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約10年ぶりに復帰したデル・テクノロジーズのジョン・ロボトム新社長が就任会見、「日本のAI競争力向上と持続的成長に貢献」
2026年10月28日 11:51
10月27日、デル・テクノロジーズの代表取締役社長に8月17日付で就任したジョン・ロボトム氏が、初めての記者会見を行った。
ロボトム社長は、「私の役割は、日本の経済成長にどう貢献するかということだ。日本のAI競争力の向上と、持続的成長に貢献したい」と述べ、AI投資をビジネス成果につなげる「AI Outcomes」、セキュリティを含めて信頼できるAI基盤を構築する「Trusted AI」、顧客やパートナーとの共創による価値創造を実現する「Ecosystem Innovation」、AI人材とイノベーションへの投資を行う「Japan's Growth」の4点を重視する考えを示した。
ロボトム社長は、フォードやサン・マイクロシステムズを経て、2009年8月から2016年11月までの約7年間、デル日本法人に在籍。シニアリーダーシップチームの一員として、サービス営業部門を率いた経験がある。その後、2016年12月に日本マイクロソフト 執行役員常務に就任。2019年1月からはレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの代表取締役社長、2023年7月からはAMDの代表取締役社長を務めていた。今回は、約10年ぶりにデルに復帰したことになる。
「日本マイクロソフトではクラウドの重要性を学ぶことができた。だが、日本のお客さまに聞くと、インフラのモダナイゼーションに遅れがあり、新たなことに踏み出せないという状況にあることがわかった。レノボ・エンタープライズ・ソリューションズでは、インフラをモダナイズし、クラウドレディな環境への移行を支援することに力を注いだ。そして、AMDでは、AIを支える半導体イノベーションに取り組んだ。正直にいうと、ここまで半導体に注目が集まることはサプライズであった。半導体の世界を理解した上で、今回の立場に就くことになった」と話す。
また、「常に勉強の繰り返しであったが、25年近くにわたり日本のIT業界で仕事をしてきた経験がある。私自身、日本の市場にどう貢献できるのかを常に考えてきた。テクノロジーエコシステムのあらゆる層にわたる深い経験、クラウドやインフラ、サービス、AIコンピューティング、イノベーションへの幅広い理解、日本のエンタープライズおよびパートナー領域における豊富な人脈を生かせる」と語った。
なお、2025年8月にそれまでデル・テクノロジーズの社長だった大塚俊彦氏が会長に就任し、代わりにグレンジャー・ウォリス氏が社長に就いていた。今年8月までの約1年間は、日本語を話せない日本法人社長だったともいえる。
ロボトム社長は、「前任者であるグレンジャーはデルに長年勤務をしており、デルのビジネスをしっかりと理解し、日本でのビジネスを拡大した。私は、デルを知りながらも、さまざまな企業での経験がある。日本のパートナー企業とも長年の付き合いがある。それらを活かしながら、日本におけるデルの貢献度を高めたい。デルのビジネスをもっと加速できると考えている。日本語を話せた方が話が早い」などと抱負を述べた。
また、ロボトム社長は、「10年前のデルと、いまのデル・テクノロジーズは大きく違っている。テクノロジーズという言葉が付いただけで、組織とケイパビリティが大きく違う」と指摘。
「10年前と同じなのは、マイケル・デルがCEOであることである」としながら、「マイケルは日本を重要視している経営者であり、その姿勢は以前と変わらない。お客さまの近くでリレーションをしながら、ビジネスを拡大していくというベースにも変化がない」と発言した。
一方で、「10年前は、日本におけるパートナーエコシステムが確立されておらず、その点が弱かったが、いまはパートナーと緊密な関係が構築できている。これが10年前との大きな変化点である。前職でパートナー企業と話をした際に、デルとは仕事がやりやすいという声を聞いていた。実際に、その強みを感じている。ここはもっと強化をしていきたい。パートナーとともに、お客さまに対して貢献する取り組みを強化したい」と語った。
ロボトム社長は、就任以来、顧客やパートナーを精力的に訪問。2026年11月には、約400人のデル・テクノロジーズの正社員が勤務する宮崎県の宮崎カスタマーセンターにも社長就任後、初めて訪問する予定だ。
「お客さまやパートナーからは、デルに対する高い期待を感じている。特にAIのビジネス活用において、デルは大きく貢献ができると考えている。日本はAI導入からAI成果創出のフェーズへと入ってきた。次の競争力を決めるのはAIの導入ではなく、AIを活用した実行力である。成果創出には、Trusted AIや人材、インフラ、エコシステムが不可欠である」などと述べた。
ロボトム社長が、デル・テクノロジーズの強みとして挙げたのが、エンドトゥエンドのソリューションをワンストップで提供できる点だ。
AI PCやエンドユーザーコンピューティング、プロダクティビティソリューションズによる「Modern Workplace」、サーバーやストレージ、データプラットフォーム、サイバーレジリエンスなどの「Modern Data Center」、全世界で6500社以上が導入しているDell AI Factoryのほか、AIインフラストラクチャーやプロフェッショナルサービスなどの「AI Solution」を提供。「お客さまを理解しながら、AIレディの環境を実現するのが、デルの強みである。AIの成果創出を支えるインフラストラクチャとデータ基盤を提供できる」と述べた。
