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「NetAppは先を見るために木に登ります」、変革への取り組みをクリアンCEOが解説
NetApp Insight 2015 Las Vegasレポート
(2015/10/15 09:00)
ストレージ製品ベンダーの米NetAppは、ユーザー企業やパートナー企業を主な対象としたカンファレンスイベント「NetApp Insight 2015 Las Vegas」を10月12日から米国で開催している。
初日のジェネラルセッションには、NetApp CEOのGeorge Kurian(ジョージ・クリアン)氏が登壇。「Data Powered Digital Future」として、デジタル技術による社会変革と、それを支えるデータについて語った。
Kurian氏はまず、自動車を例に挙げた。自動車は現在ではデジタル化され、膨大なプログラムコードからなり、TCP/IPのネットワーク機能も持つ。自動運転車はテラバイト級のデータを生成し、車輪にのったデータセンターとすらいえる。
また、銀行はいまや支店に来てもらうだけではなく、インターネットやモバイルにより、顧客のいる場所で対応するようになった。これもデジタル技術による変革だとKurian氏は言う。
そのうえでKurian氏は、「データが世界をより良くする」と語った。カリフォルニアの、水状況のデータを分析して得られるリアルタイムな洞察(insight)を消防署に送る例や、データ処理によってIoTを改善する例、グローバルに人がつながることによるビジネスのネットワークなどを挙げて、「Data is the Foundation for Helping(データは助けるための基礎)」と説明した。
こうした変革を背景として、Kurian氏はNetAppの技術の話に移った。エンタープライズ品質のフラッシュストレージや、スケール、Software-Defined Storage、垂直統合インフラなど、ストレージとデータを管理する新しい技術を持つという。
さらに、「アーキテクチャを変えていかなくてはならない。ハイブリッドクラウドは、デジタル技術による未来のためのアーキテクチャ」として、昨年のNetApp Insight 2014で登場した「Data Fabric」を紹介。「今年は実際のビジネスとして提供できるようになった」と語った。
Kurian氏は、Data Fabricを採用したロンドンの大型顧客から聞いた声を紹介した。この顧客はかつてNetAppの競合製品を使っていたが、「NetAppに変えて大きく変わった」という。Data Fabricを使うことで、コストを削減すると同時に新しいことができるようになったということで、シームレスにデータを管理し、新しい機能を社内に提供し、コンプライアンスの要件にも応えると、「Data Fabricを使うことで、できなかったことができるようになった」と言われたという。
氏は、顧客のデジタル技術による変革を助けた事例を「驚異的なストーリー」として紹介した。金融機関のING Directでは、ベンチャーより早くデジタルサービスを提供するために、FlexPodとOpenStackを使って開発のスピードをアップした。DWD(ドイツ気象局)は、NetAppのオールフラッシュストレージAll Flash FASを採用して、危険な気候のデータを得るレスポンスタイムを15秒から1秒に短縮した。ロックバンドのライブでの事例として、大量にチケットを買い占めて転売する人をデータ分析で検出してブロックしたり、次のライブをどこで開催するといいかというアドバイスを得たりできた例もあった。不動産会社では、膨大な回数の意思決定を迅速にするためにオールフラッシュストレージを採用した。
Kurian氏は、この1年でclustered Data ONTAP(cDOT)の出荷ノード数が115%増加、ハイパフォーマンス向けのEシリーズの出荷ユニット数が40%増加、All Flash FASの出荷ユニット数が140%増加したという数字を紹介し、「すばらしい1年だった」と語った。
Kurian氏は最後に、8歳の娘さんとの出来事を紹介した。いっしょに公園に散歩に行ったときに、娘さんが「もっと先を見たい」と言ったので、少し怖かったが二人で木に登ったという。これになぞらえて、「NetAppは(先を見るために)木に登ります」と氏は会場に宣言した。