週刊海外テックWatch
止まらないAnthropicショック 株価急落の裏で進むセキュリティ産業の再編
2026年3月2日 11:32
セキュリティ株に広がったAIショック
Anthropicが市場を揺るがすのは、2026年に入って3度目だ。1月には「Claude Cowork」のリリースでSaaS株全般が売られた。Claude Coworkは他社の業務ツールと連携して契約書レビューやデータ分析などをAIが自律的に処理することができる。
そして2月初旬には、Claude Opus 4.6の発表と、法務ツールなどCoworkのプラグイン追加が第2波を引き起こし、SalesforceやServiceNowなどが売られる局面があった。一連の動きをFortuneは「1兆ドル規模の株価暴落」と表現している。
AIツール全般がSaaS企業を脅かすという投資家心理の広がりは「SaaSpocalypse」と呼ばれた。SaaSとApocalypse(終末)を組み合わせた造語で「AIによってSaaSビジネスモデルが崩壊する」との懸念を表現したものだ。
だが、セキュリティ専門家は、急激な売りは的外れだと反論する。セキュリティアナリストのJack Poller氏は「市場は根本的な見落としをしている」とSecurity Boulevardへの寄稿で指摘した。
それは、サイバーセキュリティの世界では、攻撃者の侵入経路は大きく2つに分類されるという点だ。一つは「コードの脆弱性を突く」もの、もう一つは「正規のアイデンティティを悪用する」ものだ。そしてClaude Code Securityが対応できるのは前者だけだ。
フィッシングやビジネスメール詐欺は人間の心理や正規の認証情報を悪用するだけで成立し、年間数十億ドルの被害をもたらしている。AIコードスキャナーでは防ぎようがない、という。
Security Boulevardによると、Barclaysのアナリストはセキュリティ株の売りを「非論理的」と表現し、JefferiesのアナリストJoseph Gallo氏も「業界は最終的にAIの恩恵を受ける側に回る」との見方を示した。