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インテル、クアルコム、AMDの3社が共演。最新チップが切り開く「Copilot+ PC」の現在地とシリコンから見たAIの未来
Windows AI Day ブレークアウトセッション
2026年3月26日 09:00
株式会社インプレスは、企業の情報システム担当者やAIに関心のあるユーザー、経営者・経営企画担当などを対象にしたイベント「Windows AI Day」を、3月2日に東京国際フォーラムで開催した。特別協賛は日本マイクロソフト株式会社。
日本国内の主要PCメーカー11社から発売される最新のCopilot+ PCが一挙に紹介されたほか、Windows 11に搭載されたAI機能やCopilot+ PCが、オフィスでの実際の仕事にどのように役立つかについても、事例を交えて解説された。
また、PCメーカー各社の実機を展示するコーナーが設置されるなど、Copilot+ PCを扱うPCメーカー、ディストリビューター、半導体メーカーなどの20社が一堂に会し、会場には800名以上が来場した。
ここでは、シリコンベンダー3社が登壇したブレークアウトセッションを紹介する。
【イベントレポート】Windows AI Day
▼【基調講演】「Windowsは仕事の最強パートナーになる」――Copilot+ PCが変える業務の常識
▼【基調講演】「PCが人間に歩み寄る」時代へ――、Copilot+ PCの最新AI機能と主要11社の新PCを一挙紹介
▼【ブレークアウト】インテル、クアルコム、AMDの3社が共演。最新チップが切り開く「Copilot+ PC」の現在地とシリコンから見たAIの未来(本記事)
Intel、Qualcomm、AMDの3社が語るAI PC
ブレークアウトセッションの1つである、Intel、Qualcomm、AMDの3社を迎えたスペシャルセッション「半導体キーパーソンが語る AIの現在地と未来」では、株式会社インプレス Impress Business Library編集長の川上潤司氏が聞き手となり、3社それぞれと対談する形式で進行した。
Intel:Core Ultra シリーズ3でAI機能と電力削減を強化
インテル株式会社からは、執行役員 アカウント・パートナー事業本部 本部長の栗原和久氏が登壇した。
栗原氏はIntelの事業の柱として、ファウンドリー、x86アーキテクチャ、AIの3つを挙げ、AIは注力分野の1つだと説明。PCからデータセンター、エッジまで、AIの製品や開発ツールを提供していると語った。
AI PCの市場についての質問に対しては、2025年12月時点で市場の3台に1台はAI PCという状況を達成しており、2026年はさらにそれを拡大したいと回答した。
そのキーとなるのが、CES 2026で発表した最新CPUのCore Ultra シリーズ3だ。コンシューマー向けにはすでにリリースされているほか、法人向けへの投入についても期待してほしいと述べた。
Core Ultraシリーズ3の特徴として、栗原氏は「前世代には、パフォーマンスに優れたArrow Lakeと、電力効率とグラフィックに優れたLunar Lakeの2つがあったが、そのいいとこ取りをしたような製品」だと説明した。
AIについても、AIの計算に特化したNPU(Neural Processing Unit)だけで50TOPS、NPU・CPU・GPUを合わせると180TOPSという性能を掲げている。さらに、消費電力が一層削減されていることも強調した。
AI PCにおけるIntelの強みについての質問に対しては、栗原氏は「互換性」と回答。「長年ソフトウェアメーカーと連携しているので、市場に出ている(Windows用)アプリケーションはほぼすべて問題なく動く」と述べた。
その延長として、AIについても200社以上のソフトウェアメーカーと連携して480以上の機能が提供されていると紹介し、「エコシステムができていることが重要」と強調した。
さらに、Core Ultraシリーズ3では、CPU、GPU、NPUが3つそろって進化したことも付け加えた。
なお、これから先の市場の動きについての質問に対しては、Core Ultra シリーズ3をフィジカルAI向けにもリリースすると発表していることを栗原氏は紹介。この分野で、Core Ultra シリーズ3のリファレンスボードやRobotics AI Suiteという開発環境を用意し、PoC(概念実証)をより簡単にできるような環境を提供していくと語った。
また、AIチップのSambaNova Systems社へのIntelの出資についても紹介し、「これからソリューションが世に出てくる。期待してほしい」と語った。
Qualcomm:モバイル由来の技術で電源ケーブルをつながなくてもパフォーマンス低下なしで長時間の利用が可能
クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズ有限会社からは、PC Business統括本部の井田晶也氏が登壇した。
AI PC市場におけるQualcommの強みについての質問に対しては、モバイル向けの技術をルーツとしてPCの世界に参入したことを井田氏は挙げた。2016年にNPU搭載のスマートフォンを、2017年にNPU搭載のWindows PCをそれぞれ発表したことも紹介。特に、スマートフォンのように電源ケーブルをつながない状態で使ってもパフォーマンスが落ちないことを強みとして挙げた。
