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フルマネージド中心のラインアップが開発者に生産性を与えていく――、ボーガスCTOから「AWS re:Invent 2016」参加者へのメッセージ

AWS re:Invent 2016キーノート

サーバーレスアーキテクチャをさらに強化

 3つめとなるコンピュート分野では、ここ1、2年で存在感を高めつつあるサーバーレスアーキテクチャにまつわる3つのサービスと、オープンソースプロダクトが1つ、それぞれ発表されている。

 AWSがみずからオープンソースプロダクトの公開に踏み切るケースはそれほど多くなかったが、今回、ボーガスCTOが発表したのはコンテナ管理とオーケストレーションを行う「Blox」だ。

 すでにGithub(https://blox.github.io/)で公開されており、ライセンスとしてApache 2.0が適用されている。

 AWSにはすでにコンテナ管理のサービスとしてAmazon ECSが存在するが、ユーザーはコンテナのスケジューラとしてECSのかわりにBloxを利用することもできる。ユーザーの「自分でコンテナをコントロールしたい」「ロックインされたくない」というニーズに応えたオープンソース化で、すでにAWSの大規模ユーザであるNetflixが導入を決定している。

コンテナ管理とオーケストレーションを提供するオープンソースプロダクト「Blox」はNetflixも導入予定。すでにGithubで公開済み

 アップデートされたコンピュート関連のサービスは以下の通り。

・C# In Lambda:LambdaでのC#サポート
・AWS Lambda@Edge:CloudFront上でLambdaファンクションを実行(プレビュー)
・AWS Step Functions:分散アプリケーションのワークフローを可視化してコンポーネントを調整(GA)

ユーザーからのリクエストが多かったという「C# in AWS Lambda」

 ボーガスCTOはいずれに関しても「サーバーレスアーキテクチャを加速させる技術」と語っているが、これまでになかったタイプとして興味深いサービスがStep Functionsである。

 シーケンシャル、パラレル、分岐など、アプリケーションのワークフローを容易に定義でき、そのステップが確実に実行されているかをリアルタイムで確認できる。複数のステップの状態を記録できるので、デバッグも容易だ。サーバーレスアーキテクチャを"硬い"技術にするサービスとして今後の普及が期待される。

サーバーレスをアーキテクチャとして強固にする「AWS Step Functions」

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 Amazonには「付加価値を生まない重労働からは解放されるべき」という文化がある。今回、re:InventでボーガスCTOが発表したサービス群はほとんどがマネージドサービスであり、まさしくコーディングや運用の負荷からエンジニアを解放するためのアップデートであることがわかる。

 何のためにそうするのか、もしかしたらマネージドサービスの浸透はデータベースアーキテクトや運用管理担当者の仕事、あるいはAWSパートナーのサービスを奪うことになりはしないのか、そんな疑問の声を聞くこともある。

 だがAWSがめざすのは顧客のビジネスに劇的な変化をもたらすトランスフォーマーでありつづけることだ。現状維持ではなく、過去とは関係なく、顧客が到達したいゴールのためにサービスをアップデートし続ける。

 開発者の生産性向上はそのためには絶対に欠かせないファクタである。アップデートの数々に圧倒されながら、AWSの視線はつねに一歩先の未来にあることをあらためて痛感する。