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「Oracle AI World 2026」2日目、OpenAI連携の「Oracle AI Workspace」発表やOCIへのGoogle TPU導入を明らかに
OpenAI アルトマンCEOも登壇、昨今のセキュリティ問題などにコメント
2026年10月28日 13:05
米Oracleは、同社の年次イベント「Oracle AI World 2026」およびその併催イベント「Suite World」を、10月25日~10月28日(現地時間)に、米国ネバダ州ラスベガスの会場において開催している。
Oracle AI Worldは、Oracle製品(Oracle Database、Oracle Cloud Infrastructure:OCI、Oracle Fusion Applications)を扱うイベントで、Suite Worldは中小企業向けERPとなるNetSuite製品を中心に扱うイベントになっている。
実質的な2日目となった10月27日には、Oracle CEO クレイ・マグワイク氏の基調講演が行われたほか、同社のパブリッククラウドサービス事業であるOCI(Oracle Cloud Infrastructure)やOracleの各種AIサービスに関する発表を行った。
この中でOracleは、「Oracle AI Database」や「Oracle Fusion Applications」などのOracleのAIソリューションと、OpenAIのChatGPTの高度な統合を実現する「Oracle AI Workspace」を発表したほか、OCIのAI演算装置として、ハイパースケーラーのCSP(クラウドサービス事業者)としてGoogle Cloud以外では初めてGoogleのTPUを導入する計画を明らかにした。
また、夕方には、同社創業者でCTO(最高技術責任者)兼 取締役会副会長のラリー・エリソン氏が登壇した特別講演が、昨年同様Webストリーミングの形で行われた。
Oracle自身の仕事の進め方もAIで大きく変わったとOracle マグワイクCEO
前日のOracle CEO マイク・シシリア氏の基調講演で発表されたOracle Fusion Applicationsや、NetSuiteの創業者でOracle NetSuite事業担当 上席副社長 エヴァン・ゴールドバーグ氏の基調講演で発表されたNetSuite関連の発表に続いて、OracleのAIソリューションが発表された。
マグワイク氏の講演では、Oracleのパブリッククラウド事業であるOCI、さらにはOracleのAIサービス全般などに関する発表が行われた。
マグワイク氏は「OracleがそれまでCloud Worldの名称で開催されていたこのイベントをAI Worldに変更することを決めたのは2年前だ。私はその選択は正しかったと思うし、同時にAIがすべてを変えるという宣言もした。今日私がお伝えすることの結論は、それが真実であることを皆さんにお伝えすることだ」と述べ、AIがOracleのイベント名を変えただけでなく、ビジネスのあり方そのものを変えていっていると強調した。
また、「すでにAIはOracleのあらゆる仕事の進め方に影響を与えており、ソフトウェア開発、財務、人事、法務などの業務がAIによって大きく変わっている。例えば、サポートリクエストからの平均解決時間は3時間半から16分へ短縮されたし、製品をアイディア段階から本番稼働させるまでにかかる時間は9カ月超から6週間になったほか、ソフトウェアやサービスの脆弱性の検出・修正速度は6カ月前と比べて10倍になった。また、Oracleで書かれているソフトウェアの圧倒的多数が、人間ではなくAIによって生成されている」と述べ、AIによりOracle自身のビジネスのあり方も大きく変わっているのだと強調した。
AIDPの機能強化が発表され、OpenAIとの協業でOracle AI Workspaceの提供も開始
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Oracle AI Workspace
マグワイク氏は、OracleのAIサービス関連でいくつかの発表を行っている。その代表は「Oracle AI Data Platform」の機能拡張と、「Oracle AI Workspace」の2つだ。
Oracle AI Data Platform(AIDP)は、Oracleが同社の顧客向けに提供しているAIデータ基盤で、データレイクの機能やアクセス制御などが総合的に提供され、顧客企業がAIアプリケーションを構築するときにデータを活用するために利用できる。
今回の発表では、そのAIDPの機能拡張が明らかにされ、AIエージェントが業務関係性やポリシーなどを理解できる機能を追加し、それによりAIエージェントがその会社の文化や業務上のお約束(ビジネス・コンテキスト)などを適用しながら動作することを可能にするとした。
ほかにも、ビジネスオントロジーとセマンティック推論、ガバナンスの強化などが行われており、エンタープライズにとっては、AIの実用化とガバナンスの強化を両立してAIの拡大と効率的な管理が可能になる。
