はい、そのピースはそろってきています。いまから2年前のLenovoのデータセンター事業体制を振り返ると、当時は、いまとまったく違う会社でした。そこから見ると、ソリューションカンパニーという点では、80%ぐらいのものがそろってきているのではないでしょうか。

 例えば、プロフェッショナルサービスを通じたマイグレーションの提案や、データセンターの設計提案などが増えていますし、さらには、社内にはAI分野の博士号を持ったエンジニアもいますから、今後はそうした方向にも打って出ることができます。

 もちろん、もっと改善しなくてはいけません。プロフェッショナルサービスもさらに進化させる必要がありますし、ここでは、パートナー企業との連携が不可欠となります。そして、Lenovoがソリューションビジネスを展開していく上では、日本においては、システムインテグレータの存在がとても重要であり、日本IBMやアクセンチュアなど、大手パートナーとの連携も進めていますが、もっとチャネルに焦点を当てていく必要があります。

 Lenovoのプロフェッショナルサービスは、データセンターの設計やソフトウェアサービスなど、ハードウェアに近いところには強みがありますが、レガシーシステムからの業界標準への移行提案などにおいては、パートナーとの共創が重要になります。

3つの成長領域を見据える

――データセンター事業では、具体的にどんな市場を狙っていくのですか。

 私が担当しているデータセンター事業が対象とする市場は、2016年には全世界で800億ドルの規模ですが、これが2020年には930億ドルにまで広がります。しかし、その市場構成を見ると、いくつかのトレンドをとらえる必要があります。

 ひとつは、オンプレミスの市場です。この市場は、全体の約40%を占め、最も大きな領域です。ここは、IBMから買収したサーバー事業によってカバーする市場であり、無視できない市場であることに違いはありません。しかし、2020年にかけてマイナス4%になると予測されています。顧客が興味を持ったり、プライオリティを置いたりする領域ではありません。

 一方で、いくつかの成長領域があります。そのひとつが、ハイパースケールの領域であり、2020年までに17%以上の成長を遂げると予想されています。将来の成長を考えると、Lenovoはこのスペースにいなくてはなりません。この領域は、パブリッククラウドによる分野であり、アリハバ、バイドゥなど、多くの成長企業がこれを活用しています。Lenovoでも、この分野に向けた専任担当者を配置し、成長をキャッチアップする体制を整えました。

 そして、2つめの成長領域が、ソフトウェアディファインドです。ここも、すでに手を打っています。NutanixやVMware、Microsoft Azure Stackのほか、CloudianやNexenta、DataCoreなどのパートナーとのエコシステムができあがっています。ここは、プライベートクラウドの領域という言い方もでき、2020年までに10%以上の成長があります。Lenovoは、この領域に対しても戦略的投資をしていきます。

 3つめの成長領域はHPCです。この市場は、2020年までに11%以上の成長を遂げると予想されており、Lenovoにとって非常に重要な市場だととらえています。Lenovoは、2014年時点では、この分野におけるインストールはゼロでした。しかし、2017年にトップ500のうち、92のシステムをLenovoが占め、グローバルベンダーとしてもナンバー2の位置づけです。そして、17%の成長を遂げ、この分野で最も成長しているベンダーがLenovoとなりました。

 Lenovoは、2020年には、この領域において、ナンバーワンになりたいと思っています。そのためには、日本の市場がとても重要になります。日本のHPC市場は、非常に大きな市場であり、これからは、いかに日本のHPC市場をドライブするかを考えなくてはいけないと思っています。

HPC分野でも成長を遂げている

 いずれにしろ、Lenovoのデータセンタービジネスは、これまでのような箱だけにフォーカスしているビジネスではありません。ソフトウェアディファインドやハイパーコンバージドなど、ハードウェア以外のところが重視していきます。

――データセンター事業全体のゴールはどこにおいていますか。

 先ほどお話したように、どれぐらいのシェアを取るという目標は持っていません。ただ、今後3年間で、ビジネス規模を倍増させたいと考えています。これは、マーケットシェアを追求した結果で倍増させるのではなく、顧客とのソリューションを増やすことで倍増させたい。いま大切なのは、市場の変化を重視するという点。これは顧客にとっても正しい回答です。顧客の意見を中心に、ソリューションを再定義していくことが重要だと考えています。

