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Salesforceが売却を検討? 超大型買収話の行方は

Salesforceは何を考えているのか

 Benioff氏の考えは明らかになっていないが、Salesforceの身売り自体に疑問を投げかける声もある。同社は、引き続き2ケタ成長が見込まれるCRM市場でトップの地位にあり、株価は過去1年間で5割近く上昇している。

 CRM分野を専門とする調査会社Beagle Researchの創業者兼代表のDenis Pombriant氏は「(身売り報道は)Bloombergの間違いではないか」とまでForbesに語っている。Pombriant氏は、むしろSalesforceが他社の買収を考えている。あるいは単なるお決まりの手順を実行しているだけではないか、とも述べている。

 一方、Salesforceには身売りを考えるだけの理由があるとする者もいる。Reutersのテクノロジーコラムニスト、Robert Cyran氏によると、それは不十分な成長ペースだ。

 Salesforceは2014年だけで2億6300万ドルの損失を出しているが、これまでのところ、投資家の信頼は揺らいでいない。さらに成長し、利益を上げられると考えられているからだ。しかし、アナリストの予想では今年度の成長率は21%と、数年前の半分程度まで減速する見込みだという。

 Cyran氏によると、Benioff氏は自社株を売却し続けているという。「売却がよりよい選択肢だと考えているのかもしれない。Benioff氏は過去数カ月間、市場が開いているほとんどの日に株式を売却し、既に80万ドル相当以上を手にしている」(Cyran氏)。

 またNetwork Worldは、より大きな背景として、Salesforceのビジネスモデルと顧客企業の使い方の間のずれが生じ始めたと指摘する。

 調査会社Technology Business Research(TBR)のレポートを紹介したもので、多くの企業がハイブリッドクラウドを選択する流れの中、Salesforceは単体のパブリッククラウドベンダーから、広範囲のツールセットを提供することを迫られるようになったというのだ。

 そのため、より大きな企業の傘下に入ることにアドバンテージがあるとTBRは指摘。SaaSモデルで先行してきたSalesforceも、これからは、大きな後ろ楯を持つ方が利益になるとの判断があると分析している。

 一方、誰が買い手になるのかという報道も続いている。Reutersは5月7日、Microsoftの関係者の話として、同社にはSalesforce買収の意思はないと報じた。Microsoftの公式なコメントは依然として出てない。

岡田陽子=Infostand