またOracle AI Workspaceは、エンタープライズの従業員がAIを活用しながら業務を進めるためのツールとなる。GoogleのGemini Enterprise Apps、法人向けMicrosoft Copilotなどの競合になる製品だと考えられる。
OpenAIのフロンティアAIモデルとOracleのAIエージェントなどが統合的に提供され、Oracle AI Data Platform上、さらにはSlack、Microsoft 365などに接続して、Oracle以外のSaaSにある企業独自のデータなどを活用しながら、ユーザーにAIを利用したサービスを提供することが可能になる。
ほかにも、セキュリティ機能の拡張として、人間がAIの動作を許可する際に生体認証を利用する「Biometrics」、AIエージェントにIDを付与して動作を制御する「Agent Identity」、Oracle AI Databaseによりローレベルのセキュリティ機能を提供する「Oracle AI Database DeepTrust AI Architecture」なども発表された。
OpenAIのサム・アルトマンCEOが対談に登場、セキュリティの懸念に対しては「パッチを当て続けるしかない」
マグワイク氏の基調講演にはそのOpenAI CEO サム・アルトマン氏がゲストとして登壇し、マグワイク氏との対談を行った。
アルトマン氏は「8月にGPT-6をリリースしたが、自分でも進化の速さが今年最大の驚きの1つだ。4年前のモデルは基本的な数学の問題を解くこともできなかった。しかし、今では私たちが知る最も難しい問題に取り組んでいる。この6カ月はこれまでの4年間をさらに加速させたようなもので、GPT-6はモデルが一気に前進した瞬間の1つだ。GPT-6ではコーディングやエンタープライズソフトウェア、セキュリティ、科学などでこれまでのどのモデルよりも強いものになっている」とOpenAIが8月にリリースしたGPT-6が強力なフロンティアAIモデルになっていることを強調した。
マグワイク氏が、ChatGPTのデスクトップ版を全社的に導入し、Codexなどに驚かされたと話を振ると、アルトマン氏は「企業でAIを全社的に導入する中ではいくつかの驚きがあることがわかってきている。これまでコンピューターに自分の望むことをさせることは自分の仕事じゃないと思っていた人たちにまで急速に広がっていて、コンピューターとの関わり方が変わっているのだ。そして25年の初めと比べて25年の終わりには生産性が2倍になったという人や、仕事が以前よりもずっと楽しくなったという人々が増えている。これは大きな変化だ」と述べ、AIによりコンピューターに仕事をさせる意味が変わってきていると指摘した。
また、マグワイク氏に、AIにより人間の創造性が拡大しているのではないかと聞かれると、「その通りだ。AIによりそういうことに関心がなかった人の創造性も引き出されている。そしてもともと関心があった人にははるかに大きな力を与える。そうした最新のツールを利用してコンピューターの前に座っていると、まるで自分のコンピューターの中に工場を持ち、その工場を運営しているようだと感じている。自分のやりたくない作業は自動化でき、何かに行き詰まったり、どうすればわからないという感覚がなくなった」と述べ、AIにより人間の創造性はむしろ解放され、新しい段階に入ってきていると説明した。
そして、昨今攻撃者もAIを活用するようになったことで、データ漏えいや不正侵入などの事例が多発しており、セキュリティ上の懸念が高まっていることに関しては、「今すぐ企業に1つだけ勧められることがあるとすれば、AIによって変化するセキュリティ上の脅威をきちんと理解し、それに対する対策を講じることだ。私がそれを言うと、“問題を作り出している側が、対策を勧めている”と受け取られるかもしれないし、そういう面もあるのだとは思う」と話す。
さらに、マグワイク氏が、過去50年間にわたって同じようにセキュリティ上の問題を発見し、それにパッチを当てるという取り組みをしてきたことに言及すると、「それはその通りで、この状況を乗り越えるには、問題を見つけて修正することに尽きる。トラフィックを継続的に監視し、脆弱性が悪用されないようにすることが必要で、新しい種類のサービスも必要になるだろう。AIがどれほど多くの脆弱性を見つけているのか、その数には驚かされる。そして、それに先んじるために必要となる人間の作業量を考えると、大変であることは否定できない」と述べ、AI時代になり、AIが脆弱性を発見するスピードは上がっているものの、脆弱性が見つかればそれを一つ一つつぶしていくという営みはこれまでと変わらないと指摘した。
