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日本企業の7割がランサムウェア感染の経験あり、支払っても約4割が追加要求に直面――プルーフポイントが警告

 日本プルーフポイント株式会社は27日、グローバルで実施した調査をもとに「AIランサムウェア脅威動向レポート 2026」を発表し、その内容について説明会を開催した。同調査は、世界12カ国のセキュリティ担当者953人を対象に実施した。

 説明にあたった日本プルーフポイント 常務執行役員 チーフエバンジェリストの増田幸美氏によると、ランサムウェアの感染率は12カ国の平均で84%に達し、大半の企業が何らかのランサムウェア被害に遭っているという。日本の感染率は73%と調査国の中では比較的低い水準にとどまるものの、前回の2023年調査と比較すると日本の感染率は35ポイントも増加した。

各国のランサムウェア感染率
日本プルーフポイント 常務執行役員 チーフエバンジェリスト 増田幸美氏

身代金の支払率が日本で増加

 身代金の支払い状況については、米国で93%、アラブ首長国連邦(UAE)で81%が身代金を支払ったと回答。日本は37%で、イタリア(19%)、フランス(33%)に次いで低い水準となった。日本はこれまで「最も身代金を支払わない国」として推移してきたが、今回の調査では前回から5ポイント増加した。

ランサムウェア身代金支払率

 日本で身代金を一度支払った後にデータが無事復元できた割合は、前回の17%から今回は59%へと大幅に上昇した。その理由について増田氏は、「攻撃者が提供する復号ツールの品質やサポート体制が向上したことで、日本語などのダブルバイト環境でも復号しやすくなったためだろう」と話す。攻撃者側も、一度の支払いで復元できるという実績を作ることで、将来の被害者に支払いを促す狙いがあるという。

 ただし、身代金を支払った企業のうち約4割は、一度の支払いでは復旧に至らず、追加の身代金要求を受けて再度支払いに応じている。また、追加の要求があったため復旧をあきらめた企業も存在する。

ランサムウェア身代金支払いの結果

 増田氏は、身代金支払いのリスクについて、「一度支払うと次も狙われる。また、追加の身代金を要求される場合や、データが戻ってこないこともある」と警告。「身代金の支払いは確実な復旧の手段ではない」と強調する。

 「攻撃者は企業の事業停止による損失や取引先への影響、信用の低下に付けけ込み、さらなる要求を重ねる可能性がある。仮にシステムが復元できたとしても、窃取された情報が消去される保証はないため、攻撃者に頼らず自力で事業を復旧できる体制構築が不可欠だ」と増田氏。

 実際、ランサムウェア攻撃を受けた企業の約半数で、機密情報を含むデータの外部流出が確認されたことが調査でも明らかになっている。

サイバー保険の補償率は低水準

 被害の備えとして導入が進むサイバー保険だが、日本では保険請求額が全額支払われた割合が36%と他国より低く、一部の補償にとどまるケースが49%だった。

 ランサムウェアによる損失は、システムの復旧費用にとどまらず、売上機会の損失や、代替業務の実施に伴う追加費用、外部専門家による調査、顧客対応、ブランドイメージの低下など多岐にわたる。

 増田氏は、「自社に発生しうる損失を具体的に見積もった上で補償内容を慎重に検討する必要がある。ただし、補償範囲を広げれば保険料や加入条件が厳しくなるため、バランスの見極めが重要だ」としている。

サイバー保険による補償の状況

AI時代に企業がやるべきこととは

 フロンティアAIによって発見される脆弱性は爆発的に増加し、攻撃者が脆弱性を突いて侵入するまでの時間はわずか10時間程度に短縮された。これに対し、防衛側がパッチを開発し、テスト環境での検証を経て本番環境へ適用するまでには平均55日を要するという。

 「AIによる自律型の攻撃が高速で侵入を試みる中、この10時間と55日という時間のギャップは明らかに不利」と増田氏。そこで増田氏は、AI時代のセキュリティ対策として、「攻撃を受けていない平時に、AIを用いた脆弱性の点検と穴埋めをし、攻撃表面積(アタックサーフェス)を削減し、重要資産の優先順位を整理し、優先度の低いシステムはネットワークから切り離してもらいたい」と提案する。

 また、攻撃を受けた際には「即座にネットワークを隔離することが基本」と増田氏は主張。AIによる自動封じ込めを導入するとともに、重要システムが強制停止した場合に備え、業務を手作業で継続させるBCP(事業継続計画)の策定も欠かせない。

 「今や重視すべきKPIは対処のスピードだ」と増田氏は語る。「脆弱性の早期検知、システム隔離までの時間、そして復旧にかかる時間が企業の明暗を分ける。人間の判断速度を超えたAIの攻撃に対し、防衛だけに頼るのではなく、何を優先して守るかを明確に整理することが今後の企業競争力を左右する」(増田氏)。

AIによる脆弱性の波に対処