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KDDI、モルゲンロット、トークネットの3社、リテールロボットを活用した分散型データセンターの実証を開始

 KDDI株式会社、モルゲンロット株式会社、株式会社トークネットの3社は18日、AI時代における電力不足やGPU不足の解決を目指し、リテールロボットを活用した分散型データセンター実証を9月に開始したと発表した。同実証は、総務省の「ワット・ビット連携関連実証事業」に採択されている。

 実証では、KDDIの大阪堺データセンターと多摩ネットワークセンター間をAPN(All-Photonics Network)で接続する。また、多摩ネットワークセンター内にはPoint-to-Multipoint型APNを活用し、データセンターとユーザー拠点の接続を模擬したネットワークを構築する。それぞれのセンター内に配置されたGPUと、モルゲンロットが開発・構築したGPU仮想化基盤を組み合わせ、リテールロボットを用いたフィジカルAIの分散学習・遠隔推論を実施する。これにより、複数拠点に分散した計算資源の最適な活用方法と有効性を検証する。

Point-to-Multipoint型APNとGPU仮想化を活用した分散型データセンターの構想図

 3社は実証の背景として、AIの普及に伴い、特に小売業や製造業などでフィジカルAIの社会実装が進んでおり、フィジカルAIは低遅延かつ安定した処理が求められるため、顧客拠点に近接するデータセンターや通信局舎の計算基盤を活用することが一般的だと説明する。

 一方で、今後フィジカルAIを搭載したロボットなどの稼働台数が増加すると、近接するデータセンターや通信局舎の計算資源や供給電力の不足が課題になると懸念されている。こうした課題に対し、電力需給と通信網を協調させる「ワット・ビット連携」の実現が期待されている。フィジカルAIの処理を距離の離れたデータセンターへ分散させるためには、低遅延・大容量通信が必要となる。また、電力需給や計算負荷の状況に応じて処理先を柔軟に切り替えながら、複数拠点に分散した計算資源を一体的に活用する仕組みも求められている。

 これらの仕組みの実現においては、遠隔地のデータセンターを活用した場合でも、フィジカルAIに必要な応答性能を確保できる低遅延・大容量・省電力のAPNが重要になる。加えて、単一拠点から複数拠点へ接続可能なPoint-to-Multipoint型APNや、分散したGPUリソースを統合的に利用できるGPU仮想化基盤などの技術も必要となると説明する。

 実証では、Point-to-Multipoint型APNを活用して、データセンターとユーザー拠点の接続を模擬したネットワークを多摩ネットワークセンター内に構築し、Point-to-Multipoint型APNの光学特性、トラフィック伝送性能、運用管理機能、消費電力を検証する。

 また、多摩ネットワークセンター内の小売店を模擬した実証フィールドにおいて、ロボットの作業に関する学習データを収集し、「近接データセンター単一での学習」「遠隔データセンター(大阪堺データセンター)単一での学習」「近接および遠隔データセンターでの分散学習」のそれぞれの学習時間の短縮効果を検証する。

分散学習の効果検証イメージ

 さらに、端末内蔵(0km)、県内近傍(20km~)、県内遠隔(50km~)、県外(500km~)の4パターンのGPU配置において、リテールロボット作業に関する遠隔推論処理を比較検証する。

遠隔推論の比較検証イメージ

 KDDIは、AI前提社会において、データセンターや海底ケーブルなどのアセットとAPNや6Gなどの技術を融合し、陸・海・空を網羅した全国低遅延網・AI計算資源基盤を構築する「デジタルベルト構想」を掲げている。

 今後3社は、実証におけるAPNの接続区間を東北エリアまで拡大し、地域に存在する計算資源や電力を有効活用できる環境づくりを推進する。さらに、分散型データセンターの構築を通じてフィジカルAIの社会実装を加速し、労働力不足の解消に貢献するとしている。