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SAPの技術で実現する近未来の世界~Mobile World Congress 2014レポート (広がる自動販売機の可能性)
(2014/3/3 06:00)
広がる自動販売機の可能性
SAPブースの中でひときわ人気を集めていたのは、購入者ごとにパーソナライズされたインターフェイスを提供する「スマートベンディングマシン」だ。これまでメーカーから購入者への一方通行でしかなかった自動販売機だが、スマートベンディングマシンでは双方向コミュニケーションが実現する。
まず、購入者がスマートベンディングマシンにICカードをかざすと、過去の購入履歴からおすすめの製品をレコメンドしてくれる。通常の自動販売機と同様、タッチパネルスクリーンから好みの商品をタッチして購入できることはもちろん、人気商品に投票したり、自分が欲しいものをウィッシュリストとして登録したりすることもできる。料金はICカードでの支払いが可能で、カード残高は画面に表示されるほか、オンラインでもチェックできる。
販売機のメニューから、友人にプレゼントを贈ることも可能だ。誕生日が近い友人にチョコレートを贈りたい場合、友人をリストから選び、プレゼントを購入する。すると、その友人に「誕生日にスマートベンディングマシンまでお越しください。プレゼントが待っています」といった旨のショートメッセージが届けられ、誕生日にマシンにてチョコレートを受け取る仕組みだ。
スマートベンディングマシンを通じた、商品のキャンペーンもできるようになっている。例えば、特定の商品の購入者に映画の動画広告を流したり、マシンに搭載されたカメラで写真撮影を許可した購入者には無料でポップコーンを提供したり、といったことも可能だ。キャンペーンを通じて撮影された写真から、男女比率や年齢層、表情などを読み取って分析し、今後のキャンペーンに生かすこともできる。
スマートベンディングマシンは新たなユーザー体験をもたらすのみならず、メンテナンスの効率化にも役立てることが可能となっている。マシンの温度などから少しでも異常を検知した場合は、アラートメールを管理会社に送信する。これまでは異常がなくても定期的なメンテナンスが欠かせなかったが、この仕組みにより定期メンテナンスの回数を減らしつつ、より的確に修理が必要そうなマシンを見分けられるようになる。また、複数のマシンで同時に異常を検知した場合は、マシンごとの売上高などからどちらのマシンの修理を優先すべきか把握することも可能だ。
商品の在庫もスマートに管理できるようになる。過去の売り上げ状況や天候、周辺施設のイベント開催などから必要な在庫数を予測し、より的確な在庫調整が可能となる。こうした分析や予測は、SAPのソリューションが得意とするところだ。もちろんこの仕組みのバックエンドには、HANAが搭載されている。
このようなスマートベンディングマシンは、決して遠い未来の話ではない。すでに2013年12月には大手ソフトドリンクメーカーとの契約に至っており、SAPのデモ担当者は「1年以内にはスマートベンディングマシンが街中に登場するだろう」と話している。