デル・テクノロジーズは、AIインフラストラクチャでは世界ナンバーワンのシェアを獲得。さらに、サーバーでは、世界および日本でナンバーワンシェアを獲得しているほか、外付けストレージでは世界および日本国内でナンバーワン、ストレージでも世界および日本でナンバーワンを獲得していることを強調した。
AIの成果創出を支える4つの要素とパートナーとの共創基盤
また、AIによる成果創出に向けて、デル・テクノロジーズは、「Vision」、「Partnership」、「Talent」、「Infrastructure」の4つの要素を提供できるとした。
「Vision」では、東京・大手町の同社本社内に設置しているEBSC(エグゼクティブ ブリーフィング&ソリューション センター)やAI Innovation Labを活用。「EBSCは、グローバルで3カ所しかない。そのうちの1カ所が日本である。日本市場を重視していることの証しだ。日本の企業経営者と緊密に対話をしながら、ビジョンをとらえ、それをソリューションとして具現化するお手伝いをしていく」とした。
「Talent」では、次世代リーダー人材を育成するNGLP(Next Gen Leaders Program)や、AI人材を育成するAI Educationを提供。「Infrastructure」においては、AI PCおよびAI Factoryを提供。そして、「Partnership」においては、「日本の企業にとって、AI競争力を支えることができる長期的なパートナーになりたい」と述べた。
その上で、「デルの日本における事業展開において、パートナーエコシステムが重要であると考えている」とも語った。
同社の調査によると、変革目標の実現に向けて、パートナーに、より踏み込んだ支援を期待したいという企業が92%となり、APJC(アジアパシフィック・ジャパン・チャイナ)全体の89%を若干上回る結果になっている。また、ビジネス成果の実現に向けた共創拡大に期待しているとの回答は70%に達したが、こちらはAPJC全体の81%を大きく下回る結果となった。
ロボトム社長は、「日本のお客さまは、パートナーに対する期待が高いことの裏返しであるととらえている。パートナーとデルが一緒になって、ケイパビリティを強化し、お客さまの期待に応えていきたい」と述べ、「AI変革を支えるのは、競争ではなく、協力である。お客さまやパートナー、ISV、クラウド事業者をつなぐ共創基盤を提供するとともに、パートナーとともに、AIの構想策定から導入、運用、成果創出までを支援する。海外の先行導入事例も多く持っており、これを示すこともできる。IT産業を超えた共創を通じ、日本のAI競争力強化に貢献したい」と語った。
最新調査に見る日本企業のAI活用現状――「導入」から「成果創出」フェーズへ
一方で、デル・テクノロジーズが発表したAIに関する最新調査についても言及した。
これは、世界35カ国のビジネスおよびITに関する意思決定者である2950人を対象に同社が実施した「Modern Enterprise Readiness Study 2026」の結果であり、日本からは150人が回答しているという。
これによると、生成AIの活用に関して、初期および中期フェーズから進展し後期フェーズにあると回答した日本の企業は、2025年の35%から、2026年は58%に増加。APAC平均の61%に迫る状況にあるという。また、72%の企業が、新たなAI施策を進める条件として、実証されたビジネス成果と明確なリスク管理計画を求めていること、企業の最大の課題は、AIの導入そのものではなく、人材やセキュリティ、インフラ、ガバナンス、AIを拡大展開するための実行基盤であることなどが浮き彫りになったという。
ロボトム社長は、「日本の企業のAI活用が次のフェーズに入ってきていることを示すものである。企業の関心は、テストや導入のフェーズから、投資の成果を求めるフェーズへと移行している。AI導入に対して、アクセルを踏むとともに、ビジネスへの貢献度を高めていくことが重要である」と語った。
また、日本の企業がAI活用において、「データ分析・意思決定支援」、「セキュリティ/脅威検知」、「IT自動化・インフラ運用」を重視していることを指摘した。
その一方で、AI導入において、日本の企業が直面する課題として、「Trusted AI」、「AI Skill &Talent」、「Investment & Outcomes」、「AI Infrastructure」の4点を挙げた。
「信頼のあるAIを実現するには、データが重要であり、日本のお客さまはその点への懸念が強い。また、日本企業はAIを積極的に取り入れているが、実行面での課題が残っており、セキュリティ、人材、インフラ、ROIが課題となっている。日本の企業は、AIに対する関心は高いが、実行力をいかに高めるかが課題である」とした。
調査では、日本の47%の企業が、セキュリティやコンプライアンス、プライバシーへの懸念があると回答。38%の企業がAIスキルを持った人材が不足していることを課題に挙げ、33%の企業がリソースの制約がAI施策に影響することを課題としている。また、63%の企業がAIやデータ、セキュリティを横断した実行基盤に課題があると回答している。