エンドトゥエンドをカバーするサプライチェーンによる強み

――Lenovoのデータセンター事業の強みはどこにあるのでしょうか。

 最大の強みは、エンドトゥエンドをカバーするサプライチェーンだといえます。ガートナーの調べによると、Lenovoは、サプライチェーンの評価で世界24位です。これは航空宇宙や自動車メーカーなど、すべの業種を対象に、サプライチェーンのスケールやコスト、柔軟性を含めた総合評価です。データセンター事業を行っている会社で、Lenovoよりも上に来る会社は1社もありません。業界ナンバーワンのサプライチェーンを実現しているのです。

自動車メーカーなども含めた全業種の中で、25番目のサプライチェーンを実現

 Lenovoは、これによって、ソリューションに必要とされるインテグレーションを、柔軟性を持った形で進めることができます。日本においても、この強みは発揮されています。NECパーソナルコンピュータの米沢事業場に、「米沢ファクトリー・インテグレーション・センター」を設置して実施している、NutanixによるHCIのキッティングがその最たるもので、これは日本の顧客のための特別な体制だといえます。

 2つめの特徴は、品質に裏付けられる信頼性です。ITICが、全世界750人のCIOを対象に実施した調査によると、Lenovoのx86サーバーは、計画外のダウンタイムが最も少なく、業界ナンバーワンです。IBMから移籍したエンジニアの素晴らしさを示すものといっていいでしょう。

 そして、顧客満足度でもナンバーワンです。TBRが米国市場を対象に、22のカテゴリーで調査したところ、Lenovoは、すべての項目で1位になりました。また、日本を含む全世界の調査では、22項目中21項目でナンバーワンです。残りのひとつは、他社と同率で1位であり、それを含めれば、すべての項目でナンバーワンだといえます。

高い顧客満足度を獲得しているという

 さらに、LenovoのThinkSystemは、パフォーマンスやベンチマークにおいて、新たに42の世界記録を達成しており、2001年以降、196の世界記録を達成しています。エンジニアリングでもナンバーワンであり、新たなプラットフォームの上でもナンバーワンです。

 Lenovoは、データセンター市場において、最大のプレーヤーではありませんが、最も信頼性の高いベンダーだといえます。カスタマーサービスやサプライチェーンでもナンバーワンです。だからこそ、競合他社よりも高い成長を遂げることができると信じています。
 また、データセンターグループの組織のユニークさも特徴のひとつだといえます。このグループのリーダーシップチームは、Intel、IBM、Dell、HP、Cisco、Nimbleといった企業の出身者などで構成され、それをひとつのスキルとして、このビジネスをドライブしています。これが、データセンターグループの新たな戦略につながっています。

 日本でも、ロバート・スティーブンソンを社長に迎え、新たなスキルを生かした体制づくりを開始しています。昨年、グローバルチームとして、30~40人の新たな社員を採用しました。彼らはトレーニング専任の人材です。今後、われわれのビジネスはソリューションに力を注いだものになります。それに向けて、社員やパートナーの人材を教育する必要があり、新たな人材は、その役割を果たすことになります。これによって、業界の変化のスピードにあわせることができるようになります。

HCI領域の戦略

――Lenovoは、HCIの領域においては、Nutanixのほかにも、VMware、Microsoftなど、さまざまな企業との連携を図っていますが、やはりNutanixとの結びつきを強く感じます。

 Nutanixとのパートナーシップは、戦略的に非常に重要であると考えています。そのパートナーシップによって、われわれはHCI分野で大きな成長を遂げているわけです。最も優れたHCIをNutanixとともに顧客に提供することができ、しかも、ハイエンドクラスタから、Expressによる中小企業を対象とした製品まで、エンド・トゥ・エンドで、広範囲なソリューションを提供できます。

 さらに、管理ソフトウェアのLenovo XClarityは、Nutanixのソリューションとの完全な統合が可能になり、ほかにはない競合優位性が発揮できます。HCIには、これからも、多くの投資をしていくつもりです。Lenovoは、HCIに限らず、ソリューション提供におけるエコシステムにおいて、顧客の要望にあわせ選択肢を提供することを基本戦略においています。その姿勢は変わりません。

――ただ、VMwareがDellとの緊密ぶりを一層強めています。

 Dellが、VMwareを傘下においているという事実は確かです。しかし、VMwareも成長をしていますし、そのビジネスをドライブするには、VMwareも独立性が担保されていることが前提であり、それを信じています。そうでなければ、われわれのビジネスは影響を受けることになります。

