週刊海外テックWatch

連邦安全規則の草案をAIで生成 米運輸省の劇的合理化への懸念

省内に広がる深い疑念

 安全規則をAIに書かせるという計画に対し、省内には「深い疑念」を抱く者もいるという。ProPublicaは匿名を条件に話を聞いた6人の職員の声を伝えている。

 職員らは、規則策定は複雑な作業であり、既存の法令、規則、判例法の深い理解が必要だとした上で、「誤りや見落としは、訴訟や交通システムにおける負傷・死亡事故さえ招きかねない」と強調した。

 しかし会議に参加した職員によると、プレゼンテーションでは、こうした点が「全て無視されているように見えた」という。退職者も同じ意見だ。DOTの元AI最高責任者Mike Horton氏は、計画を「高校生のインターンに規則策定をさせるようなもの」と、AI活用計画の危うさを批判している。

 AIで規則を作成するという、こうした動きの背景には、規制緩和と効率化の改革、そしてそこに食い込もうとするビッグテックの売り込みがある。

 Elon Musk氏らが設立したDOGE(通称・政府効率化省)は、経費や人員の削減だけでなく、連邦規則もターゲットとした。2025年7月付のWashington Postによると、DOGEには、全連邦規則の半分をAIを使って不要な規制として削減する構想があったという。

 DOTの内部会議では、Zerzan氏が、Trump大統領が同省の取り組みに「とても興奮している」と説明。DOTが「先陣を切って」「AIを使って規則を起草できる最初の省庁になる」とも述べたという。

 Ars Technicaは、DOTでのGeminiの使用事例についてGoogleにコメントを求めたが、得られなかったという。
同メディアによると、Googleは政府との1年間の契約で、OpenAIとAnthropicのAPIトークン単価1ドルを下回る、0.47ドルでGeminiへのアクセス権を提供している。