“エンタープライズ市場に向けて伝えたいこと”というお題に対しては、CESで発表されたSnapdragon X2シリーズにエンタープライズ向けとして追加された「Snapdragon Guardian Technology」を井田氏は紹介した。OSと独立してリモート管理できる機能で、社内のPCをまとめてドライバーをアップデートしたり、リモートワイプしたりすることが可能になる。
また、ARMアーキテクチャであることによる互換性の懸念について尋ねられると、井田氏は、Snapdragon Xシリーズをリリースした時にさまざまな懸念の声が上がったと認めた。ただし現在では、グローバルで6000以上のアプリについて互換性が確認され、その中で1500以上がARMにネイティブ対応し、日本でもトップ350以上のアプリで100%の互換性を確認されているという数字を提示。「ほぼすべて問題ないかなと思っている」と回答した。ただし、企業固有などの特殊なアプリについては、一つひとつヒアリングして対応していると語った。
プリンタードライバーについても、主要なメーカーがほぼすべて対応を表明していると説明。企業のフロアに置かれている大きな複合機では、ほぼすべてが対応していると語った。ただし、バッチスキャンなどの一部の機能については対応中のものもあるとしている。
そのほか井田氏は、Snapdragon XシリーズのPCは安定性が高いとアピールした。Qualcomm社内の従業員5万人のうち、約2/3がx86のPCを、約1/3がSnapdragonのPCを使っているが、これらの全PCの稼働をモニタリングした結果によると、ブルースクリーンやシステムクラッシュがSnapdragonのPCではほぼ皆無だったと井田氏は紹介した。
Qualcommが今後狙っていく方向についての質問では、Snapdragon Xシリーズは最初からすべてCopilot+ PCのスペックを持ち、それを活用してAIの活用を推進していくと回答した。
また、AIの方向性として、フィジカルAIなどにも対応を広げていけるとも回答。例えば、自動車のエンジン制御やEVのバッテリー効率などを運転手に合わせて最適化していくAIも期待できるのではないかと述べた。
さらに、ロボティクスの分野については、AIと画像認識を組み合わせることで効率化が図れるのではないかとも付け加え、この分野向けのSoC「Dragonwing IQ10」を発表したことを紹介した。
そのほか、AIデータセンター分野も視野に入っているか尋ねられると、井田氏は具体的なことは言えないとしつつ、データセンターのビジネスも視野に入っており、高い電力効率のサーバーにも切り込んでいきたいと考えていると回答した。
最後に、これからAI PCを導入しようと考えているエンタープライズの来場者へのアピールポイントを尋ねられると、まず、QualcommはPCの世界には新しく参入したので、不安もあるかもしれないと前置き。そのうえで、さまざまなことにチャレンジし、例えばモバイルの技術を生かして、1日以上電源につながなくてもパフォーマンスを落とさずに動くPCを常に目指していると説明。「ぜひ一度手に取っていただければ」と語った。
AMD:PCから、データセンター、HPCまでのプラットフォームにAIを適用
日本エイ・エム・ディ株式会社からは、代表取締役副社長の関路子氏が登壇した。
まず、今のAI時代をどうとらえ、どう臨もうとしているかといった質問に対して、先に登壇したIntelやQualcommと同じように、AIをすべてのデバイスやサービス、インフラなどに広げることが重要になると回答。クラウドとPCのハイブリッドのAIの世界に戦略を進めていきたいと語った。
そのハイブリッドAIについては、AMDは、PCからデータセンター向けサーバー、あるいはHPCサーバーまでソリューションを提供しており、それらに対していかにAIソリューションを適用していくかがキーになるだろうと説明した。
AI PCでのAMDの強みについての質問に対しては、GPUのパフォーマンスが上がってきており、AIでGPUを使うアプリケーションで強みになると回答。さらに、CESで発表されたRyzen AI 400シリーズでは、NPUとCPUも合わせて性能向上しており、2027年に向けてさらに進化していきたいと語った。
そのほかCESで発表されたものとして、外部GPUを搭載するミニPC型の「Ryzen AI Halo」も、3Dゲームやクリエイティブ用途のほか、AI開発者もローカルでSLM(小規模言語モデル)を動かすのに利用できると関氏は紹介。「AIのアプリケーションやサービスを、クラウドだけでなくローカルで利用できる場を提供することも重要になってくる」と語った。
今後、どのような時代が到来すると考えているか、またAMDがどのような方向へ進むかという質問に対しては、エージェンティックAIに向けて、クラウドのラックスケールAIのソリューションと、ローカルAIのソリューションの両方を提供していくと回答。「すぐに実現できるものではなく、価格や電力などさまざまな問題があり、チャレンジングだが解決していかないといけないと思っている」と語った。
最後に「シリコンメーカーを代表して、これからのチャレンジについての宣言を」と求められると、関氏は、半導体不足や地球規模の電力問題といった課題を抱える時代において、各社とも責任を感じているのではないかと回答。「お客さまやパートナー、イノベーションがあっての半導体業界なので、一緒に課題を解決したいと考えている」と話した。








