週刊海外テックWatch

値下げ合戦の裏で「実は割高」に? Meta、SpaceXAI、OpenAIが仕掛けるトークン価格競争

単価は「安さ」の証明にならない

 Databricksは7月8日付の自社ブログで、数百万行規模の実運用コードベースを使って複数のAIモデル・開発ハーネスの組み合わせでコーディングエージェントを検証した結果を公表した。トークン単価の安さが必ずしもタスク全体のコストの安さにつながらないことが明らかになったという。

 それによるとAnthropicのSonnet 5のトークン単価は、Opus 4.8より40%安いにもかかわらず、タスク単価は2.09ドルでOpus(1.94ドル)を上回った。7月13日付のThe Registerによると、原因はタスク完了率の差にある。Sonnet 5の完了率は81%で、Opus 4.8の87%を下回り、目的の結果を得るために消費するトークンが多くなるためだという。

 Databricks CTOのMatei Zaharia氏はThe Registerに「トークン単価が安いからといって、タスク単価が安いとは限らない」と述べ、「どの『ハーネス』を使うかもコスト効率を大きく左右する」と指摘した。ハーネスは、ユーザーの入力をモデルに渡して応答からツール呼び出し、結果を再びモデルに戻す周辺ソフトで、Claude CodeやCodexなどがこれにあたる。実際、同じOpusでも軽量ハーネス「Pi」を使うと、ベンダー純正のハーネスに比べてコスト効率が2倍に改善したという。

 また、単価比較そのものの精度にも疑問符がついた。The Registerは7月14日、Anthropicが導入した新しいトークナイザーが、同じ内容のコードであってもOpenAIのGPT-5.x系より最大73%多くのトークンを消費する、と分析サイトplaycode.ioの試算を伝えている。

 それによると、価格表でOpus 4.8が100万トークンあたり入力5ドル・出力25ドルでも、実質的な支払額は7.50ドル・37.50ドル相当に達する可能性があるという。Anthropicはこの点について「同じ入力がより多くのトークンにマップされる可能性があり、その比率はおよそ1.0~1.35倍」とThe Registerに説明している。

 公開されたトークン単価だけで「安いAI」を選んでも、結果として高くついてしまうことがありうる。ユーザーが求める基準はトークン単価から「タスク単価」に移っていきそうだ。