最後にハードウェアについての期待について聞かれると、「AIは科学の進化や技術の発明に大きく貢献しているが、実は同時にチップ開発にも役立っている。われわれはJalapenoというチップを開発し、OCIに導入している。AIを使わなければこんな短期間では実現できなかっただろう。推論向けとしては世界最高のAIチップだとわれわれは考えている。数年という短い間に、AIはチャットボットからコーディングエージェントへ、そしてAIの計算能力を直接イノベーションへと変える段階へと進化している。チップを作ることもそうだし、病気を治すこともそうだ。これにより私たちはより優れた、高品質なサービスを低コストで得られるようになる。何が可能になるのかわれわれは本質的にはまだ実感していない。頭では変化を理解していても、感情的にはまだ受け止め切れていないのだと思う。だが、それを実現するモデルはもうここにあるのだ」と述べ、AIが実現している社会の変化や進化はまだ入り口の段階にすぎないのだと強調した。
Vera Rubin NVL72の来春からの提供開始、Google TPUのOCIでの採用などが発表される
マグワイク氏の基調講演、およびOracle OCI担当 社長 マヘシュ・シャガラジャン氏によるプロダクト・スポットライトと呼ばれるOCI製品に関する講演の中では、今回発表されたOCIの拡張などについて説明が行われた。
この中で明らかにされたのは、AI処理用のプロセッサーラインアップの拡張だ。GPUに関しては、NVIDIAの最新ラックとなるVera Rubin NVL72を来春から提供開始することが明らかにされたほか、AMDが7月に発表したInstinct MI455Xを搭載した最新ラックのHeliosが一般提供開始になったことも発表された。
今回のAI Worldでは、それらに加えてGoogleのTPUが2027年からOCIに導入されることが明らかにされた。シャガラジャン氏の講演には、Google Cloud GCE製品/AIインフラ担当 副社長 ジョージ・エリッサイオス氏がゲストとして登壇し、今回の両者の提携では単にハードウェアだけでなく、Googleが提供する開発キットなどのソフトウェアソリューションも同時に提供されることが明らかにされた。
また、基調講演では導入されるTPUが第8世代だと明らかにされたので、TPU 8iないしはTPU 8tのどちらか、ないしは両方が導入されることになる。
このほかに、特定用途向けのAIアクセラレーターとして、Cerebras CS-3を2027年秋から、Positron Atlasがすでに一般提供を開始していること、SambaNovaのSN5が2027年秋に、そしてOpenAIが設計しBroadcomが製品化を担当しているJalapenoが2027年秋にそれぞれ導入開始されることが明らかにした。
例えば、Positron Atlasは低価格なDDRメモリを採用しているため、メモリコストの最適化が必要な用途向けなどに投入するなど、それぞれの特長を生かした分野向けに提供されると、Oracleは説明した。
CPUに関しても拡張が明らかにされ、AMDの第6世代EPYCを採用したE7インスタンスを来春に、NVIDIA Veraを搭載したVeraインスタンスを2026年末までに、Intelの次世代XeonとなるDiamond Rapidsを搭載したX14インスタンスを2027年秋に、ArmのAGI CPUを搭載したAGIインスタンスを2027年秋にそれぞれ提供する計画であることが明らかにされた。
このように、OCIはCPUでもAIアクセラレーターでも、どこの半導体メーカーとも等しく付き合い、顧客の選択肢を広げるという「全方位外交」戦略は引き続き健在であり、今回は直接の競合ともいえるGoogle CloudのTPUの採用を明らかにするなど、その戦略がさらに一歩進んだ印象だ。
また、Snowflakeとの提携も発表されている。今回は、SnowflakeのAI Data CloudがOCIのネイティブサービスとして利用できるようになった。契約や請求などもOCIが行い、OCIを利用している顧客がSnowflakeのデータレイクを利用してAI環境を構築することが、これまでよりも容易になるとともに、より高性能な環境で利用可能になる。
シャガラジャン氏の講演には、Snowflake 製品管理担当 上席副社長 クリスチャン・クレイナーマン氏が登壇し、両社の協業がOCI、Snowflakeの両社の顧客にメリットがあると説明した。
Oracle 創業者のラリー・エリソン氏、ヘルスケア事業についての特別講演を実施
同社の創業者で、CTO 兼 取締役会副会長 ラリー・エリソン氏は、「The New Oracle Health Application Suite and the Age of AI」と題した特別講演を、10月27日の夕刻に行った。昨年の同氏の講演もそうだったのだが、今回も基調講演の会場などには姿を見せず、会場の参加者もWebストリーミングで視聴するという形で行われた。
この中でエリソン氏は、同氏が近年力を入れて取り組んでいるメディカルヘルスケア分野でのAI利用の促進などについて語った。エリソン氏は、「個人的なことだが、私の母がガンで亡くなったことがこの分野に興味を持つ入り口になった。今後製薬やガンの研究などにAIを使っていくことで、5年~10年でガンを克服できるのではないかと考えている」と述べ、個人的な理由から医療やヘルスケアといった分野に強い意志を持って取り組んでおり、その進展に大きな期待感を持っているのだと説明した。




























