週刊海外テックWatch
「11分23秒のキルチェーン」 AIが塗り替えた戦争の論理
2026年3月16日 11:53
データセンターも攻撃対象に
軍事作戦の中核をAIが担うシステムで、AIは人間よりはるかに速く分析を行い、攻撃を実行するよう促す。
こうした変化を、コーカサス国際大学(ジョージア)のZaza Tsotniashvili教授は「意思決定の圧縮(Decision Compression)」と呼んでいる。これまで「数日から数週間」だったキルチェーンのプロセスが「数分から数時間」になり、人間の判断の余地を狭めるというのだ。「人間の承認が、実質的な意味を持たない『ラバースタンプ(形だけのハンコ押し)』に成り下がってしまう」(Tsotniashvili教授)と危惧する。
また、「AIとクラウド」が戦闘に深くかかわるようになれば、そのインフラも攻撃対象となる。
3月1日から2日にかけて、UAEとバーレーンで、AWSの計3つのデータセンターが、イランのドローンの攻撃を受けた。イラン準国営のファルス通信によると「これらのセンターが敵の軍事・諜報活動を支援している役割を特定するため」だったという。
AWSはJWCCの一角を担っており、国防総省向けClaudeをデータセンターから提供していると伝えられている。この事件を取り上げたFortuneは、商用クラウド基盤が戦争インフラの一部として狙われる時代に入ったと指摘する。
国防総省のネットワークは、銀行や配車アプリと同じ商用インフラ上で稼働しており、「商用クラウドコンピューティングと軍事作戦の境界線はほぼ消滅した」と言う。そして警告する。「クラウドはデータセンターで稼働しており、それらのデータセンターには住所があり、その住所はドローンで攻撃される可能性がある」。