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【SDN Japan初日レポート】基礎技術からInteropなどでの活用事例まで、幅広い話題を紹介 (基礎技術からInteropでの事例まで)
OpenDaylightのパネルディスカッションも
(2013/9/19 16:00)
基礎技術からInteropでの事例まで
そのほか、主に技術的なテーマについての発表もいろいろなされた。
日本アルカテルルーセントの鹿志村康生氏は、「Overlayモデルによる仮想ネットワーキング技術 ~NVO3」と題し、IETFのワーキンググループで標準化に向けて作業が進む仮想ネットワーク方式「NOV3」(Network virtualization Overlays (Over L3))について解説した。既存の技術を組み合わせ、オーバーレイ(トンネリング)によりマルチテナントの仮想ネットワークを実現するという。
NTTの尾花和昭氏は、「NFVネットワーク機能の仮想化の目指す世界」と題し、ネットワーク機器のソフトウェア化のための要求要件をまとめるETSIのISG(Industry Specification Group)「NFV」(Network Functions Virtualisation)について紹介した。SDNとNFVは、同じ方向性を向いており、互いに補完するものだという。
オープンネットワーキングファウンデーション(ONF)の佐宗大介氏は、「SDN市場とONFの役割」と題して、SDNやONFの近況などについて解説した。ONFはSDNに関する業界団体であり、OpenFlowの標準化や知的所有権、マーケティングなどを受け持っている。現在108社が参加し、そのうち23企業がネットワークのユーザー企業。ベンチャー気質の組織だという。
日本HPの尾﨑亨氏は、「SDNで加速する、日本HPのネットワークへの取り組みと将来」と題して、日本HPのSDNへの取り組みを紹介した。「HPはSDNを実現するすべての層に製品を投入」として、「アプリケーション層」「コントロール層」「インフラストラクチャー層」の3つのカテゴリーそれぞれの製品が解説された。
ジュニパーネットワークスの長滝信彦氏は「ネットワーク機能の仮想化とサービスチェイニング」と題して発表した。ネットワーク機器の機能を仮想マシン上のソフトウェアベースで実現し、それらをつなげてトラフィックフローを構成するというNFVへの取り組みだ。さらに、ジュニパーネットワークスが16日にSDNコントローラをオープンソースの「OpenContrail」として公開したが紹介され、NFVとSDNを使ったユースケースが語られた。
株式会社あくしゅの山崎泰宏氏は、「OSSだけで実装する仮想ネットワークの全て」と題して、同社が開発したオープンソースのIaaS基盤ソフトウェア「Wakame-vdc」から仮想ネットワーク機能を独立させた「Wakame-vnet」を紹介した。近日中、9~10月ごろに公開予定という。物理サーバーごとにエージェント「vna」を置いて「vnmgr」とのメッセージで動作させ、仮想マシン間を仮想ネットワークで接続する。
シスコシステムズの河野美也氏は、「Segment Routing! Path/Flow programmability進化のかたち」と題して、広域ネットワークで自律分散と集中制御を組み合わせたハイブリッドモデルのSDN(Path/Flow Programmability)方式「Segment Routing」について発表した。
Interop Tokyo 2013 ShowNet NOCチームの中村遼氏は、「INTEROP Tokyo 2013 ShowNetにおけるSDNの実際」と題して、イベント「INTEROP Tokyo 2013」のネットワーク「ShowNet」でSDNを導入した事例を紹介した。
用例は3種類。コンテンツキャッシュのために、特定のフローだけをキャッシュに向ける「SDNキャッシュ連携」、ネットワークのモニタリングのために、光タップで取得したトラフィックをOpenFlowスイッチに入れて、SDNでモニタリングネットワークを構成した「SDNモニタリングネットワーク」、出展者のネットワークのプロビジョニングをテンプレートから作れるよう自動化した「クラウドアプライアンスネットワーク」だ。発表は、実運用で試したこととその考察がまとめられ、わかりやすく興味深いものだった。