 もちろん、DellとVMwareとの距離感が近づいていることは理解していますし、そこに心配がないといえばうそになります。しかし、VMwareは独立性を宣言していますし、われわれとの関係も素晴らしいものがある。その関係が変わる兆候は、いまはないととらえています。

日本市場には課題よりも大きなチャンスがある

――日本におけるデータセンター事業の課題はなんでしょうか。

 私は、日本で長い期間を過ごしていましたから、日本の市場性について熟知しています。その観点から見ると、日本市場においては、課題があるというよりは、大きなチャンスがあるととらえています。

 特に、日本ではレガシーシステムが多く、しかも、それが20年以上も使われているケースも少なくありません。欧米では業界標準のアプリが利用されており、SAP HANAを例にとれば、その約50%が、Lenovoによる実績となっています。

 日本でも、一部の企業では、業界標準のソフトウェアへの移行を積極的に開始している例もあり、そうした顧客の動きをとらえたい。そして、日本には、優れたパートナーが存在し、それらのパートナーとともに成長できる基盤を生かしたいですね。

 日本の顧客の特徴は、信頼性を重視する点です。私は、それをよく理解しています。ですから、新たな事業方針や戦略を立てても、私たちが、本当にドライブできるという確信ができあがるまでは、特に、日本では静かにしておく必要があります。

 日本には、欧米以上に、初期のリスクを回避したいという顧客が多く、Lenovoが新たな戦略でやろうとしていることが正しいのかどうかを、時間をかけて吟味することになります。私は、正しい戦略であり、正しい変化であり、正しい製品、正しいソリューションを用意しているという自信がありますが、これを理解してもらうための時間が必要だと思っています。

 私は、日本の市場にフォーカスした姿勢を変えるつもりはありませんし、投資もしていきます。

――日本のことを熟知しているラピン氏だけに、今後、日本のデータセンター事業を加速することに期待していますが、日本では、どんな投資をしていきますか。

 日本をはじめとして、拠点ごとの詳細な取り組みには言及できませんが、エンドトゥエンドで、ソリューションを提供できることがわれわれの強みですから、日本においてもその強みを発揮したいと思っています。

 そして、新たな戦略において、日本は重要な市場です。世界第3位の市場規模を誇り、グローバルのなかでも利益率が高い。カスタマーサービスに投資する顧客が多いのも特徴です。そうした市場に向けて、継続的な投資をしていくのは当然です。

 人材への投資も行います。日本から要望があれば、もちろん優先的に対応していくつもりですよ(笑)。ソリューションベースのベンダーとして、日本の市場に貢献したいですね。そして、最も信頼されるデータセンターパートナーになりたいと考えています。

データセンター事業だけを独立してとらえるべきではない

――Lenovo全体では、3Waveストラテジーに取り組んでいますね。そのなかで、Wave2に位置づけられるデータセンター事業は、Lenovo全体でどんな役割を果たすことになりますか。

 3Waveストラテジーは、ひとつめの波が「PC事業を中心とした働き方改革とライフスタイル提案」、2つめの波は「サーバー、モバイル事業による業務、生活へのインフラ提供」、そして、3つめの波が「Device + Cloudによるイノベーションの共創」となります。

 そのなかで、Wave2の取り組みは、まずは、成長を取り戻し、利益を生み続けるビジネスになることを目指しています。データセンター事業は重要な事業であり、将来の成長についても不安はありません。

Lenovoの3Waveストラテジー
データセンター事業の強化点

 CEOのヤンチン・ヤンは、このビジネスを非常に重視しています。データセンター事業は、Wave2という独立したとらえ方をするのではなく、デジタル変革をドライブする役割も担い、AIやビッグデータ、クラウドへの移行などにも関連する事業である、という観点から見るべきです。

 Lenovoは、AIに対して12億ドルの投資を行うことを発表していますが、これはLenovoのすべての事業に影響し、特に、データセンター事業と密接に関連します。AIと連携が深いHPCの市場は、年率11%の高い成長を遂げます。そこに対する投資も緩めませんし、アプライアンスにも投資をしていく予定です。

――ヤンCEOからは、データセンター事業に対して、どんなことを言われていますか。

 「Keep Going(やり方は正しいので、このまま徹底してやり続けろ)」と言われていますよ(笑)。私自身、新たな戦略による、これからの成長が楽しみです。